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ダンジョン防衛作戦、第二十三階層②

少し短いかも。


誤字報告ありがとうございます。


◆ダンジョン第二十三階層三番領域



ダンジョン第二十三階層の三番領域には、一つの館が存在している。その館の周りには、いつもの暗黒街が広がっているのだが、他の領域と違う点がある。それはずばり、ダンジョン内では珍しき飲食店が存在するのだ。


何故飲食店が存在するのか。理由として、三番領域を管理・守護している〈百魔〉の影響だった。


三番領域の中央に建てられた一つの館、そこの主である老人がいた。しかし老人にしては、背筋はピンとしているし、身体から溢れる歴戦の戦士の雰囲気は隠しきれていない。


「旨い食事は良いものだ。食べた瞬間己に幸せをもたらす。そして明日への活力へとなる」


老人は、そう呟く。老人の手には皿があり、皿の上にはいかにも最高級なステーキが湯気をたててのせられていた。


「不味い食事はいけないものだ。食べた瞬間己に不快さをもたらす。そして明日への絶望に繋がる」


老人は、そこまで言った後、最高級ステーキののった皿を側にあったテーブルにソッと置いた。


「故に、我輩は最高の料理を求める。最高の環境、最高の素材、最高の調理法、それらによって生み出された料理こそ至高であり、それらの一つでも欠けた料理は、忌避すべき汚き料理である」


老人は、どこから出したのかフォークとナイフを取り出してステーキを綺麗に切り分け、口に運ぶ。ステーキを咀嚼し、飲み込んで口を開いた。


「だからこそ、お前達は重罪である。我輩の求める最高の料理を汚した盗人共。お前達は、我輩の食事を邪魔したのだ」


そう言ってステーキを再び口に運ぶ老人。そんな彼の目の前には、下着以外全てを剥がされ宙吊りにされた五人の私兵団構成員がいた。














何故彼らがこうなっているのか、経緯を簡単にまとめる。


時は少し遡る。


まずダンジョン第二十三階層三番領域に落ちた冒険者+私兵団達は、それぞれに支給された松明を頼りに暗黒街を彷徨っていた。そんな彼等を襲ったのは、アンデッドやレッサーデーモンなどで構成された暗黒街警備隊の強襲である。暗闇から攻撃を仕掛けてくる暗黒街警備隊に、彼等はなすすべなく逃走。闘争した挙げ句、この館にたどり着いたのだ。


館にたどり着いた冒険者+私兵団達は、警戒しながら館内を探索。ある程度の魔道具を回収したり防衛装置のゴーレムなどを撃退していると、一体のサキュバスが豪華なワゴンを押していたのだ。


そこで彼等、いや彼等の一部である私兵団が行動を起こす。その大事そうに押しているワゴンを金目の物と考えた私兵団は、サキュバスを奇襲。サキュバスは、ある程度抵抗したが不利を悟って撤退した。


冒険者達は、サキュバスか退いたことに驚きを隠せなかった。何故なら大抵のダンジョンモンスターは、一切死を恐れず最後まで戦い抜くという経験が彼等にはあったのた。しかしそんな冒険者には、目もくれず私兵団は豪華なワゴンを物色する。しかしワゴンを調べて出てきたのは、皿と皿にのる焼きたてのステーキだけ。


金目の物がなかったので苛立ちを顕にした私兵団達は、ワゴンを蹴り倒して床に落ちたステーキを踏み潰したのだ。そして踏み潰したステーキにあろうことか、小便をかけ始めたのだ。


冒険者達は、あまりの光景に絶句。私兵団達から離れることを決断。館内の道を引き返して、さっさと館から脱出した。


残った五人の私兵団達は、冒険者達がいないことに気付きながらも、何故か彼等をバカな奴等と嘲笑って、金目の物を探そうと歩きだした。


そして。





「我輩の食事を踏みつけた挙げ句、小便を吹き掛けるとは。生命の風上にもおけぬ!!」


突如として現れた老人に一喝された。それを聞いた私兵団達は、老人の戯言と嗤い老人に武器をちらつかせながら金目の物が何処にあるかを聞こうとする。だが。


「・・・そうか。貴様等が食事を軽んじるゲスということは、よくわかった」


老人は、懐から一振の包丁、そしてトンカチを取り出した。


「貴様等には、食事のありがたさを知らさねばならぬ」


私兵団達は、爆笑した。いきなり現れた老人が包丁とトンカチで自分達に挑もうとしているのだ。それが可笑しくて彼等を嗤った。


そして。


老人の姿は消え、


老人が私兵団達の背後に現れた瞬間、


私兵団達の腕は切断され、


私兵団達の脚はぐちゃぐちゃに潰されたのたった。

















その後彼等は、悲鳴を上げる間もなく中途半端な治療を施され、手足が無い状態とされて、宙吊り状態となった。因みに老人が食べているのは、後から持ってこさせた二枚目のステーキである。


「我輩は許さぬ。食事を軽んじるゲス共を。我輩は許さぬ。我輩の料理を愚弄したものを」


ステーキを食べ終えた老人は、椅子から立ち上がり、ゆっくりと私兵団達のまえへ歩いていく。五人の私兵団は、恐怖で声が出せなかった。


「お前達には、食事のありがたさを知りながら死んでもらう。それがお前達への罰」


老人は、胸のまえで両手を組み合わせる。そして、口を開いた。




「我が名はベルゼニュート。偉大なるマスターより、第二十三階層三番領域を任されし〈百魔〉。お前達に食事のありがたさを知らしめる者なり!《飢餓》!」


そういうと同時に老人、ベルゼニュートはスキルを発動。五人の私兵団の腹からグギュル~~と腹の虫が鳴り、止まらなくなる。


「ッ!?な、何をしやがった!?」

「《飢餓》。餓えるものの立場へ墜ちよ」


私兵団の一人が宙吊りのまま叫ぶが、その間も腹の虫は収まらない。


その時、一人の私兵団構成員が自身の変化に気が付いた。


「ひっ!?お、俺の身体がァァ!?」


その私兵団構成員の肉体がどんどん痩せ衰えていくのだ。それも急激に。


「ひっ!?わ、悪かった!俺が悪かった!何でもするから助けてくれ!!」

「ならぬ」


別の私兵団構成員が命乞いをするが、ベルゼニュートは聞く耳を持たない。


そして、そのまま数分経過した。








ベルゼニュートの館に入り込んだ私兵団達は、全員漏れなく餓死した。


因みに館を脱出した冒険者達は、ベルゼニュートの部下であるハングリーデーモンという悪魔達によって全員食べられてしまった。

一応ベルゼニュートとハングリーデーモンの《鑑定》結果をのせときます。


名前 ベルゼニュート

種族 アークハングリーデーモン

職業 第二十三階層三番領域〈百魔〉

レベル 32

ランク A

スキル 暴食王 飢餓 再生 魔力障壁 闇魔法etc.



名前

種族 ハングリーデーモン

職業 上級兵士

レベル 15

ランク C

スキル 暴食 嗅覚 闇魔法 再生

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