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尋問と超雌としての矜持


◆黒岩島サブダンジョン 牢屋区画 カゲマサside



 俺は、黒岩島の牢屋区画にて黒髪糸目アマゾネスを牢屋内に放り込むと、再び炎上している館前まで転移。気絶しているアマゾネス達を次々と転移させ、牢屋へと放り込んでいった。


「よし、こんなものか。いや〜、アマゾネスの軍隊が来る前で良かった良かった」


 俺は、アマゾネス女王国の軍隊に出会わなかったことに安堵しながら冷や汗をかく。

 俺の目的は、あくまでも南方諸島での“冥府教”の企てを阻止すること。いちいちアマゾネス女王国の軍隊と争っている場合じゃないのだ。


「まあ、館炎上に誘拐をしてんだ。流石に“冥府教”も動き出すだろう。動いた所を一網打尽にしてやる」


 俺は、淡々と自分の失敗をフォローする。実際は、館を焼いたことはやり過ぎたと思っているし、アマゾネス女王国の重要人物らしき存在をサラッと誘拐してしまった時点で、アマゾネス女王国ではかなりの騒ぎになってしまい、潜入しづらくなってしまった筈だ。それでも、無理矢理前向きに行かなければ俺の精神が沈んでしまう。


「さて、気を取り直して尋問といきましょうかね」


 少し前向きになったところで、俺は牢屋の中で〈魔封じの手錠〉によって繋がれている黒髪糸目アマゾネスの側に歩いていく。

 黒髪糸目アマゾネスはというと、虚ろな目で俺を見上げて、自嘲気味に笑った。


「ふっ、そういうことですか」

「ん?何が?」


 いきなり何かを悟ったように呟く黒髪糸目アマゾネスだが、俺には心当たりがない。そんな俺を無視して、黒髪糸目アマゾネスは口を開く。


「私達アマゾネス女王国は、種馬や玩具を求めて様々な雄を拉致してきました。その中には、セブンス帝国の人間も含まれていたのでしょう?それで、自国民を奪われた報復として〈帝将〉である貴方が派遣された」


 いや、ナナさんは数人ぐらい人間が消えても対して気にしないと思う。するとしても、帝国経由で返還要求をアマゾネス女王国へ出すだけだろう。

 俺がそんなことを考えている間も黒髪糸目アマゾネスの独白は続く。


「ふふ、本当なら拉致されたことに怒るべきですが、これは我が国の自業自得。〈帝将〉様。帝国のお怒りは最もだと思いますが、どうか私の身一つで勘弁していただけないでしょうか?これでもアマゾネス女王国内ではそれなりの地位に付いておりますので」


 そう言って黒髪糸目アマゾネスは、その場で土下座をする。対して俺は、いきなり身に覚えのない罪を告白され土下座されたことに困惑していた。


(え、どうしよう。拉致した俺が悪いのに相手方が悪いみたいになってるよ。何故に?)


 俺は、困惑しきりだったが、土下座をする黒髪糸目アマゾネスを見て、少し悪戯心が芽生えた。

 見ればこの黒髪糸目アマゾネス。顔自体は、普通より少し上程度だが、スタイルが良すぎる。身長が180センチ以上あるが胸や尻は、非常に男好みな仕上がりだ。アマゾネスという男に接点の無く戦闘に生きる種族が、なぜこうなるのか謎である。

 俺は、そんな感想を述べながら鎌首を上げた悪戯心に従って、黒髪糸目アマゾネスへと話しかける。


「お前。今己の身を捧げると言ったな?それは、本当か?」

「はい。我が祖国アマゾネス女王国の名にかけて」

「ほ〜ん?じゃあ」


 俺は、土下座をしている黒髪糸目アマゾネスの後頭部を掴み、顔を上げさせる。黒髪糸目アマゾネスは、いきなり顔を上げさせられて困惑していた。


「俺の部下の補給源となるか?」

「え?」

「いや〜、俺の部下はな。最近情欲が溜まってきたようで、時々陳情にくるんだよ。ブスでも良いから女をくれって」


 嘘である。俺の部下には、そんな欲を出すやつはいない。かつてカウンセリングをしたことがあるが、魔人となったことで情欲が薄まっているとの回答が多かった為だ。勿論完全に消失したわけではないし、子孫を作りたいという欲求自体はあるそうだ。だが、子孫を作る以外での行為に対する欲は、余り無いらしい。

