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女王軍との激突①

難産、短いです。


◆黒岩島サブダンジョン 最奥区画 カゲマサside



 虜囚達の労働風景を視察した俺は、黒岩島サブダンジョンの最奥区画にて今後の方針を決めていた。


(さて、“冥府教”は既にアマゾーン島から離脱した確率が高い。となると、これ以上アマゾネス女王国に関わる意味はない、のだがなぁ)


 俺は、脳裏にフェオール·テニシアの誘拐と屋敷の炎上、アマゾネス女王国の従魔であろうアングを爆殺してしまったことを思い浮かべて、ため息を吐きながら額を押さえる。


(あんな事をしてしまったんだ。奴等は、怒り狂って俺を探していることだろう。はぁ〜、これが自業自得って奴か?)


 俺の暴走は今に始まったことではない。死霊公の時だって、外界には関わらないとした筈なのに見つかって回り回った挙げ句英雄に祭り上げられたし、マリアンナ襲来時にも、魔人としての性格が暴発してマリアンナを舐め腐った挙げ句、致命傷を負ったという経験がある。

 俺は、自身のやらかしを思い出して苦笑する。今思い出しても、本当に情けない気持ちが溢れ出てくる。


「···チッ、嫌な過去を思い出しちまった」


 情けない過去を思い出して機嫌が悪くなった俺は、思考を切り替えて血ナマコで俺を殺そうとしているアマゾネス女王国についての対策を考えることにした。


(さて、この島には認識阻害の結界を貼ってあるのだが、弱めの認識阻害だからなぁ。高い感知能力持ちがいたらもしかすると、既に見つかってるかもしれん)

「島がいきなり無くなったと騒がれたら困るから弱めにしたが、裏目に出たかもし」

「カゲマサ様!大変です!」


 俺は、ありえる可能性に思い立った時、最奥区画に一人の魔人が慌てて入ってきた。


「なんだなんだ?まさか、アマゾネス女王国が艦隊率いて攻めてきたか?」

「そのまさかです!アマゾネス共が五百の兵隊率いて攻め込んできました!」


 俺は、あまりに予想通りな展開に苦笑しながら、【ボックス】よりアング戦で使った雷槍を取り出すと、命令を下す。


「駐屯している迷宮防衛軍に出動を命じろ。あと、アマゾネス共は出来る限り生け捕りにしろともな。いいな?」

「はっ!直ちに!」


 部下の魔人は、敬礼すると直様その場から去っていった。俺は、雷槍片手にその場から転移する。転移した先は、黒岩島サブダンジョンの入口であった。

 俺が転移した時には、既に迷宮防衛軍が整列しており俺に向けて敬礼している。俺は、そんか彼等に敬礼を返して口を開いた。


「聞いているとは思うが、敵はアマゾネス女王国だ。俺が色々やらかしたせいでこうなってしまった。すまん」

「いえ!我々は、マスターの忠実なる下僕!マスターの為さることに異論など挟めますか!」


 俺は、そう言って部下達に謝罪する。だが、迷宮防衛軍の面々は俺を責めることはしないようだった。


「そうか。では、各員戦闘配置に付け。奴等は一体一体が手強いぞ」

「「「はっ!」」」


 俺の指示に迷宮防衛軍の面々は、迅速に散開し陣地の構築を開始した。俺は、雷槍を手に持ったまま外を見据える。外には、海に浮かぶアマゾネス女王国の艦隊に空を飛ぶ羽を生やしたアマゾネス達がいた。


「ふん、運がいいな。殺されないだけ有り難く思え」


 俺は、鼻を鳴らしながらアマゾネス女王軍に向けて言うとそのまま開戦の時を待つことにした。
















◆黒岩島前海域 アマゾネス女王国艦隊 



 アマゾネス女王軍総司令のペンテレイシアは、目の前に存在する黒い島を見ながら部下達に向けて言葉を発する。


「アレが目標の島だ!どうやら、小賢しくも認識阻害の結界を張っているようだが、我らの目を欺くには強度不足だったようだな!さあ、戦士たちよ!武器を持て!戦の時だ!」

「「「オオォォォーーーーー!!」」」


 ペンテレイシアの叫びにアマゾネス女王軍兵士達は、好戦的な笑みを浮かべながら武器を振り上げて咆哮を上げる。恐らく、敵の雄を捕まえた後どうするか、考えているのだろう。

