ダンジョン状況確認②
短いかも。
◆ダンジョン 第七階層
カゲマサが迷宮研究所にて説明を受ける少し前、ダンジョン第七階層では一つの実験が行われていた。
「よし、じゃあ冒険者を落としますので、その魔導式アサルトライフルの実験、お願いしますよ?」
「ああ、任せとけ!」
研究者らしき魔人に答えるのは、第七階層を守護する〈狂星〉オニメである。現在は、ランクA+のレベル82と、前の〈六将〉に匹敵する強さになっている。
「よぉし!テメェ等分かってんな!?ミスるんしゃねぇぞ!」
「「「オオオオォォォォ!!」」」
オニメの言葉に答えて咆哮をあげたのは、アサルトライフルを持ったゴブリン達である。ゴブリン達は、皆目を輝かせて実験の時を今か今かと待っている。
「では・・・・来ました!」
研究者らしき魔人が何らかの装置を作動させると、ダンジョンの天井から四人の人間が落ちてくる。
「よ~し、狙え!」
その言葉と共にゴブリン達は、アサルトライフルを冒険者達に向ける。
「お、おい!」
「敵だ!」
「な、何かしようとしてるぞ!?」
「おい、早く防御魔法を」
地面に落ちた冒険者達は、周囲をゴブリン達に包囲されたことに気付き、即座に防御体勢をとろうとするが。
「撃てぇ!」
その言葉と共に、冒険者達の前方に立っていたアサルトライフルを装備しているゴブリン達のアサルトライフルから撃ち出された弾丸の雨にさらされ、四人の内三人が絶命した。
「ん?おい、研究員。一人生き残ってるぞ?」
「あれ、本当だ。貫通力が足りなかったかな?」
生き残った最後の一人は、鈍重そうな鋼の鎧を着込んでおり、お陰でギリギリ助かったのである。
「う~ん、やはり貫通力が足りなかったですね。こりゃ、アイアンさんにレポート出しとかないと」
研究員魔人は、頭をボリボリの掻いて呟く。
一方の生き残った最後の一人である冒険者は、そそくさと逃げようとするが、たちまち屈強なゴブリン達に拘束される。
「おい、あの侵入者はどうするんだ?」
「アレですか?迷宮研究所の方にでも送っといてください」
そう言って研究員魔人は、レポートを作成するためにその場から立ち去った。
「まっ、そうしとくか。おいテメェ等!さっさとそこのボロクズを研究所に送っとけ!」
かくして、このダンジョンに潜った冒険者パーティーの一つがまた消えた。
◆第三十五階層 迷宮研究所 カゲマサside
アサルトライフルについて説明を受けた俺は、アイアンの案内で彼の担当する武器工場を見学していた。
「おお、すごいな」
「でしょう!俺が気合いを込めて作った工場でさぁ!」
そこには、広い敷地にグツグツと煮えたぎる溶岩、その場を鉄やら岩やらを持って行き交う魔人や人造人間達、工具の音が響き渡る工場だった。
「中々大規模に展開してるなぁ」
「ありがとうごぜぇやす。じゃあ、一つ一つ区画を説明をしまさぁ」
アイアンが説明した区画は、全部で五つ。
・剣や槍、斧といった武器やドリル、スパナなどといった工具も造っている近接武器作成区画。
・アサルトライフルや大砲、銃の弾などの遠距離武器に関するものを生産している遠距離武器作成区画。
・クレイゴーレムやストーンゴーレム等をべルトコンベアーを使って増産している通常ゴーレム開発区画。
・ゴーレムの腕を火炎放射器やドリルなどに改造し、新たなるゴーレムの開発を目指す特殊ゴーレム開発区画。
・マスターよりもたらされた知識である兵器、戦車や戦闘機、武装ヘリ、潜水艦、飛行艇などの最新鋭の兵器について研究·開発する新兵器開発区画。
ざっと、こんなものだ。まあ、確かにそんな兵器の載った本をミレンダに渡したが、まさか本当に開発に着手しているとは分からなかった。いや、アサルトライフルなんてものが開発されたんだ。いずれこうなってたんだ。
「どうでさぁ?」
「上出来」
セブンス帝国だって、アマシロなんていう飛行戦艦を持ってるんだ。俺達だってもって良いじゃん。
そんなこんなで、色々と驚きに満ちた武器開発部門の見学が終わった。
◆それぞれの階層
『繰り返す!マスターがご帰還なされた!〈六将〉と〈狂星〉上位六名は至急第三十五階層の闘技場に集まるように!』
そんな念話がすべてのダンジョンモンスター及びカゲマサ配下の魔人達などに送られた。そして、伝えを受けた各幹部達は。
「おお、姉上の興奮しているのを見るに本当にご帰還なされたか。急いでいかなければ」
「···ツリー。俺は、急ぎ我が主の元へ行く。留守は任せたぞ」
「あ、オトーさん帰ってきた!」
「お、マスターが帰ってきたっすね?」
「ああ!カゲマサ様!お待ちしておりました!今すぐ参ります!」
知らせを受けた最高幹部〈六将〉は、我先に第三十五階層へ飛んでいった。
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