 何故俺がこんな嘘を言ったのかというと、単純にアマゾネスの反応が見たいが為である。アマゾネスは、雄に対して唯の種馬か玩具程度の感想しか持たない。そんな、彼女等が男の玩具になるという屈辱にどんな表情になるのか気になったからだ。


(いかんな。完全に魔人の性格に汚染されている。他者の屈辱を見たいという自分がいる。まったく、己が情けない)


 一方で魔人の性格に汚染されている自分に俺は、呆れていた。この世界での魔人は、残虐性が色濃く出る生物なので、このような場面では敵の嫌がる所が見たいという欲求がどうしても出てしまうのだ。

 俺が魔人としての自分に、呆れている最中。黒髪糸目アマゾネスは、流石に複数人の男の玩具になるのは嫌なのか、顔を顰めている。そこで俺は、一旦呆れを取り除いて話しかけた。


「ふふ、やはり嫌なようだな。では、もう一つの選択肢をやろう。俺の玩具になることだ」

「っ!貴方様の玩具に!?」


 おや?何故か、顔を朱に染め笑顔で俺を見たな?何故だ?あ、そうか。

 考えてみれば当然だ。アマゾネスは、性別以外では良くも悪くも強さで人を判断する。弱い部下より強い俺の方がマシって訳だ。


「わ、わかりました!貴方様の玩具になりま」

「な〜んてな!」

「···え?」


 俺は、とびきり良い笑顔で黒髪糸目アマゾネスに向け言い放つ。勿論仮面越しだが。


「誰がそんな外道なことをするかよ!俺は、そんな趣味は無い!そんな行為は、好きな人とヤるわ!」

「え?え?」

「おっと、済まないね。さっきまでの発言は全て冗談だから安心するといい」


 俺の言葉に黒髪糸目アマゾネスは、肩透かしを食ったのか、呆気にとられた顔になって放心している。

 俺は、放心している黒髪糸目アマゾネスの両側頭部を掴んで俺の方へ顔を向けさせた。


「あっ…」

「お前には、幾つか聞きたいことがあったんだよ。お前を拉致したのもそれだけのことさ」

「えっ」


 俺は、困惑しオロオロしている黒髪糸目アマゾネスを見ながらあるスキルを発動させた。


「《真実》。お前は、“冥府教”という組織を知っているか?」

「···はい。女王陛下より、危険視するべき組織と伺っております。···はっ!」


 黒髪糸目アマゾネスは、自分の口が勝手に動いたことに驚きを隠せず口を手で塞ごうとするが、〈魔封じの手錠〉の長さが足りず、塞げない。


「《真実》。お前の元に“冥府教”の構成員が接触してきたか?」

「···いいえ。私の元に“冥府教”を名乗る者達は、現れませんでした」

(まあ、これは当たり前か。馬鹿正直に危険な組織である自分達の組織名を出す筈がない)


 俺は、質問が悪かったと反省し、いよいよ一番知りたい質問を出す。


「《真実》。お前の元にライ·ランスロットと名乗る人物が尋ねなかったか?」


 これだ。現時点で最も“冥府教”であると言える奴の名前。この名前が出なければ、黒髪糸目アマゾネス含めて館のアマゾネス等全員拉致した意味がない。

 俺の内心を知ってか知らずか、黒髪糸目アマゾネスは少し言葉を溜めて口を開いた。


「···はい。つい先程訪ねて来ました。女王陛下へフィリア王国再侵攻を提言しろと要求をしてきました」

(シャアァァァ!大当たりだ!)


