南方諸島北西部、進出②
難産だけど、何故かいつもより長くなった気がする。
誤字報告ありがとうございます!
◆南方諸島北西部黒岩島前 海洋上 カゲマサside
黒岩島の周囲を取り囲む合計十五隻の艦隊。その艦隊は、海賊のアジトである黒岩島へ魔導砲による砲撃を行っていた。
「アッハッハッハ!さあ野郎共!どんどん撃てェ!」
「「「アイアイサー!」」」
艦隊の指揮を行うは、カゲマサの部下であり南方諸島で女海賊として名を馳せていたジレイク·バローである。そして彼女の部下達は、魔人やゴブリン等のモンスターで構成されていた。
艦隊が黒岩島を砲撃している中、俺と三人の魔人が空から砲撃の様子を眺めていた。
「お〜、ジレイクの奴。容赦なく殲滅してやがる。砲撃のし過ぎで島無くならないかな?アレ」
「どうやらジレイク殿は、外の敵を殲滅した後に上陸するつもりのようですな」
「主君、私達は何時になったら突撃許可が降りるんだ?最近腕が鈍っていたから、海賊共相手に慣らしたいんだが」
「御主人様?最近無理をなさっていませんか?疲れましたら何時でもお声掛けしてくださいね?貴方のマヤが癒してご覧にいれますから」
「そのようだな、シドル。ナタリアはもう少ししたら出番あるから我慢我慢。マヤは、お気遣いありがとう」
今は滅びたらしいレシフェ王国陸戦団団長であった元人間ほ魔人シドル。元奴隷のエルフで今現在は魔人となったナタリア·エルーデン。元奴隷の牛獣人女性であり、今は魔人となった世話役マヤ。そして俺ことカゲマサ。
俺達四人は、ジレイクの海賊艦隊による砲撃を眺めながら雑談に興じていた。だがそこに油断は無く、寧ろ雑談をしながらも冷静に黒岩島を見つめていた。
俺達が黒岩島を見つめながら雑談を行っていると、海賊艦隊の砲撃音が静まった。同時に俺の頭の中にジレイクから念話が届く。
『カゲマサァ!そろそろ突撃するからナタリアとシドル降ろせ!』
『わかった。いいな?海賊共からは』
『全部奪う!だろ?』
『ああ、因みに捕まえた海賊には、拷問でもなんでもしていいぞ』
『ははっ!そんなのは、うち等のダンジョンにでも送っとけ!』
俺とジレイクは、笑いながら海賊殲滅について確認し合った後、念話を切り地上へと降下していく。他の三人も降下していくことで上陸することを察したのか、各々の得物を持ち出した。シドルは槍を、ナタリアは剣を、マヤはナイフを。
俺達が黒岩島に上陸した時、海賊艦隊の船から飛び降りたジレイクが激を飛ばす。
「よっしゃァァァ!出番だ野郎共!全てだ!奴等の全てを奪い取れェェ!!」
「「「オオオォォォォーー!!」」」
ジレイクの指示を皮切りに艦船から次々と降りてくる海賊艦隊構成員達。
俺は、その光景に少し興奮を覚えながら海賊が潜むアジトへ走り出す。それに続いてシドル、ナタリア、マヤ、ジレイクも続き、海賊艦隊構成員も雪崩の如くアジトへと押し寄せた。
◆黒岩島 海賊のアジト
黒岩島を根城にしていた海賊達は、混乱の真っ只中であった。突如として現れた十隻を超える大艦隊。大艦隊による砲撃。アジト内に雪崩込んだ無数の敵。海賊達は、混乱の真っ只中にあった為に無数の敵によって次々と殺されていった。
「く、糞ぉ!一体何だってんだ!」
一人の海賊団構成員が悲痛な面持ちで叫ぶ。そして、背後から迫っていた敵構成員によって頭と胴体が切り離された。
こうして見ると海賊達が弱すぎるように見えるが、この海賊達は南方諸島でも膨大な構成員を誇る強豪海賊団であった。その数千人。幹部は、軒並みランクC−で首領に至ってはランクCという辺境では、最高戦力を名乗れる強さを持つ。だが今回は、ただ相手が悪かったのだ。
カゲマサが用意した戦力は、海賊艦隊構成員五千名に数々の兵器、ランクB以上の経験豊富な精鋭戦力だ。ランクCが限界の組織では、到底太刀打ちできない戦力である。
「アッハッハ!さあ奪え!奪い尽くせ!何もかも!容赦なく!」
その精鋭戦力の一人であるジレイクは、興奮しながら敵を斬殺していく。自身が愛用するカトラスを振り回し、血の海を作り出していた。
