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南方諸島北西部、進出①

卑猥な表現があります。苦手な方は、ブラウザバックを推奨致します。


◆セブンス帝国 秘密庭園 カゲマサside



 それは、俺が寝間着姿でコタツに入って蜜柑を食べながら1トンの重さがあるダンベルを上げ下げしている時だった。


「カゲマサ殿、マスターがお呼びです。此方へ」

「え、ちょ」


 突然現れたロロ·セブンスによって俺は、無理矢理ロロと共に転移させられた。転移した先は、以前来たことのあるナナさんの秘密庭園だった。


「よく来てくれましたカゲマサ。貴方に頼みたい仕事が···なんですかその格好は」

「い、いや〜、少し休憩中だったもので」


 ナナさんは、座ったままで寝間着姿、左手に蜜柑、右手にダンベルという姿の俺に疑問符を浮かべる。まあ、誰だってそう思う。俺だって思う。

 俺は、頭を掻きながらナナさんに向き直る。ダンベルは【ボックス】へ入れて、蜜柑はペロリと平らげた。

 ナナさんは、若干微汗をかきながらも笑顔を浮かべている。俺は、直様佇まいを正して寝間着から黒外套の姿へと切り替えた。


「おほん!それでナナさん、俺に仕事とは?」

「あ、あ〜、ええ。仕事ですね。貴方には、フィリア王国という南方諸島西部にある島国をアマゾネス女王国から防衛しに行ってきて欲しいのです」


 ナナさんの口から出たフィリア王国という言葉に俺は、聞き覚えのある言葉だと考えながら口を開く。


「何故フィリア王国なのでしょうか?」

「あら、エルザム神聖国の統治者ならば耳に入ってるのではなくて?」

「入っていますが、何故今なのかと疑問に思いまして」

「ああ、それなんだけど。ぶっちゃけフィリア王国自体はどうでも良いのです。滅ぼうが発展しようが」

「は?」


 フィリア王国自体はどうでも良いのか?じゃあ、なんで介入するんだ?はっきり言って無駄なんじゃあ。

 俺の疑問が分かったのか冷たい眼差しで俺を見る。して、憎々しい雰囲気で口を開いた。


「〈冥府教〉が南方諸島での活動を活発化させています」

「っ!奴等が!?」


 俺は、思わず身を乗り出して驚いてしまった。

 〈冥府教〉。昔に聖王国によって駆逐されたとされるカルト宗教。死の力を集めて世界を死で満たし自分達にとって都合の良い世界を作ろうとする危険な集団。俺のダンジョンにも、二人侵入してしまったことがある。確かロディック・アトルフとブラッドだったか?


「しかし何故奴等が?確かに南方諸島は戦乱あふれる地。奴らの求める死の力とやらが獲得しやすいのはわかりますが」

「そう。何故死の力が定期的に取れる南方諸島で、無闇に行動を活発化させる理由が分からない。だからこそ探るのです。もしかすると恐ろしい企みがあるかもしれません」

「それだったらナナさんが出向けばよいので」

「私が下手に動けません。ここには、奴等が個別に欲しがる物があるので」


 ええ?〈冥府教〉が欲しがりそうなもの?全人類殺害装置か何かか?

 俺は、頭に大量の疑問符を生み出しながらも、恐らく効率的に人類を殺すことの出来る魔道具あたりと考えて思考を変える。


「それで、フィリア王国を防衛した後はどうするのです?」

「本格的に調査に入りなさい。やり方は貴方に一任します」

「その間俺のダンジョンはどうなりますか?」

「代わりに私のモンスターをダンジョン周辺に配置します。厄介な人物の排除は任せなさい」

(俺が裏切れば、ダンジョンに殺到してコアを破壊するってか。抜かりないな)


 俺は、内心ため息を吐きながらもナナさんの狙いを看破する。が、看破したところでどうにもならないので俺は頷く。


「はあ、分かりましたよ。それで報酬は?」

「前金として南方諸島におけるダンジョン領域拡張許可をあげましょう。依頼を達成した暁には、追加に五千万DPを払います。それにアソコは、中々にDPが取り放題ですよ?サブダンジョンを構えることをオススメします」


 なるほどね〜。まあ、南方諸島なんて場所に行くんだし拠点として、サブダンジョンを作るのもアリか。

 そう考えた俺は、了承の意を示しナナさんがニッコリと笑ったあと、俺は早速ダンジョンへと帰還した。
















◆ダンジョンコアルーム カゲマサside



「というわけでだ、ジレイク。何処か手頃な島はないか?」

「島ねぇ?」


 ダンジョンに帰還俺は、早速最高幹部〈六将〉と迷宮近衛隊長の一人であるシドル·ヴァレンスリーと迷宮海賊艦隊の首領であるジレイク·バローを呼び出し、会議を行う。因みにいまのシドルとジレイクの《鑑定》結果はというと。



名前 シドル⋅ヴァレンスリー

種族 上級魔人

職業 迷宮近衛隊隊長

レベル 32

ランク A

スキル 剣術の達人 指揮 身体能力上昇 etc.



