表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
259/302

ダンジョン防衛作戦、第三十五階層④

いつの間にか累計PV3,000,000を突破してた。ありがとう御座います!拙い文章である本小説ですが、温かい目で目でいただけたら幸いです。


※ダンジョン防衛作戦、第三十五階層④と⑤を統合しました。


◆ダンジョン第三十五階層 闘技場



 魔人ギオは、その場から一気に加速しパークス等に迫る。一方のパークス等は、パークスが盾と予備の剣を取り出して構える。エマは拳を、ドトールは新たな二体の〈真銀魔導人形ミスリルドール〉を、タロは杖を構えた。


「シャアオラァァァ!!」


 迫る魔人ギオの拳にパークスは、盾を使って防御するが盾はひしゃげ、盾を持っていた左手は潰されてしまう。


「ぐっ!?」

「パークス!このぉ!」


 エマは、パークスの左手が潰されたことに怒り跳躍、そして炎を纏わせた拳を振るう。


「《炎武·豪炎拳》!!」

「もういいぞそれは!」


 だが、魔人ギオの剛腕によって相殺され、逆に振るった拳がパークスの左手のように潰され抉られた。


「···〈真銀魔導人形ミスリルドール〉!あのデカブツを止めろ···!」


 そこにドトールの操る〈真銀魔導人形ミスリルドール〉三体が魔人ギオへと襲いかかる。が。


「なんだなんだ!またガラクタ共か?脆いぜ!」


 魔人ギオの剛腕で全て破壊される。こうして見るとミスリルが脆いように見えるが、魔人ギオが余りにも馬鹿力すぎるだけだ。


「···くっ」

「舐める、なぁぁ!!《炎武·深裂脚》!!」


 そこに腕が千切れかけたエマが魔人ギオの腕に《炎武·深裂脚》を叩き込む。だが、血反吐を吐きながらも繰り出した一撃は。


「あ?痒いな」


 魔人ギオにとっては、まるで蚊に刺された程度のものでしかなかったのだ。


「糞ったれめぇ!このイカれた化け物がぁ!」

「ハッ!お前等が弱いだけだろ!」


 エマの吐いた罵倒を魔人ギオは、笑いながら一蹴する。そして、エマの足を掴み地面に叩きつけた。


「がはっ?!」

「エマァァ!貴様ァァァ!!」


 地面に叩きつけられたエマの姿を見たタロは、集中していた魔力を即座に開放する。


「雷風合成魔法、【ボルテックス·ハリケーン】!」


 タロの腕から放たれたのは、雷を撒き散らす竜巻。その竜巻は、魔人ギオに向かってビームの如く襲いかかる。


「ほお、中々の威力だな!まっ!正面から打ち破ってやるぜ!」


 その魔人ギオの余裕綽々といった態度にタロは、ほくそ笑む。

 この【ボルテックス·ハリケーン】は、分類上最上位の魔法とされるエルフ秘伝の魔法の一つ。その威力は、かつて現れたランクAのモンスターを容易に滅ぼした程だ。今回は、あの時の倍近く魔力を投入している。


(これを受けて立っていられる生物など、いるはずが無い!)


 タロは、この魔法に自信と誇りを持っていた。ランクAモンスターを討伐したという実績が、それを助長している。

 そして【ボルテックス·ハリケーン】が魔人ギオに当たろうとした、その時だった。


「悪いが、大切な仲間を殺らせる訳にはいかないんだよ。【巨岩砲ガイアカノン】」


 突如魔人ギオの前に現れた新たな魔人によって、【ボルテックス·ハリケーン】は霧散。代わりにタロの目に前に凄まじいスピードで飛来した巨岩が迫る。

 タロの意識は、そこでブラックアウトした。

















◆ダンジョン第三十五階層 闘技場 カゲマサside



さて、【巨岩砲ガイアカノン】でエルフ一人は死んだ。次は、棒立ちしている人形使いだな。

 コアルームから転移してきた俺は、首をコキコキと鳴らしながら呆然としている人形使いの背後に移動する。傍目から見たら、瞬間移動のように見えただろう。


「こんにちは、そしてさようなら」

「···ッ!?ミスリ」


 人形使いは、手持ちの人形を繰り出そうとしたが、その前に俺が手刀で人形使いの心臓を刺し貫く。


「····ゴハッ」

「ダメ押しだ。【ヘルフレイム】」


 ダメ押しの【ヘルフレイム】で人形使いは、体内から焼かれていく。暫く藻掻いていたが、体中が炭化しやがて動かなくなった。

 それを見届けた俺は、炭化した人形使いを拳で叩き壊す。ボロボロに崩れる人形使いを見ながら冷酷な笑みを浮かべる。


「さあ、あと二人だな」









 さて、奴等の仲間二人は始末した。残りは、人解の男と猫獣人の女か。さっさと始末して···あれ、ギオがこっちに来てるぞ?