 ペンテレイシアは、咆哮を上げる部下達を見ながら愛用の武器である戦斧を撫でる。


(恐らくこの戦、十中八九負ける。待ち構えているのは、陛下最強の従魔アングを倒した雄だ。そんなやつに我々が寄って集ったところで勝てるのだろうか、いや勝てない)


 ペンテレイシアは、アングが倒されていた時点で自分達に勝ち目が無い事を予感していた。負ける事を予感してか、ペンテレイシアの戦斧を撫でる手も震えている。


(負けたらどうなる···。はっ、分かっているだろうに。外界の雄共は、皆女を慰み者にするカス共だ。アングを倒した雄だって、わ、私を、慰み者にするのだろう)


 自分に待ち受ける運命に体を震わせるペンテレイシアだが、すぐに気持ちを切り替える。くよくよしたって、何も始まらないのだ。


(···勝てば良いのだ勝てば。勝てば、私も部下達も慰み者にならない!)

「全軍、突撃!」


 ペンテレイシアの号令にアマゾネス女王軍は、次々と島に上陸していく。羽がある空挺部隊は、空から地上部隊の援護を行うべく弓を構えて対空していた。


「よし、私も行くか!」


 気合を入れ直したペンテレイシアは、戦斧を担いで戦場へと躍り出た。


 その時。


 侵攻している地上部隊のど真ん中でナニカが破裂する。同時に、白い煙が辺り一帯に撒き散らされ、地上部隊が飲み込まれてしまった。


「ああ!?何だ··こ、り··ゃ」

「ちょっと!?大じ···ょう····ぶ」

「っ!?お、おい!どうしたのだ!」


 飲み込まれた地上部隊は、軒並みその場で倒れ伏した。ペンテレイシアは、慌てて口を手で塞ぎながら倒れ伏した地上部隊の面々に近付く。


「ぐー、ぐ〜」

「スピ〜」

「き、貴様等!」


 地上部隊の面々は、なんと寝ていたのだ。寝息をたてながらだらしなく眠るアマゾネス達に、ペンテレイシアは若干苛立ちを感じながらも思考する。


(恐らく、先程破裂したナニカが、強力な睡眠作用を持った物だったのだろう。おのれ、意地でも我々を捕まえて、慰み者にする気か!)


 ペンテレイシアは、まだ見ぬ帝国の雄に怒りを滲ませた。















◆黒岩島サブダンジョン 入口の陣地 カゲマサside



「シャアっ!どうだ!迷宮研究所特製の〈睡眠地雷〉は!」


 俺は、先んじて仕掛けてあった兵器が機能したことに大喜びだった。

 〈睡眠地雷〉。黒岩島防衛の際に、敵を殺傷せずに無力化する兵器を考えていたところ、ミレンダに聞かれてから共に作り上げた兵器だ。

 仕組みは単純で、敵が踏んだら爆発、では無く地雷が破裂し中から睡眠ガスが大量に放出されるのだ。使われている睡眠ガスも強力で、《睡眠無効》のスキル等を所持していなければ、最低でも三時間は眠る。その間は、外部からの干渉を受けても起きないという優れ物だ。


「ふっふっふ、やはり発明はミレンダに任せるのが一番なんだよなぁ!流石ミレンダだ!」

「まったくですなマスター!」

「おう!さあ、テメェ等!敵はまだいるぞ!油断するなよ!」

「「「おおっ!」」」


 俺は、ミレンダの発明品に誇らしくなりつい興奮してしまった。防衛軍の面々も釣られて興奮していたが、俺は直様思考を切り替えて油断するなと伝える。


「さあ、全員捕まえてやるぞ。そのまま、DP(ダンジョンポイント)の継続的供給元にしてやる!」


 俺は、盛大な悪い笑顔を披露しながらアマゾネス女王軍に向けて言い放った。


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