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強襲、従魔

過去話の改良が進まねぇ…。


◆黒岩島 サブダンジョン カゲマサside



 フィリア王国の王立図書館を後にした俺は、夜の黒岩島サブダンジョン最下層にて武器や衣服の手入れを行っていた。


「御主人様?何で武器の手入れを?」

「ああ、マヤか」


 俺の背後から複数のトレイがのったワゴンを押してくるマヤが、武器の手入れをしている俺に質問してくる。俺は、オリハルコン製の剣に付与魔法【エンチャント】で何回も効果を付与しながらマヤに振り向く。


「なに、今からアマゾネス女王国に潜入してくるだけだ」

「え!?今からですか!?」

「おう、不明な点が多いからな。直接調べるしかないだろう。捕虜共からの情報では、辺境にしてはそれなりの力を持つらしいが」


 捕虜となったアマゾネス女王国の兵士達によれば、アマゾネス女王国の身分は四段階で、女王がトップで二番目に貴族と女王軍将校が含まれる上級民、三番目に農民や商人職人軍人といった中級民と呼ばれる者達、四番目に下級民と呼ばれる層で西方大陸で言う奴隷である。しかしその扱いは、生きる道具や慰み物ではなく中級民の下について力仕事などをする平社員的役割のようだ。

 このような身分制度が確立されているが、国民は身分の固定を成されていない。何故ならアマゾネスにとって、実力のある者こそが上に立つべきという魔王朝と似た気質を持っている。それゆえか、実力を示したものは下級民から上級民へと成り上がることも出来るらしい。逆に言えば、無能と判断された者は即座に引きずり降ろされるのだ。

 だが一見実力主義の塊のような国と判断できるが、例外がある。それは、基本的に男性の入国禁止だということ。例外的なのは、アマゾネスによって捕虜とされた男達で、大体は下級民よりも下の使い捨ての種馬として使役される運命だという。上級民の場合は、強者の種を予め用意されているらしい。


 これが現状俺が知っているアマゾネス女王国の情報である。何故か女王の名前は、皆言いたがらなかった。そこは、直に確認するので問題ないが。

 まあそこはどうでも良いとして、“冥府教”の影があるアマゾネス女王国を調べることは、それなりに有意義になるだろう。多分な。


「という訳で、また留守にする。悪いな」

「いえ。御主人様の行動を咎めることはありません。私は奴隷ですので」

「あ、うん。そうだね」


 俺としては、一つの反論をしてくれれば有意義な意見を聞けるかもしれないのにと思わなくもない。まあ、しないならしないでいいか。

 俺が脳内で仲間の態度に対する認識を悶々と考えている時、マヤはワゴンにのせた食事を牢屋に入れられた捕虜兵士達に配っていた。


「はい、どうぞ。今日の夕食は、ビックブルのステーキにシーザーサラダ、白パン、野菜スープよ」

「···まさか、本当に三食付きとはな」


 マヤから食事を渡されたアマゾネス女王国兵士達は、湯気の立つステーキとスープを見ながら感心したように呟く。そしてフォークとナイフを手に取り、夕食を食べ始めた。


「···美味い。牛の肉をこれ程美味くするとは。普通の牛肉は、とても食えた代物では無いというのに。下処理が良いのか?」


 アマゾネス女王国の兵士達は、料理の美味しさに少し感涙しながら食べ続ける。それを見ながらマヤは、俺の側にやってきて夕食を置いた。


「御主人様。せめて、行く前にお食事をお取りになってください。腹が減っては戦はできぬ、ですよ?」

「おお、そうだったな。では、いただきます」


 俺は、手を合わせて挨拶を言うとナイフとフォークを手に取りビッグブルのステーキに齧りついた。


「うん、美味しいよ。前よりも腕前上がってないか?肉も柔らかくソースとの絡みも素晴らしい。噛めば噛むほど口の中に良質な肉と油の味が広がるな」

「ありがとうございます」


 本当に上達している。下手したら、前世の日本でもいい線行けるのではないか。

 俺は、そんなことを考えながら食事を取る。やがて、全て食べ終えると俺はその場を立ち上がった。


「では、行ってきます」

「行ってらっしゃいませ、御主人様」


 マヤに手を振りながら俺は、その場から転移した。















◆南方諸島南西部 海上 カゲマサside



 フィリア王国南端に転移した俺は、そのまま南へ風魔法の【フライ】で飛翔する。


「出来れば夜の間に上陸してしまいたいが。スピードを上げれば良いか」


 俺は、海面スレスレで飛んでいく。因みに現在出している速度は、約秒速800mで戦闘機並の速度である。


 俺が飛び続けていると、やがて黒く大きな島が見えてきた。どうやら、アレがアマゾネス女王国らしい。思ったより早く着いて、ん?

