焼き鳥モドキと奴隷
焼き鳥&奴隷です。
俺は練兵場から逃げるように出ると、気晴らしにファースの街を散策することにした。街の大通りを歩いていると、周りからたくさんの視線を感じる。やはり死霊公の一件で目立ちすぎたか?
しばらくして、一つ屋台が目に入った。屋台からは、美味しそうな匂いが漂ってくる。よく見ると、どうやら焼き鳥みたいな料理のようだ。
「すいません、一本ください」
「あいよ。ブラックチキン焼き、一本銅貨12枚ね」
俺は、盗賊襲撃の際に冒険者から奪った銅貨で払い焼き鳥モドキもといブラックチキン焼きをもらう。早速食べてみると、焼き鳥の味が口に広がる。このところ美味しいものを食べていないので、余計に美味しく感じた。更に屋台のおじさんによると、このブラックチキン焼きはこの地域だとそこそこ高級品にあたるらしい。なんで屋台で売ってんだ。
すると、後ろに一台の馬車が通る。荷台には、十数人の首輪をした者達がいた。種族は、大きく分けて三種類で、人間と動物の耳や尻尾をもつ獣人、そして人間よりも耳が長く尖っていて魔力に優れたエルフだった。エルフか。初めて見たけどイメージ通りの見た目をしてるな。
「おや、お客さん。奴隷に興味あるのかい?」
すると、屋台のおじさんが話しかけてきた。
「あ、いや、最近色々動くことが多くて側用人の一人や二人いてもいいかなと」
「なるほどねぇ。それならレード商会に行ってみたらどうだい?あそこは、ファースの街でも一番の奴隷商会だ。取り扱う奴隷の数も豊富だし、お客さんの希望する奴隷もあるかもね」
「そうですか。ありがとうございます」
俺は、親切に教えてくれた屋台のおじさんに礼を述べて道を教えてもらった後、レード商会に向かった。
しばらくして俺は、レード商会の前までやって来た。中に入ると、一人の男性が近づいてきた。受付の人かな。
「ようこそレード商会へ。本日はどのようなご用件でしょうか?」
「ああ、奴隷をさがしているんだが」
「なるほど。では、条件をどうぞ」
「ある程度戦える、知識がある、反逆しない、性別種族年齢問わずだ。あるかな?」
「フムフム、分かりました。ただし反逆についてはご安心ください。反逆すれば、隷属魔法が反応して奴隷の首を絞め殺すようになっております」
「そうか」
「では、こちらにどうぞ」
俺は、男性に連れられ商会の地下に通されると、そこは牢屋がいくつもあり中には奴隷が入っていた。既に大勢の人間が希望の奴隷を探している姿も見受けられた。結構人気だな。
「失礼、基本奴隷はどんなことに使われるのかな?」
「奴隷は、主に鉱山での作業や戦争の捨て駒、一部貴族の玩具などですな。まあ、これらの事に従事するのは重犯罪者だけで、金を用立てるために身売りした者たちは軽い使用人といったものとなっております」
「なるほど。」
なかなか酷かったが、同情はしない。重犯罪者だし。それに同情したところで相手は、余計に惨めになるだけだ。
「お客様、紹介を始めますがよろしいですかな?」
「頼むよ」
「ではまずこの奴隷から。名前はダートン・ナロビック、レベルは8でランクはDの元帝国軍一等兵です。年齢は、34歳でギャンブルで大敗した後、身を売りました」
ギャンブル中毒者か。却下。余計なことをしそうだ。今にも目の奥に欲望がチラついてるし。
「次に盗賊団の構成員の男で名前をヤッピル・マフマロ、盗賊ながら知識もありモンスターとの交戦経験有りです。レベル12でランクDー、衛兵に捕まって奴隷落ちです」
何か不安、却下。
その後も紹介されたが、どれもパッとしなかった。そして紹介が終わった時、一つの牢屋が気になった。その牢屋の周りには、隣接している牢屋がなく隔離されているのだ。
俺は、気になって覗いてみるとそこには体の一部が、泥々になりおぞましい形状になっている二人の亜人だった。
次回は、奴隷と魔石屋の予定です
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