別の区域では、一人のエルフ耳を生やした魔人ナタリアが剣を使い華麗に舞いながら海賊達を血祭りにあげていく。そのナタリアの背後では、魔人シドルが槍で確実に心臓を突き刺しながら敵を始末していく。
最初は、女だからと年寄りだからと舐めていた海賊達も仲間が次々と殺害される光景を見て戦意が薄れていく。
「ヒィィ!強すぎる!」
アジトの最深部では海賊団構成員の一人が、恐怖の余り失禁しながら逃げ出す。だが誰も咎めない。いや、咎めることが出来なかった。目の前にいる二人の男女が瞬時に殺害したからだ。二人の男女、カゲマサとマヤは確実に海賊達を殺しながら進んでいく。やがて失禁しながら逃げ出した海賊に追いつくと、服の襟を掴み振り向かせる。
「おい、お前等のボスは何処だ?」
「ヒィィ!た、助けてくれぇ!」
「ボスは何処だ」
「お、お楽しみ部屋だぁ!あ、あの扉の奥だよぉ!」
海賊の指差す先には、一つの扉がある。カゲマサは、スキル《存在感知》と《魔力感知》を発動させると部屋の中に一番魔力のある人間と取り巻きの幹部と思わしき存在が五人。そして、女性と思われる魔力が二十人以上いることを確認した。カゲマサは、若干顔をしかめながら掴んでいた海賊を放す。
「ご苦労さまだな」
「へ、へへぇ!」
「では死ね」
「へっ?···あがっ!」
カゲマサは、用済みとなった海賊の頭蓋を拳で陥没させ脳を破裂させた。突然のことで訳がわからないといった顔で事切れた海賊を尻目に、マヤがポケットからハンカチを取り出し血に濡れたカゲマサの拳を丁寧に拭いていく。
完全に血を拭き取られるとカゲマサは、扉の前に立つとマヤに口を開く。
「マヤ。これは俺の予想だが、恐らくこの先には」
「海賊によって強姦の被害にあった女性達がいる、でしょうか?」
「···ああ」
「平気です。私は、御主人様の奴隷。どれほどの苦痛があろうと耐えてみせましょう」
「···すまんな」
「いいえ。お気遣いありがとうございます」
マヤの言葉に決心がついたカゲマサは、扉を火魔法【フレイムボム】で爆破する。轟音を上げて吹き飛ぶ扉。カゲマサとマヤは、臨戦態勢を維持しながら部屋の中へと入っていった。
◆海賊のアジト お楽しみ部屋 カゲマサside
俺とマヤがお楽しみ部屋とやらに入って行くと、幾つもの牢屋に収容されている女性達が目に入った。種族は雑多で人間やエルフ、各種獣人と様々だ。たがどいつもこいつも首領の趣味なのか、胸がデカかった。
俺が周りを観察していると、マヤが俺の肩を叩く。振り向くと俺の前方を指差す。
「奴等が首領と幹部か」
「恐らくは」
俺達が小声で話していると、海賊帽子を被り眼帯をした首領が此方にカトラスを向けながら怒鳴った。
「き、貴様ぁ!こ、この俺をヨクブー海賊団のヨクブーと知っての狼藉かぁ!」
「いや、貴様など知らんが?」
「はぁ!?」
俺は、ヨクブーとやらの質問に素っ気なく答えるとヨクブーとやらは、少し下卑た笑みを浮かべて口を開く。
「き、きひひ、お前。今引き返せば命は取らないで置いてやる。この場にたどり着けたのは、転移魔法で来たのだろう?俺には、千人を超える部下がいる。お前でも千人を相手には無謀というもの」
「断れば?」
「キヒヒ、貴様を半殺しにした後、横の女を目の前で犯してやるわ!さぞいい声で泣きそうだぜ!」
ヨクブーの言葉に取り巻き達は、下卑た笑い声を。上げる。その光景を見て俺は、ヨクブー達の浅知恵を少し哀れんだ。
(こいつ等、俺達が正面から構成員を薙ぎ倒してやって来たことに気付いていない。それに)
俺は、ちらりと隣を見る。そこには、顔に青筋を立てて身体を震わせながら怒りを必死に隠そうとするマヤの姿だった。
取り巻きの海賊達は、マヤの震えを恐れによるものと勘違いしたのか下卑た笑みを更に深めてヨクブーに懇願する。
「ヒヒヒ、ヨクブー船長。あの女俺にくださいよぉ。俺の調教で朝も夜も求める体にしてやるさぁ」
「キヒヒヒ、いいぞ。やれ!」
ヨクブーは、取り巻きに命令すると取り巻きの海賊達は、舌なめずりしながらマヤに襲いかかる。
だがなぁ。海賊達よ。お前等少しマヤを舐め過ぎじゃないか?
