女王軍との激突③
あけましておめでとう御座います。
待っていた人は、おまたせしました。
◆黒岩島地表部分 アマゾネス女王軍陣地 カゲマサside
俺は、目の前にいる身長ニメートルを超える褐色肌のビキニアーマーアマゾネスに地面に突き刺していた雷の魔槍を引き抜き先端を向ける。褐色肌のビキニアーマーアマゾネスは、警戒をしたのか巨大な戦斧を構えながら此方の隙を伺っていた。
(しかしコイツ、中々に男勝りな美人さんだよなぁ。現代社会にいたら男はおろか女からもモテモテだろうな)
俺は、そんな間抜けな感想を褐色ビキニアーマーアマゾネスに抱いていると、戦斧を構えて隙を伺っていたアマゾネスが此方に急加速して接近してきたではないか。
「おっと」
俺は、身体を軽く後ろに引く。すると俺の目の前を巨大な戦斧が通り過ぎていった。どうやら、俺の顔を真っ二つにしたかったようだ。
「チィィッ!」
「おいおい、落ち着けよ。せっかくの美人が台無しだぞ?なあ、アマゾネスさんよ」
「黙れ!この汚い雄が!」
俺の憎たらしい笑顔と共に吐き出された煽りに褐色肌のアマゾネスは、俺への罵倒と共に戦斧を振る速度を上げる。戦斧が振るわれる度に地面は斬撃によって抉れ、そこかしこに亀裂が出来上がっていく。
だが、俺には傷一つ付けることは出来ていない。まあこればかりは、完全に地力の差だろうがな。
「よし、次は俺の番な?簡単には死ぬなよ?」
「なにを、っ!?」
俺は、余裕を崩さず反撃に転ずる。アマゾネスの戦斧を握る手を素早く蹴り飛ばす。持ち手への蹴りにアマゾネスは、思わず戦斧を手放してしまった。その隙を見逃さなかった俺は、直様戦斧を蹴り上げ戦斧を遥か彼方へ飛ばして見せた。
「っ!糞っ!」
「どうした?あのワイバーン形態にはならんのか?」
「貴様··!」
俺は知っている。このアマゾネスがワイバーンの羽を背中から生やして飛行することを。ならばこのアマゾネスは、ワイバーンの力を手に入れている筈だ。
俺は、そう考えながらも確認の為に《鑑定》を行う。
名前 ペンテレイシア·グオール
種族 戦女
職業 女王軍総司令
レベル 46
ランク B+
スキル 斧術の達人 格闘術の達人 飛竜化 剛力 金剛etc.
なるほど。あのワイバーン形態は、《飛竜化》とかいうスキルのおかげか。いや、戦女全体が持っているっぽいから固有のスキルなのかな?
俺が戦女のスキルの考察をしていると、目の前の戦女、いやペンテレイシアが素手による構えに変更していた。
「シッ!」
ペンテレイシアは、地球でいうボクシングスタイルの構えを取るとそのままジャブを放ってきた。俺は、首を傾けて躱したが唯の人では躱せないだろう。
ペンテレイシアから放たれるジャブを躱しながら俺は、左腕のアッパーで彼女を空中へと打ち上げる。
「うがっ!?」
「早くワイバーン形態にならないと、本当に死ぬぞ?大丈夫か?マジで」
俺は、サラッと煽りながらも雷の魔槍を投げる。雷の魔槍は、真っ直ぐとペンテレイシアの腹へと飛んでいく。そのまま雷の魔槍が腹を貫かんとした、その時。
ペンテレイシアは、ワイバーンの羽を背中から瞬時に生やして空中で軌道を変えたのだ。そのせいで雷の魔槍は、そのまま空へ飛んでいき落下、地面に突き刺さる。
「やっと正体を表したか。遅いぞ」
「黙れ!この姿になったからには、その舐めた口をきけると思うな!」
ペンテレイシアの姿は、顔や腕は人間のままだが肩や首、脚が赤い鱗に覆われていた。手には、黒い爪が伸びており確かな鋭利さを誇っている。額からは、二本の角が生えている。目は、若干爬虫類のような目になっていた。
《飛竜化》を果たしたペンテレイシアは、羽を羽ばたかせて俺に向けて急加速する。
「喰らえ!」
ペンテレイシアは、鋭利な黒爪を俺に向けて振るう。俺は、咄嗟に躱したがその黒爪は彼女が持っていた戦斧に劣らない。実際、地面には深い傷跡が残されていた。
「おっと、中々鋭利だな」
「ぐっ、舐めるなと言っている!」