 俺は、島から十個の光が飛び上がるのを視認する。やがて、その光がこちらに飛んできたではないか。


「っ!ヤベっ!誘導弾かよ!」


 俺は、即座にやってくる光が誘導弾に類似する何かと判断し、風魔法で逆噴射を行い停止。即座に誘導弾モドキを迎撃する。


(見た感じ赤い光だから、火魔法の可能性があるな。まあ、どうでも良い。今は、迎撃に集中だ)

「【ウィンドアロー】×10」


 俺は、十本の【ウィンドアロー】を発射。【ウィンドアロー】は、誘導弾モドキとぶつかり相殺され爆発した。


「よし、いけたな。さて、上陸··またかよ」


 俺は、いざ上陸しようとしたが再び十発の誘導弾モドキが発射されたのを確認。国を守るためとはいえ、少ししつこいと感じてしまう。なので俺は、飛んでくる誘導弾モドキにワザと命中した。そして、爆発した際に発生する煙に紛れて海へと潜った。


(魔力探知で見つからぬよう魔力をスキル《隠蔽》で隠し海に潜航する。呼吸は、スキル《環境適応》で可能だ)


 《環境適応》。俺が特訓過程で習得したスキル。名前の通りあらゆる環境に適応出来るようになるスキルで、海の中でもマグマの中でも行動可能となる。中々便利なスキルだ。

 俺は、《環境適応》で水の中で呼吸しながら泳いでいく。すると、真っ暗の海の中で何かが動いた。かなり大きいナニかが。


(何だ?《暗視》《暗殺者》)


 俺は、《暗視》で視界を確保し《暗殺者》で気配を無くす。そして、海底の岩場に隠れた。

 暫く辺りを伺っていると、俺の頭上を大きいナニかが通り過ぎる。俺は、すかさず頭上を見た。


(これは、モササウルスかぁ〜〜!)


 それは、中生代の史上最強の海棲爬虫類のひとつにして、白亜紀の食物連鎖の頂点捕食者とされるモササウルスと類似した生物だった。俺は、すかさず《鑑定》を行う。



名前 アング

種族 ギガ·シーレックス

職業 従魔

レベル 27

ランク A

スキル 水生王 超身体能力強化 暗視 水流操作 超速再生 超金剛 強顎 鋭牙



 強い。オマケに全長は、約20m以上と恐ろしくデカい。何より恐ろしいのは、従魔なのでこれを使役している奴がいるのだ。少なくとも、ランクA以上のナニかがいるのだ。

 俺がアングと呼ばれるギガ·シーレックスと使役者に戦慄していると、俺の周りの海流が変化した。


(ん?何故俺の周りだけ海流が、あ)


 俺は、岩に掴まりながら上を見る。そこには、目をこちらに向けて俺をしっかり認識しているアングがいた。俺は、少しばかり目を見開くと同時に俺が掴まっていた岩が海流で崩れ落ちる。

 まさかの事態に俺は、一瞬呆けたが直様冷静に状況を確認する。俺は、掴まっていた岩を壊されて海流に乗り海の真っ只中に放り出された。すると、周りの海流が俺を中心に渦巻状で動き出し、俺を拘束する。


(あのアングって奴、少しは頭を使えるようだな)


 俺は、素直にアングを称賛する。その件のアングは、こちらに口を大きく開けて迫ってきていた。


(だがしかし、やられっぱなしは嫌なものだ。《超身体能力強化》《鉤爪》《水泳の達人》!)


 俺は、強化した馬鹿力で海流による拘束を打ち払う。そして、手から生やされた長い爪を煌めかせながら、高速で泳ぎアングへ接近した。

 一方のアングは、先程まで俺がいた地点で顎を閉じた後、大きく旋回して再びコチラに向かってくる。


(そうだよな。お前は、その巨体故に旋回性能が乏しい。そこがお前の弱点よぉ!)


 俺は、内心得意気になりながら旋回途中のアングの懐へ潜り込む。そして、《鉤爪》を思い切りアングの下腹に斬りつけた。腹からは、多少の出血と深い切傷が出来たが、《超速再生》で治っていく。


「ガゥアァァァ!!」


 だが、斬りつけられた痛みに思わず悲鳴を上げるアング。一方で俺は、あることに驚愕していた。


(コイツ、俺の《鉤爪》が当たる瞬間、皮膚表面の海流を操り、《鉤爪》の威力を殺しやがった!?)


 アングの器用な技に舌を巻いた俺だが、この程度で諦める程軟弱じゃない。

 俺は、懐から一本の短槍を取り出す。これは、迷宮研究所の武器開発部門長である魔人アイアン·ヴェポナーが製作したミスリル製の短槍である。そこに俺がとある【エンチャント】を施しており、もはや魔槍といえる代物だ。


(これは、ある体験を模して【エンチャント】した槍だ。アレ程ではないが、十分な威力を誇るだろう)


 俺は、短槍を構えるとこちらに向かってくるアングの下腹部へ高速移動する。アングは、突然の高速移動に戸惑っているが、そんかこと知らんこっちゃない。


(ホラよ!)


 俺は、短槍をアングの下腹部へ突き刺す。途中海流による威力殺しがあったが、《超身体能力強化》で強引に捩じ込む。

 すると、短槍から黄色の眩い稲妻がアングの体内を走った。アングは、突然の高威力の稲妻に目を見開き悲鳴を上げる。


「ガゥアァァァァァァ!!」

(ふふっ、どうだ?かのマリアンナ·ミルムの持つ〈聖槍タケミカヅチ〉を参考に造ったのだよ!コレは!)


 ロシフェル聖王国の〈神罰者〉であるマリアンナ·ミルムが使用した〈聖槍タケミカヅチ〉。それは、超高威力の雷を操る雷槍である。俺は、アレを再現すべく【エンチャント】を行ったのだが、出来たのはアレの六割程度の威力しか出せない短槍だった。


(まあ、威力自体に文句はない。勇者の武器を再現出来るほど、技術レベルは高くない。だが)


 俺は、ふとアングを見上げる。そこには、全身から僅かに血を噴出させながらも《超速再生》で傷を治しているアングの姿があった。


(やっぱり、相当タフだ。厄介だな)


 俺は、こちらを睨み怒りを向けるアングにむけて苦笑いを向けるのであった。

 

戦闘描写ってムズい。


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