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ダンジョン確認作業②

遅れました、すみません。


総合ポイント、5000突破!ありがとうございます!


◆ダンジョン第二十階層 カゲマサside



ワイズとの鬼ごっこを終えた俺は、ゼクトのいる第二十階層の密林を訪れていた。


「うへぇ、滅茶苦茶樹木が生えてるな。まさに密林。····ヒィ!」


俺が密林を進んでいると、足元からカサカサと動く音がしたので足元を見てみると。


カサカサと動く黒くテカテカしたGが三匹がいた。俺は、いきなりの遭遇だったので思わず悲鳴をあげてしまう。


(お、思わずヒィ!って叫んでしまった。来ると分かってたら平気なんだが、いきなり現れるとやっぱり驚いちゃうんだよなぁ)


俺は、三匹のGを森のなかに返したあと、再び進み始めた。


余談だが、Gの《鑑定》結果はこの通り。



名前

種族 コックローチ

職業 兵士

レベル 2

ランク F-

スキル 雑食 産卵



と、こんな感じだ。まあ、一般的なゴキブリもといGだろう。


さて、そんなG達を返した後、密林を進んでいくと、一つの広場に出た。そこは、あたり一面に様々な色の花が咲き乱れており、その回りにはチョウやガ、ハチといった蟲系統のモンスターが集まっていた。チョウやガがヒラヒラと舞い、どこか幻想的だった。まあ、ハチが混ざっているので幻想さは半減しているが。


「おお、なんとも」

「中々に美しいでしょう?」

「ゼクト?いつの間に」


俺がその光景を見ていると、後ろから腕組みをしたゼクトがやって来た。その後ろには、ここの〈百魔〉である蔦が無理やり人形となって動き出したモンスターであるプラントマンの体に異臭を放つ花が咲いているモンスターが歩いてきている。《鑑定》は以下の通り。



名前 ラフレ

種族 フラワーマン・ラフレシア

職業 〈百魔〉 第二十階層四番領域守護者

レベル 35

ランク A

スキル 植物魔法の達人 異臭 魔力吸収 魔力障壁 再生 固蔦etc.



▪フラワーマン

プラントマンの派生種。蔦で出来ているプラントマンから花があちこちに咲いた姿。花という特性上、チョウやハチといったモンスターとある程度共存可能。


▪フラワーマン・ラフレシア

フラワーマンから更に派生した種族。フラワーマンの体に咲く花が小さなラフレシアに変化した存在。花がラフレシアなので、異臭を放ち他の生物を萎縮させる。しかしチョウやハチとはある程度共存可能。



「そいつがこの花畑の守護者か」

「··ええ、少々匂いがキツいとは思いますが、そこは我慢してもらうほか」

「いいよいいよ。守って貰ってるんだ、今更匂いがどうとかで忌避しないさ」


ゼクトが申し訳なさそうに呟き、フラワーマン・ラフレシアのラフレは、無言で跪く。


「···マスター、一先ずは自分の居城へ」

「ん?そうか?じゃあ行くか」


俺は、花畑とラフレに背を向けて、ゼクトと共にゼクトの居城へ向かった。















◆第二十階層 ゼクトの居城



さて、ゼクトの城の前までやって来たわけだが。


「おおう、樹木そのものを城としたか」

「ええ、便宜上樹木城と呼んでいます」


その城は、巨大な大樹の中身がくり貫かれて、くり貫かれた部分に城が建設されているのだ。大樹そのものを城に改造していると言った方が正しいか?


その大樹の回りには、編隊を組み飛び回っている羽アリ達、大樹にへばりついているカマキリ、大樹の枝から地上を監視ふるクモ、大樹の回りに群生している毒々しい草花。


「ふむ、大気中に毒素が含まれているな。なんの毒だ?」

「はっ、主に眠気や麻痺、吐き気といったものです。この階層の兵士には、しっかりと耐性を持たせてあります」

「よろしい、ところでツリーの奴は?この階層担当だよな?」

「はっ、今は寝ておりますが、いざとなればすぐに起きます」


そうかい、ならば良いか。俺は、そう思いながら樹木城へと足を運ぶ。城門は、縦十メートルに横五メートルと中々に巨大だった。城門前には、二体のトレントが槍を持って守っている。二体のトレントは、俺とゼクトの姿を認めると、どこかに合図を送る。すると、城門がゆっくりと開き始めた。


