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海のモンスター召喚 

誤字報告ありがとう御座います。


◆黒岩島サブダンジョン 港区画 カゲマサside



 シーマン大連合を蹴散らしたが総大将に逃げられた俺は、少し苛立ちながらも全てのシーマンの死体を回収し、黒岩島のダンジョンへと帰還した。道中、目に入ったクラッシュマグロ三体を憂さ晴らしとして殺害、回収したが帰ってマグロの刺身が食べられると思えば、少し溜飲も下がるというもの。


 帰還した俺は、クラッシュマグロをマヤに渡した後、多くの艦船が停泊している港区画に来ていた。


「さて、さっそく召喚致しますかね。あ、港拡大しとこっと」


 俺は、取ってきた魔石をダンジョンに吸収させてカタログにシーマンやデビルオクトパス等のモンスターがメニューに追加されていることを確認する。次に、港区画にある岩肌を削ってスペースを拡大させた。

 そこまでして、いよいよ召喚に移る。


「まずは、やっぱりシーマンからいくか。ふむふむ、シーマン一体に付き200DP、か。よし、雄と雌二十体ずつ召喚っと」


 俺は、数と性別を選択して召喚を選択する。すると、目の前に四十個の魔法陣が出現、そして魔法陣の中心に先程見たばかりのシーマン達が出現した。やはりというべきか、装備が槍一本という貧相なものだった。せめて、ゴブリンみたいに腰蓑でも付けろよ…。雌もなんで裸なのだ。

 俺が呆れていると、シーマン達が俺を見るやいなや直様跪く。どうやら、主従の方は問題ないみたいだ。おっと、これ以上待たせるのは悪い。


「ゴホンっ!あ〜、俺の言葉はわかるか?」

「GYO」


 俺の確認にシーマン達は、皆首を縦に振る。どうやら、理解できるらしい。まあ、野生のシーマンも喋ってたし理解できるか。


「よし、早速してもらうことがある。お前達には、今から海底にある都市跡で生活し、数を増やして勢力を拡大するのだ」

「GYO」


 ダンジョンモンスター同士の繁殖によって生まれた子供は、皆ダンジョンモンスターとなることはゴブリン達によって証明されている。ならば、このシーマン達に数を増やしてもらい、南方諸島西部の海で勢力を伸ばしてもらおう。


「だが、そうだな。よし、先頭のお前。お前をリーダーにする。名前つけるから近くに来い」

「GYOGYO!?」


 先頭にいたシーマンは、驚いたのか少し狼狽えるが、俺の意思が変わらないことを悟ったのか、俺の近くまで歩いてくる。


「う〜ん。お前若干顔が人間よりだな。何故だ?」

「GYO?」


 適当に決めたやつなのだが、何故か顔が人間よりだ。魚類と言えば魚類に見えるし、人間と言えば人間にも見える。まるで半魚人のようだ。耳の部分には、魚のヒレが付いており、口元にはギザギザした牙が見える。

 普通のシーマンとは、明らかに違うが俺は大して気にせず進めることにした。


「まあ、いいか。お前の名前は、オセアンだ。いいな?」

「ッ!GYO!」


 リーダーのシーマン、オセアンは何故か涙を流しながら俺の言葉に頷く。俺は、嫌な名前だったかと変更するかと聞いたが、首を横に振られた。どうやら、オセアンでよかったらしい。オセアンは、確かフランス語で大洋・海洋という意味だったはずだ。違ったら恥ずかしいぜ。

 俺の思惑を余所にオセアンは、シーマンの言葉で仲間達に指示を出していく。そこで俺は、気軽にランクアップ出来る道具があるのを思い出した。


「あ、おいお前等。これを飲んどけ」

「GYO?」


 俺が取り出したのは、ミレンダが本家のダンジョンで冒険者や盗賊から奪い取った生命力を液状にした〈生命液〉である。これを体内に摂取すれば、ランクCより下の生物がランクCまで強制的に進化させるのだ。これは、実際に実験結果も出ている。


「いいか?飲む際には、何になるのかをイメージしながら飲むんだ。槍士やら弓士やらな。さあ、飲め」


 俺の言葉にシーマン達は、迷いなく〈生命液〉を飲んでいく。すると、シーマン達はその場に倒れ込み、のた打ち回り始めた。これも実験結果に載せられていたが、強制進化の際には相当な苦しみを負うらしい。

 やがてシーマン達がのたうち回ることを止めた途端、シーマン達の肉体が急激に変化する。ある者は、筋肉隆々になった。ある者は、魔力量が急激に増えた。リーダーのオセアンに至っては、妙にカリスマ性を匂わせる逞しいシーマンキングになったではないか。