ペンテレイシアは、未だに余裕の俺に苛立っているのか攻撃の激しさが増していく。だが俺は、薄ら笑いを浮かべながら躱していく。その態度にペンテレイシアは、益々苛立ちを顕にした。
「あああアアあああああっ!!私を笑うなァァァ!汚い雄の分際デェェ!!」
多分これがペンテレイシアの本音だろう。コイツは、自分より下と思っている男性自体に舐められることが嫌なのだ。まあ、アマゾネス女王国のお国柄仕方ないかもしれないが、少しは嫌悪感を見せなかった老婆の指揮官の部下達を見習ってほしい。
俺は、薄ら笑いを浮かべながらそんなことを考えた。それと同時に当たりに《存在関知》を行う。
(いない、か。こんな争乱を起こしたんだ。てっきり“冥府教”が数名出張ってくると思ったのだが)
俺の関心は、既にアマゾネス女王国には無い。いや、元から無かったか。アマゾネス女王国に連中がいるという情報が入ったので、フィリア王国を助けるついでに調べた程度の関心しかなかった。いないのであれば、すぐに手を引く予定であったがここまで大事になるとはな。まあ、自業自得と諦めよう。
(さて、コイツ等はもう用済み。ご退場願おうか)
俺は、顔から薄ら笑いを消す。もう煽って正常は判断力を奪い、時間稼ぎをして“冥府教”を炙り出す必要はない。
「もう、用済みだな」
「····ヒッ!?」
何故か無表情で呟くと、ペンテレイシアは恐怖に顔を歪ませた。何故だ?
俺は、ペンテレイシアの謎の悲鳴に疑問を覚えながらも身体能力強化系統のスキルを重ね掛け、ペンテレイシアの頭を掴む。そして、思い切りシェイクした。
「んがっ!、?」
ペンテレイシアは、思い切り脳を揺らされた影響で脳震盪に似た症状に陥る。俺はというと、彼女の肉体を持ち上げてダメ押しの背負い投げを放った。ペンテレイシアは、背負い投げの衝撃でとうとう気絶したのであった。
「···ふむ」
俺が辺りを見回すと、他の戦女達も部下達が次々と無力化していった。これなら問題ないだろう。
「牢屋に放り込め。〈魔封じの手錠〉を忘れるな」
俺は、ペンテレイシアを担ぎ上げると部下達にそう告げて牢屋区画へと向かった。
◆黒岩島より南東の海域 船上
カゲマサがペンテレイシアを気絶させて時、黒岩知事の遥か南東に一隻の小船が浮かんでいた。
「ん〜、誰一人殺さんかったか。やっぱり、ウチ等に死の力が渡るの恐れとうな。厄介や」
小船に乗っていたのは、一人の女であった。女の名は、ライ·ランスロット。“冥府教”の上級幹部である“騎士”の地位に就く存在である。その正体は、邪魂と呼ばれる怨霊の亜種が肉体に取り憑き操っている存在。彼女自体は、邪魂本体から分裂した分体が取り憑いた存在である。
「まっ、南方諸島西部には、もう用はないわ。“女王”はんが蘇らせた巨竜の化石活用の目処がたてば、アマゾネス女王国もフィリア王国もその他国々も、関係あらへん。全て、灰塵に帰すだけや」
小舟の上でライ·ランスロットは、口を歪めながらもぶつぶつと呟く。
「さて、そろそろ同盟者である国家が動き出しそうやし、ワイはここらで西部から撤退させて貰うとしますわ。魔王朝の艦隊すらも動き出しとるし、うかうかしとると計画達成が出来んわ。計画を乱しとる要因がもう一人のワイやしなぁ」
ライ·ランスロットは、脳内に殺す相手を恋人として殺し愛を体現するもう一人の自分を思い浮かべた。そして、ため息を吐く。
「まったく、やってられへんわ。本体も盟主もなんで計画を押したんやろか。南方諸島は、そのままにしといたほうが死の力を沢山集められるやろ。態々滅ぼしてまで、何を急いでるんや?」
ライ·ランスロットは、己の本体や“冥府教”盟主である“王”に苦言をこぼした。少なくとも、ライ·ランスロットは急いでいることに違和感を覚えていた。
「まあ本体には、本体なりの考えがあるんやろ。ワイは、それに沿って動くだけや。盟主からの仕事をやらななぁ」
ライ·ランスロットは、そうボヤきながら小船を漕いでその場から去っていった。
相変わらず戦闘描写クソ雑魚ナメクジ。
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