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ダンジョン防衛作戦、第三十四階層①


◆ダンジョンコアルーム カゲマサside



 オロチの蹂躙っぷりを見届けた俺は、一息ついて【ボックス】からマヤ特製の麦茶を取りだし、一気に飲みきる。


「ぷはぁ~~!やはりマヤが作った物はみんな旨い!」


 そんなことを言いながら俺は、複数のモニターを確認していく。


 第二十六階層では、〈狂星〉リューゾウは、手に持った薙刀で冒険者相手に無双していた。薙刀で敵をなぎ払い歯牙にもかけぬその強さは、さすが〈狂星〉内でも上位六名に連なる強さを持つ存在なだけある。

 第二十七階層では、〈狂星〉スピノが元の恐竜形態で冒険者+私兵団構成員達をかみ砕き、踏み潰し、いたぶり殺して沼の中に沈めていた。

 その他のクロ担当階層でも順調に各個撃破できており、ヤーコプ軍団はまた一人、また一人と姿を消していく。で、肝心のヤーコプはというと。


「ふむ、第三十五階層か。確かウリエルの管理階層だったな?シロ」

「はっ。ウリエルの実力は、私も認めております。ヤーコプごときに負けはしません」

「・・・いや、懸念事項は他にもある」

「?・・・あ、外部協力者ですね?」

「そうだ。奴らは今何処に?」


 シロは、直ぐ様モニターを映して外部協力者であろう二人を探す。数分後シロは、二人を発見した。


「これは・・、第三十四階層の神殿跡の陰に隠れていますね。余程警戒しているのか、認識阻害の魔道具で隠れて辺りを伺っております」

「警戒心が強いな。確か第三十四階層には、〈狂星〉ミカエルがいたよな?」

「はい、強襲させますか?」

「・・・試しに撃ち込んでみるか」


 俺は、謎の外部協力者の実力を把握するためちょっかいをかけることにした。

















◆ダンジョン第三十四階層 神殿跡



 ダンジョン第三十四階層。中心の小山にボロボロになった神殿が建っており、その周辺には森が広がっている。そんな森の一角にて、黒い外套を身に纏った二人組の外部協力者が身を潜めていた。


「・・・・セイ、モンスターの気配は?」

「今のところは無い。だが、何時やって来るかわからないぞ?道中エレメントを何体か殺ってしまったからな。これも下手に殺してしまったせいだぞシャンガン」


 セイと呼ばれた男は、息を潜めながら辺りを警戒している。一方のシャンガンと呼ばれた大男は、セイの言葉を聞き少し肩を竦めながら反論する。


「仕方ねぇだろうが!いきなり背後から襲われたんだからよ!」

「ああ、そうだ。襲われたから仕方無い。だが、他にも方法があっただろう」

「馬鹿め、俺のスキル《視線誘導》も万能じゃないんだぞ!?それに階層主に効くかわからん!」

「・・・そうだったな」


 セイは、僅かにフードを脱ぐ。暑かったのだろう。問題はそこではない。セイの額には、二本の羊角が生えていた。そう、ダンジョンの最高幹部〈六将〉の一人、キラーと同じもの。キラーは、魔人になる前は魔族という種族だった。シャンガンにも、フードからチラリと一本角が見えた。

 つまり二人は、キラーと元同族である魔族である。


「だが、やらなくてはならない。魔王サンガン殿からの依頼を達成しなければならないんだ。俺達は」

「兄上か。まあ、()()だけじゃあ無いがな」

「シャンガン、それは言っては・・ッ!?避けろ!!」

「?・・ヤベェ!!」


 セイは、頭上より接近する殺気まみれの光弾を察知し、即座に回避行動を取る。シャンガンも殺気に気付いて回避を選択する。やがて光弾がセイとシャンガンのいた場所に着弾。大爆発を起こした。


「イテテっ、クソッタレ!何者だ!」

「っ!!シャンガン、上だ!」


 セイの指摘にシャンガンは、直ぐ様上空を見上げる。そこには、光る輪っかを頭に浮かべ純白の羽を生やした美女が怒りに染まった顔でセイとシャンガンを見下ろしていた。


「て、天使だと!?魔王の依頼で来た俺達への当て付けか!」

「いや、シャンガン。あの天使だけじゃない!!」


 セイは、現れた天使の背後へ指を指す。そこには、光の槍と光の盾を持ち鋼の鎧と兜を装備した天使達が居るではないか。


「なんと、戦闘天使(ワルキューレ)までも従えているのか!?魔王朝のダンジョンでさえ、一体も居ないと言うのに!」


 セイは、信じられないと言うように叫ぶが、敵は待ってくれない。


「ッ!?おい、セイ!避けろ!!」

「っ!!しまった!」


 シャンガンの指摘にセイは我に返って、その場から跳躍。すると、セイのいた場所に複数本の矢が刺さる。セイは、矢の飛んできた方向を見ると弓を構えた戦闘天使(ワルキューレ)達が浮かんでいた。


「チィ、厄介だな!」

「まったくだ!だが、生きて帰るぞ!絶対に!」

「おう!」


 セイとシャンガンは、それぞれの武器を構えて天使軍団と相対した。














◆ダンジョンコアルーム カゲマサside



 まさか、外部協力者の正体が魔王朝から派遣された戦士だったとはな。魔王朝だと、十中八九大魔王派閥のダンジョンマスター、ロワンが関わっている可能性が高いな。しかし、何のために?俺のダンジョンの戦力分析?俺が何かやらかしたか?やらかしてたわ。マーロイ首長連邦でチョウ・キュウホを犠牲にしてたわ。アレの肉体を木っ端微塵にしてたわ。まて、殺ったのは勇者サユリとナハリアだったはず。じゃあ、何で来た?普通勇者の方に行くよな?

 それ以上に、ヤッベ。どうしよう。


「シロ、この戦いは想像以上に気合いを入れなきゃ駄目かもしれん」

「ッ!?そこまで・・・っ!了解しました。ミカエル配下の各〈百魔〉も出動させます!」


 俺は、下手すれば大魔王を怒らせる爆弾をどうするか、腹がキリキリと悲鳴を上げる中、どうするか頭をフル回転させ始めた。


良かったならば、高評価、ブックマーク登録、誤字脱字報告等、よろしくお願いいたします。

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