「···良し!全員進化したな!では、行って来い!場所は、ここ港区画の少し西にある海底だ!」

「ハハッ!コノオセアン!マスターノタメ、ショウジンイタシマス!」

「ッ!オオ、頼むぞ!」


 オセアンが急に言葉を喋ったので俺は、一瞬ビビってしまったが、なんとか動揺を抑えてオセアン達を見送った。見送った後俺は、再びダンジョンメニューを開く。


「よし、この調子でどんどん召喚していこう」


 俺は、首をコキリと鳴らしながら召喚作業に移った。














「あ〜〜っ!疲れたぁ!」


 あれから五時間後。すっかり夜の闇に閉ざされた港区画にて、俺は大の字になって寝っ転がる。

 

 本当に大変だった。特徴的なのだけで六体もいたのだから、本当に疲れた。

 オセアンを見送った後に召喚したのは人魚なのだが、これが厄介で俺を見て嬉しさのあまりスキル《誘惑の歌声》なるものを発動。俺は被害を免れたが、他の下っ端達が影響されて混乱が起こってしまった。その後、人魚を落ち着かせて沈静化させたが、少し焦ったのは内緒である。人魚は、合計十体召喚したが、全員女性だった。どうやって繁殖しているのか謎だったが、どうやら普通に他種族と交配したり最悪自分で自己受精できるらしい。リーダーには、ラメールという名前を付けて交配相手は希望に沿うと言ったが、まさかの俺との交配を希望してきたのには耳を疑った。流石に宥めて、出来る限り良い人と交配するよう言いつけておいた。ラメールは、凄く不服そうな顔をしていたが。

 次に召喚したのは、デビルオクトパス。こちらは、十体召喚した当初は大人しかったが、リーダーにアラビア語でいう海を意味するバハルという名を授けると、歓喜のあまり暴れだし艦船の内一つが壊れかけた。

 その次にメガロドン。こちらは、召喚した当初からリーダー他十体が俺以外の生物に食って掛かる狂犬のような奴だった。よって、一発ボコってダルヤという名前を授けると少し大人しくなった。他の生物を睨みつけてはいたが。

 次は、オーガホエール。こちらはデカ過ぎた為に港区画の外で召喚した。召喚数も、リーダーに雄雌二体ずつにしてある。だが、それでも足りなかったのかリーダーにマールという名前を授けると嬉しそうに身体をくねらせ港区画の壁に衝突。壁が一部砕け散った。

 次は、オルカである。こちらは、メガロドンと同じく狂犬で近くにいた魔人を食い殺そうとした。その時もまたもや俺がボコり、ゼーという名前を授けると少し大人しくなったが油断はできない。リーダーと雄雌三体ずつ召喚した。

 特徴的な奴の最後に適当に召喚したシースネークとかいうウミヘビである。コイツラは問題無いだろうとリーダー含めて雄雌十体ずつ召喚し、リーダーにユーラという名前を与えたのだが、コイツ等嬉しさのあまり俺の体の隅々に巻き付いてきたのだ。俺は、不意に首を絞められ慌てて部下が引き剥がさなけれ、少し蛇に対してトラウマになっていたかもしれない。


 特徴的だったのは、コイツ等だけで他の奴らは比較的普通だった。まあ、彼奴等が異常なのだろう。うん。

 他に召喚したのを雑に挙げると、石の槍と盾を持つタツノオトシゴ、タツノコソルジャー。

 水玉を発射するアジ、テッポウアジ。

 弾丸の如く体当りするマグロ、クラッシュマグロ。

 鉄の如き針を持つハリセンボン、アイアンボン。

 頭が二つ存在するサメ、ダブルベッドシャーク。

 甲羅が宝石の亀、ジュエルタートル。

 筋肉隆々なオットセイ、マッスルオットセイ。

 可愛いが氷魔法を使うアザラシ、アイスアザラシ。

 強力な水魔法を操るイルカ、ドルフィン。

 ついでだが、海竜やら水竜やらに進化することを祈って連れてきた、ドラゴンベビー。

 

 等々多すぎるぐらいにいる。まだまだいるからな、コレ。これぐらい氷山の一角だ。いずれは、全ての海の生き物を制覇したいものだ。

 俺は、大の字になりながら誓う。と、そこに一人の女魔人、海賊ジレイクがジョッキ片手に近寄ってきた。


「よお、カゲマサ!こんなところで何やってんだ!」

「ん?ああ、ジレイクが。いやなに、モンスターの召喚してたら疲れてね」

「そうかい。なら、宴会に参加しなよ!今商船を襲って成功した祝い酒の最中さ!料理は、マヤが出してくれるってよ!」


 俺は、その言葉に少し迷うがすぐに笑みを浮かべて立ち上がる。


「まあ、こんな時もいいか」

「よっしゃあ!てめぇ等、ウチ等のボスがお通りだ!席開けろ!」

「オオオオォォ〜〜!!」

 

 俺は、部下にもみくちゃにされながら共に宴会を楽しんだ。


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