名前 ジレイク⋅バロー

種族 上級魔人

職業 迷宮海賊艦隊首領

レベル 74

ランク A+

スキル 大海賊⋅⋅海上での身体能力超上昇、統率力上昇、海流把握 カリスマ etc.



 このようなパラメーターとなっていた。というか、ダンジョン内で多少の戦闘しかしなかったシドルと海賊として海を荒らし回ってきたジレイクとは、如実に差が出ていたという結果になっている。

 この結果を伝えたときジレイクは喜びシドルはどこか沈んだ雰囲気となってしまったが、俺は無視した。


「島、島、島。···あ〜、一つだけあったね〜!おいカゲマサ!南方諸島の海図あるかい?」

「貴様!カゲマサ様だろうが!自惚れるな海賊ゥゥ!」

「まあまあキラー。落ち着いて」


 ジレイクは、俺に海図を要求するがその言葉使いにキレた〈六将〉キラーが噛みつく。

 まあ俺は、そこまで気にしてないので【ボックス】の中をゴソゴソとしながらキラーを宥めた。


 やがて俺は、【ボックス】から一枚の海図を見つける。そして見つけた海図をテーブルに広げた。


「サンキュ〜!···ここだね。この辺りに丁度良い大きさの島があった筈さ!」


 ジレイクが指を指したのは、南方諸島北西部の海域で例のフィリア王国とは、それほど離れていなかった。


「ふむ···。おいジレイクよぉ。その場所詳しく思い出せるか?」

「おう、完璧に!だがよ、今はとある海賊団に占拠されてるが」

「くくっ、そうか。ならば、海賊らしくいこう。奪うぞ!〈六将〉は、持ち場についてダンジョンを守れ!いいな!ついて来いジレイク、シドル!」

「あいよ!」

「はっ!」


 そう言って俺は、ジレイクとシドルを伴ってコアルームを出た。因みにコアルームを出る際キラーの視線がドロドロしていたが、気が付かなかいフリをしておいた。















◆南方諸島北西部 黒岩島 海賊団のアジト



 南方諸島北西部にある一つの島。その島は、黒い岩に囲まれていることから黒岩島と呼ばれるようになったのだが、今では何処からかやって来た海賊団に占拠されていた。

 海賊団のアジトとなった島内にある洞窟では、一人の海賊がボロボロのベッドの上でギシギシと何かをしていた。


「グッヘッヘッヘ、おらどうした。俺には屈しないんじゃなかったのか?アア?!」

「ぐっ···あ」


 男は、下劣な笑みを浮かべながら一人の女獣人に馬乗りになりながら顔を殴りつけていた。女獣人は、既に衣服は引き剥がされておりあられもない姿を晒している。その周囲には、下半身を露出している男達が数人いた。


「ヒッヒッヒ、頭ぁ!殴り癖もいいですが、早くヤッちまいましょうよ!後がつかえてんですよ!?」

「そうだそうだ!せっかく近くの村から巨乳の女を捕まえてきたんだからよぉ!他にも沢山いるが獣人は、滅多にいないんだぜぇ?」


 男達は、頭と呼ぶ男に下卑た笑みを浮かべながら懇願する。対して頭と呼ばれた男は、舌なめずりをしながら頷いた。


「グヘヘ、そうだな。そろそろ喰いどきか」

「ヒッ」


 頭の言動に女獣人は、怯えと恥辱に塗れた表情を浮かべながらも後ずさる。その顔は、男によって殴られて痣と血グチャグチャだ。


「さぁ〜て、いよいよテメェも女の喜びを知るときだ。何心配するな。俺の後には、多くの男共に愛してもらえるぜ?」

「そうそう!精一杯可愛がってやるぜ?子犬ちゃ〜ん!」

「「「ギャハハハハハッ!!」」」


 下卑た笑い声を上げる男達に女獣人は、とうとう女としての尊厳も奪われると恐怖し涙する。だがそれでも、何処にもない筈の希望に縋って絶叫した。


「誰か、だ、れか!誰か助けてェェェ!!」


 しかし声は響くだけで何も起こらない。その様子に頭を含む海賊達は、ニタニタと嗤う。


「バァ〜カ。来るわけねぇだろうが!」


 頭は、そう言ってズボンを下ろす。そこには、男の象徴がせり立っていた。


「さあ、子犬ちゃん。ヤろうか♪」


 女獣人は、もはやここまでとばかりに目を閉じる。来るであろう不快な快感に耐えるように。


 その時だった。洞窟全体が何かの爆発の衝撃で揺れたのは。


「な、なんだぁ!?これから良いときだってんのに!!」

「頭ァ!大変だァァァ!」


 頭が突然のことであたりを見回していると、一人の男が粗末なドアを開けて部屋に飛び込んでくる。


「おい、一体何の騒ぎだ!」

「そ、外に、船団が!」

「船団だぁ?何隻だ!三隻か?」


 頭は、前に襲ってきた船団の最高の数を言うが、報告しに来た男は顔を真っ青にしながら顔を横に降る。


「三隻どころじゃない!十隻以上の大艦隊がこの島を取り囲んでるんだよォォォ!」

「な、なにィィ!?」


 報告を聞いた頭は、下半身が露出していることを忘れたまま呆然となった。


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