集まる〈六将〉、〈狂星〉
ほぼ、〈六将〉〈狂星〉上位の紹介です。
◆ダンジョン コアルーム カゲマサside
迷宮研究所にある武器工場の他に錬金術部門や人工魔人部門などの各部門を見て回り、迷宮研究所の回りに出来た都市も見て回ったあと、俺はコアルームに戻り、食事にありついていた。
「はぁ~、旨い旨い。このステーキもサラダもライスも。よくもまぁここまでの料理に出来たな、マヤ」
「はい、ありがとうございます!」
俺の褒め言葉に嬉しそうに返事をしたのは、額から牛の角を生やし、私服にエプロンを着た褐色肌の美女、元牛獣人で魔人に変異したマヤである。一応ウチのダンジョンにおける古株ということになる。
「本当に旨かった。ありがとな」
「はい!」
俺の再度の心からの称賛にマヤは、顔を赤くしながら答える。どこかに、甘酸っぱい雰囲気をだしていると、一体の迷宮近衛隊隊員が入ってきた。
「お食事中失礼致します!〈六将〉の皆様と〈狂星〉上位六名がご到着されました!」
「おお、そうか。入れてくれ」
「はっ!」
迷宮近衛隊隊員は、敬礼した後〈六将〉と〈狂星〉上位六名を呼ぶため、戻っていった。
「さて、今から幹部会だ。マヤ、お前はどうする?」
「で、出来ればご一緒したく思います!」
「そうか、ならばここにいろ」
「はい!」
そう返事した後、軽くガッツポーズをしたマヤを見て、俺は首をかしげる。幹部会は、別に重要事項を話すわけではない、単なる会議にすぎない。何故嬉しそうにするのだろうか?まあ、考えても仕方ないか。
俺がそう考えていると、扉が開き十二人の幹部達が入ってくる。
先ず入ってきたのは、我がダンジョンにおける最高幹部の〈六将〉達だ。
「第六から第十階層担当のゴブイチ、ここに参上したっす!マスター!お久し振りっすよー!」
「おう、久しぶり。元気そうで何よりだ」
最初に声をあげたのは、軍服を着たゴブリン。第六から第十階層までの管理、防衛を任されているゴブリンハイエンペラーのゴブイチ。何気に、ダンジョン最古参。
「え~っと、第十一から第十五階層を守ってるワイズで~す!オトーさん、後で遊ぼうよ!」
「おお、そりゃいいな。だが、まだやることがあるんだ。また今度な」
「ええ~」
俺の言葉にゲンナリするのは、唯一黒いワンピース姿の灰色髪の少女。第九、第十階層担当のカオス・スライムキングのワイズ。〈六将〉の中では一番若い。
「第十六から第二十階層、〈六将〉のウチが一人、ゼクト。マスターの御前に」
そう言って跪いたのは、全身焦げ茶色でスラッとしたフォルム、額から突き出た一本の角が特徴的な人形。第十六から第二十階層までを担当する王級蟲魔人のゼクト。近接戦では、我がダンジョン随一の実力者である。事実上ダンジョン三強の一人。
「第二十一から第二十五階層担当、ジ・キラー。我が主の前に。ご帰還、お待ちしておりました」
「ありがとよ」
ゼクトの次に跪いたのは、額から生えた二本の角に軍服を着た金髪の女。この中で唯一の外様の元魔族、現上級魔人のジ・キラー。フリン公国における動乱にて、監獄に捕まっていたのを俺が解放。紆余曲折あり、今や俺の仲間となった。
「第二十六階層から第三十階層担当、クロ。ここに」
続いて跪いたのは、同じく軍服を着た黒髪の男。第二十六階層から第三十階層を担当している竜王のクロ。中距離戦闘をこなせるバランス型で、ダンジョン三強の一人。
「そして、第三十一から第三十五階層の担当、シロ。マスターの御前に参りました」
最後に跪いたのが、先程まで部屋でダラダラしていたクロと同じ竜王のシロ。今はしっかりと軍服を着ている。遠距離戦闘得意で、ダンジョン三強の一人。そして、このダンジョンのNo.2である。
「ここに我等〈六将〉、揃いました」
「おう、ありがとな。しかし済まないな。何日もダンジョンを開けてよ」
「いえいえ、マスターにも大事な仕事があります。我等の都合など二の次です」
「そうか····。ならば良し。さて、色々と懐かしい顔ぶれが後ろにもいるから、一先ず口上言うか?」
「わかりました。〈狂星〉上位六名!口上を許す!」
「いや、そこまで真剣にやらなくても」
俺の呟きは、〈狂星〉のザッと立ち上がる音に掻き消された。
「···ゴブイチ様が配下、第六階層担当、マキア。御身の前に」
まず口火を切ったのは、コアルーム内で一番の巨体を持つ男。第六階層を守る〈狂星〉、ギガースのマキア。その巨体は、十メートルを越えており、まさに巨人といった様相である。因みに、現〈狂星〉の中では一、二位を争う強さだとか。《鑑定》はこんな感じ。
名前 マキア
種族 ギガース
職業 〈狂星〉筆頭 第六階層守護者
レベル 84
ランク A+
スキル 巨人王 気配察知 超速再生 岩魔法etc.