「おおい!何で割り込みやがった!彼奴等は、この俺と遊んでたんだぜ?!」


 ああ、そうか。ギオの奴随分とハイテンションで殴ってたからな。中々に楽しんでいたのだろう。それを俺が横取りしてしまった形になってしまったのだ。


「あ、ああ、すまなかった。残る敵勢力がこいつ等だったから、確実に始末するべくな」

「うるせぇ!邪魔するならお前から潰すぞ!」


 うわぁ、これはかなり御立腹だぞ。あ、そういやコイツの望みは強者との死闘だった。でも、こいつ等言う程強者か?一人だけ《鑑定》してみるか。



名前 パークス·ロアン

種族 人間

職業 Bランク冒険者

レベル 39

ランク B

スキル 剣術の達人 氷魔法の達人 魔力障壁 剛力 俊足 微弱のカリスマ 



 え?これだけ?というか、《微弱のカリスマ》って何?俺の《カリスマ》の下位互換か?だとしても、これはスキル数が少ないぞ。ランクがBということは、人間の中ではそこそこの強さだが、強いと言われるとギオ以下の存在だと言わざる負えん。


「こいつ等そこそこの強さしかないのに、何処が気に入ったんだよ」

「気に入ってはねぇよ!ただ、遊び甲斐のあるおもちゃなだけだ!」

「あ〜、そうなんだ」


 どうやら認識が違ったみたい。ギオにとってこいつ等は、敵ではなく玩具という認識みたいだ。


「じゃあ、俺が片方殺るからもう片方殺れよ」

「ぬお?良いのか?」

「どっちみち始末するんだ。方法は問わないさ」










 そんな会話を俺達がしていた時、パークスとエマはというと。


「パークス、アンタは宝持って逃げなさい」

「っ!?何を言ってるんだ!俺に仲間を捨てろと!?」


 エマは、パークスに道中手に入れた宝を持って逃げろと言う。が、パークスは憤慨してエマに掴み掛かる。


「いい?パークス。恐らくあの化け物の隣りにいるのは、奴等のボスよ」

「ボス?ダンジョンマスターか!」

「そして、ダンジョンの中でも最強の存在ね。あの化け物にも勝てないのに、それ以上のが出て来たらおしまいよ。だから、ここは逃げなさい」

「だったらエマも逃げろよ!」

「何言ってるの。足止めは必要でしょうが」


 エマは、少し口角を上げて笑うが、パークスは引き下がらない。


「エマ、君だって生きたいだろう?だって、君の腕が」

「私の腕がなに?」

「震えてるじゃないか!怖いんだろう!?なら、一緒に逃げよう!」


 現にエマの腕は、プルプルと震えていた。だがエマは、腕を掴み力を入れる。恐怖を覆い隠すように。


「···出来ない」

「なんで!」

「貴方のほうが生きる意味がある。妹さんの為に薬を届けるんでしょう?ならば、より良い生き残る確率を上げたほうが良い」

「···っ!」

「行って、私の覚悟が曲がらない内に」


 妹の治療に仲間の命。パークスは、その2つを天秤に掛けて悩み悩み悩み、決断した。


「·····すまない。すまないっ!!」


 パークスは、エマに背を向けて走り出した。エマから受け取った宝を袋に入れて。振り向かずひたすらに走り続けた。















 何やらリーダー役のパークスとやらが猫獣人の後ろ、闘技場出口に向かって走り出した。どうやら逃げに徹したようだな。そして猫獣人は、こちらに突っ込んでくると。


 よし。


「ギオ、突っ込んでくる猫獣人やるよ。俺は逃げた奴な」

「チッ、しょうがねぇな」

「まあまあ、後でゼクトと組手させてやるから」

「よっしゃあァァァ!やるぜ!」


 ゼクトとの組手は、よほど魅力的だったのか即座にやる気を出すギオ。それを見ながら俺は、逃げたパークスの元へ転移しようとする。


「っ!行かせるか!」

「いや、行くね。貴様に構ってる程暇じゃないんだ」


 防ぐべく猫獣人が蹴りを放つがギオに防がれる。その隙に俺は、逃げたパークスの元へ転移した。


「やあ、悪いが止まってくれ」

「うっ!」


 転移が完了し目の前には、闘技場を出て森の中を走っていたパークスだった。


「な、何故」

「はて、何故とは?あの猫獣人が俺を止められると思っていたのか?」


 だとしたらお笑いだ。あの程度の実力でこのダンジョンに挑むなど、舐めているにも程がある。俺を止めたいなら、せめてウチの最高幹部〈六将〉クラスを持って来い。


「···くっ!俺は生き残らなければ!俺には、帰らなければならない理由が!」

「知るかよ、お前の事情なんか。さっさと死ぬが良い」


 俺は、パークスに向けて【ヘルフレイム】を放つ。対してパークスは、《魔力障壁》を張るが容易に砕かれ左腕に被弾した。


「そら、もう一丁【ヘルフレイム】だ」

「っ!」


 俺は、【ヘルフレイム】をパークスの右腕、両脚と放ち身動きを取れないようにする。その場に倒れ伏したパークスに俺は、見下ろしながら口を開いた。


「さて、何か言うことは?」

「····」


 俺の問いに黙るパークス。俺は、目を細めながらも【ヘルフレイム】を放とうとする。


 その時だった。パークスは、涙を流しながら口を開く。


「お··ねが···た、すけ···て」


 寄りにも寄って俺に対して命乞いを始めたのだ。


「は?何で俺がお前を助けなきゃいけないんだ?」

「··お···れには、病···気のい··もうと、が」

「へ〜、そうなんだ。だから?」


 正直言ってどうでも良い。本当にどうでも良い。病気なら、俺のダンジョンに関わることなく消えてくれ。下手にダンジョンへ復讐なんて考えないでくれ。


「···たの··む!何··でもする!命だ···けは、どう··か!」


 ······う〜ん、どうしようかな。もうこの際魔人にしちまうか?だが、コイツの仲間を殺してるし反逆の可能性があるんだよな。


「···チッ、取り敢えず研究所の医療カプセルに放り込むか。処理は、その後に考えよう」


 俺は、一旦考えることを放棄してパークスの【スリープ】で眠らせた後、迷宮研究所へ向かった。


良かったならば、高評価、ブックマーク登録、誤字脱字報告等、よろしくお願い致します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] どの話もめちゃくちゃ面白いです! 影正も病気の妹というワードには勝てなかったか・・・ 難産が多く大変だと思いますがこれからも頑張ってください。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