「さて、どこに行くか」

「では、最上階の将の間へ」

「わかった」


俺とゼクトは、将の間とやらに行くために最上階へとむかった。


しかしこの樹木城、いろんな蟲モンスターや植物モンスターが多くて飽きないな。カニのようなハサミをもった白い巨大蝿に羽を持つ巨大ムカデ、トゲの生えた巨大団子虫、二足歩行で武器をもったコオロギ、日本神話におけるヤマタノオロチのように七本の蔦の先に口をつけたハエトリソウ、針の抜けた先から毒液を出すサボテン等々、様々な蟲·植物モンスターが確認された。


しばらくして俺とゼクトは、将の間とやらに到着。将の間には、一つの玉座に玉座を守るいかにも強者といった面持ちの蟲系統モンスターと植物系統モンスター二体が待っていた。


「この者達は?」

「はっ、第十六から第二十階層までのモンスターの中で魔人へと変異したもの達です」

「ほお」


俺は、新たに魔人が生まれていたことを喜び、ゼクトに薦められた席に座る。そこは、玉座だった。


「···何でだ」

「マスターは、このダンジョンの王です。ならば、玉座が妥当かと」

「あ、うん」


普通お前用の玉座なんだから、お前が座れば良いんじゃね?と思ってしまったが、何を言っても無駄ということは分かっているので、そのまま続ける。


「さて、各階層の様子はどうだ?」

「はっ、特に大きな変化はありません。しかしモンスターの生誕·成長のサイクルが冒険者達の度々の襲来で乱れつつあります」

「ふむ、では対策を講じねばならないな。さて、どうしたものか」

「また、大樹に取り付けた固定魔導砲ですが、威力はあるものの命中率はさほど高くありません。一方で、飛行するモンスターのための発着場は、大変高評価です」

「なるほど、まあ固定魔導砲は衝撃波で大概吹き飛ばせるからな。しかし発着場は好評ねぇ。当たり前の配備かと思うが」


俺がそう呟くと、一匹のカマキリのようなモンスターがドタバタと入ってきた。


「マスター!ゼクト様!侵入者です!冒険者パーティーが転移罠に嵌まり、この第二十階層に!」

「おや、ゼクトどうする?」

「良い機会です。マスター、この戦いで我が階層の力をご覧ください」


ゼクトは、自信満々といった様子で提案する。俺は、少し悩んだが渋々了承した。


「わかったよ。しかし危なくなったら、俺が出るからな?」

「はっ。よし、まずは偉力偵察だ。偵察第二小隊を派遣しろ!」

「ははっ!」


カマキリは、跪きながら返事をして将の間から退出する。


「さて、どうなるかな」


俺は、期待六割と不安四割が混じった声を漏らして、ダンジョンの無事をモンスター達に祈った。














◆樹木城 発着場



樹木城の発着場では、五体のプラントマンとサドルをつけた五体の巨大ハエ型モンスターが集合していた。彼らこそ、威力偵察を主な任務とする偵察第二小隊である。


「再び第二十階層に冒険者が現れた。領域は、第八領域。我々の任務は、冒険者等の戦力把握。質問があれば手短に済ませろ」


隊長と思わしきプラントマンが隊員達に言葉を投げ掛ける。しかし、返答は無し。


「よし、行くぞ!偵察第二小隊、乗り込め!」


隊長の号令で、ハエ型モンスターの背に乗る隊員達。そして、発着場にいた一体のモンスターがGOサインを出す。


「出撃!」


隊長の言葉で一斉に離陸していくハエ型モンスター達。そして、冒険者が現れたとされる第八領域へと向かった。


やがて偵察第二小隊は、第八領域へと到着する。そして、例の冒険者パーティーを発見した。


「剣士が二人、弓が一人、神官一人、です。近接戦闘が主軸のパーティーですかね?隊長」


偵察第二小隊の副官である双眼鏡をもったプラントマンが隊長に報告する。


「いや、弓が主軸で剣士二人は護衛かもしれん。ウチにもウィリーさんという凄腕がいるだろう」

「なるほど、確かに」


副官は、マスターの連れてきた人材を思い出して納得する。そこに隊長の激がとんだ。


