ダンジョン防衛作戦、第十三階層
タイトルの第十二階層を第十三階層に変更しました。
◆ダンジョン第十五層 スライムハウス
第十五階層にあるワイズの本拠地、スライムハウスではワイズが一人の私兵団構成員を嬲っていた。
「ねぇ、お父さんのダンジョンに忍び込んで、何しようとしてたの?ねぇ?」
「あ···が····た、助け」
「助ける訳ないじゃん。嘗めてンの?」
ワイズは、人化の影響で少女の姿をとっているがその顔はヤクザ顔負けの怖い顔になって、ヤーコプの私兵団構成員の骨を折り、肉を抉り、目玉を潰し、内臓をいじくり回していた。
「ねぇ?答えなよ、どうなの?」
「···た、」
「た?」
「た···から、で··す。····たか、ら取っ··て、おお、か、ね··もち、に」
「···まあ、解ってたけど。お父さんのダンジョンを宝の山扱いって、貴方達ダンジョン嘗めすぎ」
ワイズは、氷河のように冷たい目で私兵団構成員を見下ろす。そして目を背けた。
「もういいや、ポイズンさん」
「は、はいぃぃ」
ワイズの一言で脇に控えていた第十五階層の〈狂星〉ポイズンは、私兵団構成員に近付くと、スライム体に戻って私兵団構成員を飲み込んだ。
「え~っと、消化消化」
すると、飲み込まれた私兵団構成員がどんどん溶けていくではないか。それも、ゆっくりじっくりと、激痛が伴う猛毒に犯されながら。
「悪く思わないでくださいね?これは、マスターのダンジョンに入った貴方達が悪いんですから」
ポイズンの言葉に反応したのかは解らないが、私兵団構成員は恐怖に染まった顔から絶望の顔なり、そのまま消化された。
「···む~」
消化されたのを見届けたワイズは、少しもの足りなさそうに口を開く。
「やっぱり弱いよ。お父さんのダンジョンに攻め混んだんだから、それなりのレベルがあると思ったのに!」
「ま、まあ、マスターのダンジョンは謎だらけって、人間達の間では有名ですから」
「え~?そうなの?」
「そうなのです。マスターは、情報が大事だと仰っておりましたから。敵に情報を渡さず完璧に抹殺するというのがマスターの方針ですし」
「お父さんの決めたことなら従うけど、やっぱりつまらないよ~!」
ワイズは、我が儘を言う子供のように暴れる。ポイズンは、慌ててスライムハウスの外に脱出した。
「ふ~、危ない危ない。これはワイズ様の機嫌が治るまでスライムハウスには近付けないわねぇ」
そう言ってスライム体から人化に戻り、スライムハウス周辺を見渡す。
「しかし、この階層に落ちた人間は不憫ね」
そこには、スライムに捕まりじわじわと消化されていく冒険者+私兵団達がいた。
「や、止めてくれ!俺達は、ギャアアアアアア!!」
「か、金!金ならある!いくらでもやるから、命だけ、ヒギャアアアアアア!!!!」
「溶かさないでよォォ!お願いだからァァ!!」
簡単に言えば地獄絵図。人間の抵抗空しく次々と消化され、人間の形さえ残さず死んでいくのだった。希に運良くスライムから抜け出す輩もいるが。
「よ、良し!やったぞ!ヘへへ、ザマァみやが」
「あら、じゃあいただきます」
「··へ?」
そういう輩は、ポイズンが食べて消化する。もちろん猛毒も追加してじっくりと殺していく。人間達に逃場など初めからないのだ。
冒険者+私兵団達が第十五階層に落ちた約十分後、彼等は全滅、捕食された。
◆第十三階層 荒野 岩山
第十二階層に落ちた冒険者+私兵団達は、そこに聳える岩山の前で立ち往生していた。
「お、おい、ダンジョンの中に岩山なんてあるのか?」
「あるにはあるが、めったにあるものじゃない」
冒険者達は、ヒソヒソと話していた時、しびれを切らした私兵団達は、その岩山を登り始めた。冒険者達は、ギョッとなって慌てて止める。
「馬鹿なことをするな!岩山自体がモンスターだったらどうするんだ!」
「うるセェ!俺達は宝を取りに来たんだ!こんな所で立ち往生できるか!それにこの岩山の頂上に宝があるかもしれないじゃねぇか!」
「なっ!?そんな都合の良いことがあるわけないだろうが!?」
(どれだけ馬鹿な奴等なのだ!?)
冒険者達は、あまりに危機感の無い行動に怒りを通り越して呆れてしまった。
その時だった。
グシャア!!
「っ!?」
突如響いた何かを潰す音。冒険者達は、一斉に自分達の後ろを振り向いた。そこには、正に頭が潰された私兵団構成員が倒れていた。
「な!?どこから!?」
「焦るな!密集体勢!」
私兵団は、あまりの事態にオロオロしているが、冒険者達は直ぐ様密集し辺りを伺う。
しかし、それは余りにも悪手だった。同時に攻め手にとっては、都合の良い展開だった。
何故なら的が大きくなったのだから。
「ウキキ、的がでかくなったなぁ。あんなに密集しちゃって。これなら当てやすいぜ」
岩山の山頂にいたそのモンスターは、岩山に手を当てて何かを掘り出した。それは、黒く丸い物物だった。
「さあ、喰らいやがれ冒険者共!俺っち必殺、〈岩石流星群〉!!」
モンスターは、岩玉を次々と掘り出しては投げ、掘り出しては投げを繰り返した。モンスターの投げた岩玉は、どんどん加速し冒険者が密集している所に、岩玉は次々と命中していった。
「グギャア!?」
「な、何だこの岩玉!盾を貫いて、グアッ!」
「糞っ!魔法だ!結界魔法でふせグペっ」
岩玉は、まるで鋭利な槍のように盾を貫き、冒険者達の胴体や頭、脚を貫通、甚大な被害を出している。
「ウキキ、奴等慌ててるな?俺っちのスキル《投擲王》による投擲は、どんなものでも防ぐことは出来ねぇぜ!」
岩玉を投げるモンスターは、自信満々に言い放つ。それもそうかもしれない。そのモンスターは、この階層では最強なのだから。
名前 ハザル
種族 ディストラクション・エイプ
職業 第十二階層〈狂星〉
レベル 64
ランク A+
スキル 投擲王 暴力王 再生 魔力障壁 嗅覚強化 聴覚強化etc.
モンスター、ハザルは無駄な抵抗を続ける冒険者が岩玉投擲で全滅するのを見届けた後、跳躍。散り散りになった私兵団達の目の前に降り立った。
「なっ!?何だお前h··」
「うるせぇ死ね」
私兵団の一人が何かを言おうとしたが、ハザルは容赦無しに頭を殴り飛ばす。殴り飛ばされた私兵団の一人は、直ぐに物言わぬ骸と化す。
「き、貴様!」
「ウキキ、さあ皆死んでしまえ♪」
残りの私兵団達も全滅するのに時間は掛からなかった。
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