 俺は、その言葉に内心喝采を上げる。とうとう手がかりを掴んだのだ。そりゃあ、喝采を上げて喜ぶだろう。

 俺は、仮面で隠された顔をニヤニヤさせながら黒髪糸目アマゾネスの肩をガシッと掴み矢継ぎ早に質問する。


「奴は、一体何処に向かった!?容姿は!?種族は!?どうなんだ!?」

「ど、何処に向かったかは分かりません!で、ですが容姿は、平均的な人族の女でした!」

「···そうか」


 流石に向かった先までは分からないか。高望み過ぎたかな?

 俺は、気落ちしながらも黒髪糸目アマゾネスの肩から手を放す。そして、牢屋から出た後大声で人を呼んだ。


「おい、マヤァ!」

「お呼びですか、ご主人様!!」

「このアマゾネス共に食事と温かい毛布を出してやれ!くれぐれも丁重にな!」

「はい!ご主人様!」


 俺の呼び声と共に現れたマヤは、走ってきたのか顔を蒸気させながら笑顔で命令を受諾。そして、直様食事と毛布を取ってくるべくその場を去っていった。


「さて、もう少ししたら食事と毛布が来るから待っていてくれ給え。俺は、一旦アマゾネス女王国に出向きライ·ランスロットを探さなければならないからな」


 俺は、そう言ってアマゾネス達の前から転移で消え去った。転移した先は、アマゾネス女王国周辺の海の上である。


「探すかぁ」


 俺は、【フライ】で空を飛びながら一言呟く。そして、一気に加速しライ·ランスロットを探し出したのであった。














◆黒岩島 牢屋区画 フェオールside



 訳が解らない。


 それがフェオール·テニシアが抱いた感想だった。アマゾネス女王国の外では、女は軽く見られており男達の慰み者にしているというのがアマゾネス女王国内での常識である。当然フェオールもそう信じていた。


 この日までは。


「〈帝将〉が、雄が私を見る目にまったく下衆な気配がなかったですって?」


 私は、当初いくら〈帝将〉と言えども男であることに変わり無く、女を見ると下衆な感情を抱く雄に違いないと見下しながらも恐怖した。

 だが、現実はどうだ。〈帝将〉は、まったく下衆な気配を見せなかったどころか、やったこともただの尋問だけだった。途中私を慰み者にしようとする言葉を発したが、その声に邪な意志は籠もっていなかった。あったのは、此方をからかうだけの軽い感情のみ。


「ふ、ふふ」


 私の中であの雄の象が歪み、崩れていく。あの〈帝将〉は、国内にいた下衆な雄とは明らかに違う。あの〈帝将〉は私を、私を…!


「私を、雌と見なかったというのですか…!?」


 私は、その結論に達した。結論に達した結果、一つの激情が溢れ出る。それは、普段なら感じもしない激しい感情。


「悔しい···!」


 悔しさ。それが私の感じた激情であった。今までなら、雄に対して悔しさなど感じもしなかったのに、何故今感じるのか。


 私達アマゾネスは、誇り高き雌だ。愚かな雄を超える、超雌なのだ。そんな我等を〈帝将〉は、アイツは!


「い、いいでしょう。私を雌としないなら貴方に刻みつけてあげましょう。私という雌を…。ふ、ふふふふ、クヒヒヒヒヒ」


 私は、普段糸目になっている目を見開きながら決意した。必ず、アイツにフェオール·テニシアという雌を刻みつけると。


 そんなフェオールの姿を他の牢屋から見ていたアマゾネス達は、突然変わったフェオールの様子に戦々恐々していた。


え?フェオールの展開が急ですと?すみません、自分の文才ではこれが限界です。(T_T)


良かったならば、高評価、ブックマーク登録、誤字脱字報告等、よろしくお願い致します。

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