マーロイ北部での戦闘①
◆マーロイ北部 “乾きのダンジョン”前
カゲマサが“騎士”を相手取っている時、勇者パーティーは地獄鬼と相対していた。
「チッ!早くあの野郎を倒さなくちゃいけないのに!」
「落ち着きなさいサユリ!私が防御を受け持つから、貴女は思いっきり攻撃よ!」
「ちょ、ちょっとサマンサ!あの化け物二体の攻撃止めれるの!?」
「今は、そんなこと議論している場合じゃありませんよ!ッ!?来ました!」
勇者パーティーが話し合っている間、二体の地獄鬼は足を止めることもなく真っ直ぐ勇者パーティーに向かっていく。それと同時に、地獄鬼二体の筋肉がどんどん肥大化していた。
「あの筋肉の脹らみ方、アレが《鑑定》にあった《超剛力》ね」
「凄い力を感じます···」
盾役のサマンサと回復役のリリエルが肥大化する筋肉にゴクリと生唾を飲み込む。そして、次の瞬間。
「「ゴオオオアアアアアア!!」」
と、雄叫びをあげた地獄鬼二体が、駆け出して跳躍。そして手にした金棒を振り上げた。
「ッ!!皆、私の近くに!」
サマンサが地獄鬼の行動を察して、仲間を自身の近くに集める。次に、大盾を構えて叫んだ。
「聖盾よ、我等に聖なる守りを!」
すると、大盾は神々しい光を発しながら光の膜を形成。地獄鬼が金棒振り下ろして、勇者パーティーを叩き潰そうとしたが、その光の膜に阻まれた。しかし、無傷ではなく。
「···嘘でしょ」
「聖盾の守りに、ひびが」
光の膜が大きくひび割れ、今にも割れそうだったのだ。
「糞っ!皆ごめん!」
「貴女に責任ではありません!」
サマンサが謝罪し、リリエルが問題ないと叫ぶ間、再び地獄鬼二体は金棒を振り下ろそうとする。
「させるわけ無いでしょうが!」
しかしそうはさせないとナハリアが矢を構える。
「聖矢よ、正義の敵を射貫け!」
その言葉と共に矢が発射された。
しかし発射された矢は、地獄鬼の周りに形成された無色透明なバリアらしきものに阻まれてしまった。バリアらしきものにひびを入れて。
「ちょ、聖矢が効かないの!?」
「あれが、《超金剛》なんでしょう!それより、もう一発くるよ!」
地獄鬼は、ナハリアの放った矢を無視して再び金棒を振り下ろす。そして。
「ッ!!皆散会!」
サマンサの言葉にサマンサ以外の勇者パーティー達は、一斉に散らばる。その瞬間聖盾の守りは砕かれ、サマンサは金棒の餌食となってしまった。
「··がはっ」
「サマンサ!っ、この野郎!!」
サマンサが血を吐きながら崩れ落ちる。その姿に勇者サユリは、耐えきれずに飛び出した。
「二匹とも切り飛ばしてやる!掛かってこい!」
「「!ゴオオオオオオオオ!!」」
飛び出してきた勇者サユリに気付いた地獄鬼二体は、揃って口から黒い炎をサユリに吐き出す。
「いけません!【セイグリッドシールド】!」
リリエルがサユリの前に光の壁を創るが。
バリンっ!
あっけなく破壊され、サユリに黒い炎が襲いかかる。
「舐めんなァァァ!聖剣よ、全てを断ち切れ!」
その瞬間、剣から神々しい光が溢れる。そして、サユリが剣を振り下ろすと、青く輝く斬撃が黒い炎を真っ二つに両断、霧散した。それだけに止まらず。
「まだまだァァァァ!!」
サユリが剣を大きく振りかぶり、振り下ろす。すると、青く輝く斬撃が軌跡を作りながら飛んだのだ。その飛ぶ斬撃は、片方の地獄鬼の《超金剛》のバリアを見事に切り裂き、地獄鬼の首を胴体から切り離した。
「···相変わらず、凄い威力ね」
「ええ···。ナハリア、私はサマンサの治療に行きます。貴女はサユリの援護を」
「了解!気をつけてね!」
「そちらこそ!」
◆カゲマサside
勇者サユリが片方の地獄鬼の首を切り飛ばした頃、俺は“騎士”と激しい戦闘を繰り広げていた。
「くたばれ、イカれ野郎!【クリムゾンジャベリン】!」
「ヒャハハハハ♪無駄無駄ぁ♪」
俺が【クリムゾンジャベリン】を放つが、“騎士”はヒラリヒラリと回避していく。
「さぁ、お返しだぁ♪《冥針剣・針山地獄》♪」
“騎士”の放った針の山を跳躍で回避していく俺だが、このままじゃあ決め手に掛けると判断した。
(奴は、まだ本気を出していない。ならば、さっさと決めてしまいたい。·····よし)
俺は決断した。これで決めると。
俺が少し動きを止めると、“騎士”は隙と見てすぐさま急接近する。
そして、手に持つ剣で、
俺の胸を貫いた。
「ヒャハハハハ!♪案外あっけないですねぇ♪一瞬の隙が命取り♪」
“騎士”は、俺を嘲笑しながら剣をグリグリと動かす。
「さぁ、貴方の中身をぐちゃぐちゃにして差し上げましょう。そして、美しい芸じゅ
「お前」
「はい?♪」
突然言葉を発した俺に“騎士”は、すこし怪訝なな顔して、俺の言葉を待つ。
「過信しやすいって、注意されなかったか?《操骨》」
その言葉の瞬間、俺の背中から数本の尖った骨が突き出され、伸び“騎士”を拘束する。
「ンン!♪これは!♪」
「肉片残らず死ね。
【核撃豪砲】」
その瞬間、“騎士”は極光と超高熱に包まれた。
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