「ワイズお嬢さんの部下の~、クーハで~す。ホントは~レオーネが来るはずだったんだけど~、アイツ馬鹿だから私が代理で~す」
次に妙に間延びした口調の女で、腕のある場所には大きな翼を生やしている。彼女らも〈狂星〉の一人で、ハーピィクイーンのクーハ。見た目は、羽以外そこらにいる普通の少女である。《鑑定》した結果。
名前 クーハ
種族 ハーピィクイーン
職業 〈狂星〉 第十二階層守護者
レベル 69
ランク A+
スキル ハーピィの女王 混乱の鳴き声 気配察知 魔力障壁 超速再生etc.
「あら、次は私ね?ご帰還くださって嬉しく思いますわ。ゼクト様配下のアラネです」
クーハの次に口を開いたのは、上半身が大人の女性で下半身が大型の蜘蛛という姿のアラネだった。また、アラネの目も六つあり、それぞれギョロギョロと動いている。《鑑定》はこれだ。
名前 アラネ
種族 アラクネクイーン
職業 〈狂星〉
レベル 76
ランク A+
スキル 蜘蛛の女王 鋼鉄糸 粘着糸 猛毒液 複眼 気配察知 超速再生 邪眼etc.
「次は私、か。ご機嫌麗しゅうございます、マスター。キラー様配下のルシファ、御身の前に」
ルシファ。見た目は、スーツを着た敏腕秘書みたいな姿の女性だけど、その本性は、悪魔である。《鑑定》。
名前 ルシファ
種族 アークデーモン
職業 〈狂星〉 第二十三階層守護者
レベル 79
ランク A+
スキル 悪魔将 闇魔法 格闘術 剣術 気配察知 超速再生 魔力障壁 鞭術 洗脳 扇動etc.
「おお、次は我か!我!クロ様配下のリューゾウ!ニガテなのは頭脳労働だ!」
いきなりそう宣言したのは、鎧を身に纏い巨大な薙刀を携えた一人の男、リューゾウ。頭には二本の竜の角が生えている。因みに、マキアと共に〈狂星〉内で一、二位を争う強さだとか。《鑑定》。
名前 リューゾウ
種族 龍人
職業 〈狂星〉 第二十六階層守護者
レベル 83
ランク A+
スキル 武王・・身体能力超強化、武術強化、あらゆる武器使用可能等 気配察知 超速再生 魔力障壁 竜の威圧 etc.
「最後は私ですね。お久し振りです、我等が神よ。このウリエル、あなた様のご機嫌を心より嬉しく思います」
最後になったのは、純白のドレスに背中から生えた純白の羽。そして頭上に輝く金色の輪っか。それらを携えて、一人の美女、ウリエルは心底嬉しそうに話す。悪よりのモンスターの中では、異彩を放つ彼女だが、一応モンスターと定義されている。《鑑定》。
名前 ウリエル
種族 上位天使
職業 〈狂星〉 第三十五階層守護者
レベル 79
ランク A+
スキル 守護王 天使長 信仰者・・自らが信仰している者がいる場合、劇的に身体能力超強化etc.
と、長々となったが、これが今ここにいる幹部達である。皆、跪いて俺の指示を待っているが、生憎俺が言うのは、ある一つのことだけだ。
「お前ら、今回の任務の最中で俺は、改めて思い知らされた」
「それは?」
「ああ、単純だよ。俺達は、まだまだ弱いということだ」
俺は、そう明言する。おう、俺達はまだまだ弱い。あの“冥府教上位幹部、騎士”のコピーに手こずったのに、あれより強いのがわんさかいるのだ。チンタラしてられない。
「よって、俺は暫くダンジョンにこもり鍛練を始める。お前達にも協力を仰ぐかもしれん。そのときは、よろしく頼む」
「「「「「「はっ!!」」」」」」
俺の言葉に頼れる幹部達は、勢い良く返事をした。
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