「よし、我々は只今より威力偵察を開始する。弓や魔法の直撃を防ぐため、認識阻害マントを使うぞ」

「「「「ははっ!」」」」


隊長の指示で隊員達は、黒いマントを着込む。この認識阻害マントは、迷宮研究所で開発された物で、着込んだものにスキル《認識阻害》と同様の効果をもたらす代物だ。


「よし、全員着たな?威力偵察、開始!」


認識阻害マントをつけた偵察第二小隊は、ゆっくりと巨大ハエを動かして上空から冒険者パーティーに近付く。


「よし、相棒頼むぞ?【ウィンドカッター】、発射!」

「ヴィィィィ!!」


隊長は、自分の乗る巨大ハエに一声かけて攻撃を命じる。巨大ハエは、その声に答えるように【ウィンドカッター】を冒険者パーティーに放った。同時に他の隊員の巨大ハエも放つ。【ウィンドカッター】は、まっすぐと冒険者パーティーへと向かい、


剣士の持つ盾で難なく防がれた。


「ッ!バレていたのか!?」

「慌てるな副官!総員、【ウィンドスピアー】に切り替えろ。もう少し様子を見る」


隊長の指示で巨大ハエ達は、風の槍を次々と発射。冒険者パーティーに叩きつける。巻き上がる土煙。しかし。


「····駄目です隊長!剣士の盾こそ破壊できましたが、奴等は無傷です!」

「···上出来だ副官。奴等の武装を一つでも剥がせたのなら儲けものだ。我等の任務は、あくまでも威力偵察。むやみに倒すものじゃない」

「隊長···」

「ゼクト様に連絡、我等だけでは勝利は難しい。至急増援を求む」

「了解です!」


隊長の指示に副官は、悔しそうにしながらもゼクトに連絡する。


『了解した。直ちに第八領域の部隊を差し向ける。お前達は、威力偵察から監視に切り替えろ』

「了解しました」

『ああ、気を付けろよ』


報告が終わり、偵察第二小隊はその場から離脱。冒険者パーティーの監視任務として後方からの監視を開始した。













◆第二十階層第八領域 樹木砦



第八領域の中央に位置する樹木砦。今そこには、五十体の上級兵士に三百体の兵士、それらを統率するはこの樹木砦で第八領域を守る〈百魔〉の上級蟲魔人である。


「たった今、このクワガがゼクト様より指示を受けた!我が部隊は、第八領域に入った賊を叩く!行くぞォ!」

「「「「オオオォォォォォ!!!」」」」


〈百魔〉クワガの号令の元、樹木砦にいた部隊は一斉に出撃。密林の中を駆け巡る。その先にいたのは、四人の冒険者。


「クワガ様!賊四人を発見しました!」

「うむ!しかし奴等め、何故この階層に漂う毒素が効かないのだ!?」


クワガは、毒素が効かないことを訝しみながらも、部下に指示を出す。


「魔法部隊、奴等に弱体化魔法を!歩兵部隊は、奴等を確実に包囲しろ!蟲魔人部隊はオレに続け!」


指示を受けて、部下達は直ちに動き出す。魔法部隊は、冒険者パーティーに対して体の動きを僅かに鈍くする【スロウ】や暗闇で敵の視界を閉ざす【ダーク】などで戦力を低下。歩兵部隊は、素早く動いて冒険者パーティーを包囲。そして蟲魔人部隊は、二本の角が生えたオオグモのモンスターに乗ったクワガを始め、様々な蟲魔人が冒険者パーティーに襲い掛かる。


冒険者パーティーは、神官の魔法と弓主の矢で何とかしようとするが、数も質もダンジョン側が上だったようで、神官は吹き飛ばされ、弓主はクワガの乗っていたオオグモに頭を喰われた。二人の剣士も、クワガ配下の蟲魔人によって惨殺。まさしく圧勝だった。


「さて、あとは神官だけ···ん?」


クワガは、いざ神官を殺そうと振り向くと、神官は顔を涙で濡らしながら両手を上げていた。俗に言う降伏のポーズである。


「おいおい、神官がモンスターに降伏って···上の判断を仰ぐかぁ」


クワガは、直ぐにゼクトへ連絡。ゼクトは、取り敢えず迷宮研究所に送っとけと言い、クワガは神官と神官の仲間の死体と共に、迷宮研究所へ移送した。


これにて、第八領域での戦いは終息した。


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