「···ゴミ虫が」
マヤは、襲いかかって来た取り巻きの股間を思い切り蹴り上げた。
「あっ〜〜〜〜ッ!!」
取り巻き海賊は、その場に倒れ込み股関を抑えながら声にならない断末魔の叫びをあげた。股間からは、大量の血液が溢れ出しており何が潰れたのか容易に分かった。
「私の肉体を好きにして良いのは、御主人様ただお一人。断じてお前のような下衆では無い」
マヤは、怒りと冷酷さを同居させた目で、未だに股関を抑えてのたうち回る海賊の上顎と下顎を掴む。
「図に乗るな。人間」
マヤは、それだけ口にすると海賊の上顎と下顎を思い切り引き裂いた。海賊の体は、まるで熱したバターのように簡単に引き裂かれ、血が臓物が骨が飛び散った。
部下が引き裂かれた光景を見たヨクブーは、先程の余裕は何処へやら。顔を青くして口元を抑えながら、呟く。
「ひ、ヒデェ」
「ヒデェ?自業自得じゃないか?」
俺は、思わず口に出す。コイツ等の口ぶりから察するに、日常的に強姦を繰り返していたようだ。それに、血の匂いが充満していることを考慮すると飽きたら拷問して殺していたと思える。···いや、実際にしていたようだ。今取り巻きの記憶を覗いた所、気に入った女の親族を殺して手籠めにし、女を犯し尽くしたあと、証拠が残らぬように過度の拷問をして殺していたらしい。
俺が海賊達の所業に辟易している間、マヤはナイフ片手に残り四人の取り巻きへと足を進めていた。
「あ、ああ!」
「ば、化け物だ!」
「ひっ!」
「く、来るなぁ!」
「に、逃げるなバカ共!」
取り巻き達は、先程引き千切られて死んだ仲間の姿を連想しマヤから距離を取ろうとする。だが彼等の首領であるヨクブーが許さない。ヨクブーは、部下の一人に剣を突きつけたのだ。
「俺を守れ!それがお前等の役目だろうが!」
「ふ、巫山戯るな!あんな化け物、どう考えたって無理だろうが!俺はゴメンだぞ!?」
「き、貴様!俺に逆らうのか!?」
何やら仲間割れを始めだした。まあ、命欲しさに逃亡するのは生物の本能なんだろう。それ自体は何の問題はない。だが、それを許すか許さないかといえば、許さないが。
俺は、その場からスキル《俊足》を使い海賊達の背後へ移動する。そして、取り巻きの一人の顔面にスキル《剛力》を上乗せした張り手を喰らわせた。結果、取り巻きの頭は風船の如く破裂した。
「げぇ!?」
「お、お助け」
俺は、海賊達の命乞いを無視して張り手を喰らわせていく。よって残る三人は、ものの見事に頭が破裂し床の染みとなった。
「御主人様···」
「マヤ。これ以上下衆共に割く時間は無いぞ?」
「はい。分かりました」
マヤは、少し物足りなさそうしていたが、俺の言葉に溜飲を下げたようだ。さて、ヨクブーはというと。
「キヒヒヒ、お前等ァァァ!これを見ろ!」
何やらボロボロのベッドに縛り付けられていた犬獣人の女性を、まるで盾のように持ち首にカトラスを当てていた。
「お前等は、こいつら全員を救出しに来たのだろう!?ならば、コイツの命と引き換えに俺の命を保証しろォォォ!」
どうやら犬獣人の女性の命と交換で自分を見逃せと言っているらしい。このヨクブーの行動に俺は、嘲笑を向ける。
「な、何が可笑しい!」
「いや、俺達は彼女達を助けに来たのでは無い。この島を拠点にすべく強襲しただけのこと。そこに偶々お前等がいただけだ」
「な、な!」
「動かないならば都合が良い。犬獣人諸共死ね」
俺は、これみよがしに【フレイムボム】を十個生成。ヨクブーの周囲に展開させる。その時、犬獣人の女性が涙を流しながら叫んだ。
「やって!コイツ等は、私のパパとママ、兄を殺して私を犯そうとした奴等なの!早く、私諸共!」
「て、テメェは黙ってろ!」
その言葉に俺は、ニヤリと笑うと【フレイムボム】を更に二十個に増やした。
「分かった。三秒待つ。辞世の句でも読め」
「なっ!?」
「三」
「ま、待て!」
「ニ」
「ちょ」
「一」
「く、糞ォ!」
「零」
俺は、【フレイムボム】二十発をヨクブーと犬獣人の女性へ放つ。
ヨクブーは、俺が本気だと感じたのか犬獣人の女性を捨てて逃げ出す。
「そうするだろうと思ったよ。俺も下衆だもの。よく分かる」
俺は、予め読んでいたように犬獣人の女性に向かった【フレイムボム】の軌道を変更。ヨクブーの元へ向かい、ヨクブーの頭で爆発。ヨクブーは、爆発の余波で吹き飛び頭を失いその場に倒れた。
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