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各々の反応②

短いです。


◆魔王朝六番領 領政府



 魔王サンガンは、シャンガンとセイを椅子に座らせた後に間髪入れず口を開いた。


「で、どうだったのだ?大魔王様が仰られていたダンジョンマスターは」

「はい、かのダンジョンマスターについてですが」


 サンガンの問いにセイは、淡々と答えていく。幾問かの質問を繰り返した後にサンガンは僅かに溜め息を吐きながら額を抑える。


「はあ〜、大魔王様がお認めになっていることから強いとはわかっていたが、そこまでか」

「ええ、現段階でも魔王軍六軍団長の地位に十分挑める強さですよ」

「ほお、つまり我と同等ということだな?」

「その認識でよろしいかと」


 その言葉にサンガンは、額を抑えながら獰猛な獣の如き笑みを浮かべる。その笑みにセイは、僅かに冷や汗を流しながら話を続けた。


「あの、サンガン様?我儘言ったって勝負させませんからね?」

「っ!!わ、わかっている!あ、シャンガンはどう思った!」


 セイの言葉を受けたサンガンは、慌てながらシャンガンへと話を振る。


「俺か?そうだな〜。直接見たわけじゃないから分からねぇが、部下に恵まれていたな!」


 シャンガンは、自分と戦った天使ミカエルを思い出す。あの天使は、間違いなくダンジョン幹部なんだろうが、あれ程実力が高く厚い忠誠心を持った部下は滅多にいない。

 ダンジョンモンスターは、基本マスターに絶対服従だが初めから忠誠心があるわけじゃない。意志はある。思想がある。好き嫌いがある。服従と忠誠はイコールではないのだ。それを、あそこまで狂信的とするなど並大抵のカリスマ性では無い。


「部下、か。そういえばシャンガンよ、お前のダンジョンモンスターから連絡が来てたぞ。ダンジョン内の環境が悪くなってきたから、整えてほしいと」

「なぬ!?それは不味いな!行ってくるぞ!」


 シャンガンは、そう言って部屋から飛び出し己のダンジョンへと向かって行った。


「全く、ダンジョンの管理が出来る部下ぐらい持てとあれ程言ったであろうが」

「サンガン様のダンジョンは大丈夫なのですか?」

「心配無用だ。管理職のモンスターを多数運用し万全の状態で管理している」


 サンガンは、自信満々に胸を張る。相当自信があるようでその目には、不安といったものは全く無い。


「ならばよろしいのですが」

「うむ!···ああそういえば、近々大魔王様よりお前達へ昇進のお話があるそうだぞ?」

「え!?我々が昇進ですか!?」

「そうだ。理由は後で話す。配属先だがセイは、第三軍団の支援大隊員から第三軍団海兵隊第一遠征旅団長だ。おめでとう」

「か、海兵隊第一遠征旅団って、バリバリの武闘派じゃないですか!?何故自分に!?」

「安心しろ。常に笑顔とやり甲斐と鮮血がある部隊だ」

「何一つ安心できません!」


 セイは、大声でサンガンに詰め寄るが当のサンガンは、のらりくらりと追求を躱していく。やがて無駄だと悟ったセイは、椅子に力なく座った。


「···何故自分が海兵隊の第一遠征旅団なのでしょうか?自分は、どちらかと言えば後方支援が得意です。あまり直接的な戦闘は」

「ああ。これは、まだ世間には公表されていないのだが少し前に大魔王様による密命で、我が第三軍団海兵隊に出撃命令が下されたのだ。その密命を達成するためには、セイの支援能力が必要だと大魔王様が判断したのだ」

「なんですって!?···一体どこに?」


 突然のことにセイは、一瞬戸惑ったが直ぐに表情を引き締めた。


「出撃命令として示されたのは、南方諸島。そこにいる“冥府教”を潰せとの御命令だ」


 その言葉にセイは、冷や汗を流しながら敬礼した。















◆南方諸島 とある小さな島



 南方諸島のとある島。この島は、小さいながらものどかで自然に恵まれ温暖な気候の住む人々にとっては比較的平穏な島だった。

 しかし今では、そののどかな風景や自然、温暖な気候は、瓦礫に死体の山、上っていく黒煙、血の匂いが混じった風と無惨な光景が広がるのみであった。


「ふあ〜あ。全く弱すぎやな〜、ここの連中は。そう思わへんか?()()?」 


 そんな無惨な光景が広がる中、欠伸をしながら歩いている一人の糸目の男。手には、一振りの剣が握られており斬ったであろう人間の血がこびり付いていた。

 その男は、欠伸をしながら死体の山の頂上でしきりに何かを行う存在に声をかける。


「うふ、ウフフ、どうしたノ?ワタシを殺すんでしョ?ほら、殺してみなさいヨ。愛しいアナタ?ねぇ、ねぇねぇ、ねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇ、ネェ?」


 死体の山の頂上にいたのは、黒いドレスを着た一人の女性。その女性は、しきりに一つの鎧を着た死体へ剣の抜き差しを続けている。その顔は、目元に隈ができ返り血で塗れていたが笑顔だった。


「ん〜、ワイも殺すのは好きやけど、殺し愛っていうん?よぉ分からへんわ。とても同じ存在とは思わへんね」

「ネェネェネェネェ···あら?アラあらアラ。()()()じゃなイ。どうかしたのかしラ?」


 男に気付いた女性は、剣の抜き差しを止めて男の方へ近寄ってくる。


「あ〜、実はな〜。この島の死の力も大体集め終わったし、そろそろ戻らへん?同盟者のことも蔑ろにしたら、計画に支障が出てまうわ」

「うふ、そうなノ。大変ネ、大変なノ。早くもどって、新しい旦那様を見つけなきャ。うふウフフ」

「いや、ちゃうねん。新しい島に行くんやなくて、戻って待機す」

「ああ、待っててネ?愛しの旦那サマ!ワタシが行って愛してあげるかラ!アハハハ、あはははハハハハ!!」


 女性は、支離滅裂な言動を繰り返しながら笑い続けた。その光景を見ていた男はというと。


「はあ〜、全く話が通じへん。大本がアレとはいえ壊れすぎやろこれは。一体肉体の元の持ち主は、どんな奴やったんや」


 呆れた表情を浮かべた糸目の男は、剣を鞘に収めて女性に近付き手刀を頭に落とす。


「あう!何するのヨ、()()()

「いや?ほら、さっさと行くで?同盟者を待たせたらいかん」

「アラ、ワタシ達の再会を邪魔するノネ?」

「っ!?ヤバっ!」

「シネェ!」


 女性は、突如として男に剣を振り下ろす。男は、間一髪で躱したが女性の攻撃は止まらない。


「ワタシ達の再会を邪魔するヤツ、許さなァァァイ!!」

「ちょっ、待ちぃな!こんなの聞いてへんで!」


 女性は、男を追いかけながら剣を振り回す。その余波で瓦礫が吹き飛び死体の山は細切れにされていった。男は、必死に逃げ回りながら女性が落ち着くまで待つことを余儀なくされてしまった。

 その後女性は、少し落ち着いた後男に連れられて、その場から姿を消した。










 その後偶然島を訪れた人間は、島の荒れ模様を見て災害か何かと勘違いしたという。


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