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再会、冥府教幹部、“騎士”


◆マーロイ北部 “乾きのダンジョン”前 カゲマサside



勇者パーティーと共に転移した俺は、慌てて“乾きのダンジョン”を見る。そこには。


「···崩れてやがる」


“乾きのダンジョン”かあった場所が崩落している最中だった。あまりにも呆気なく。


(俺のダンジョンも、コアを壊されたらこうなるのか?)


そこで俺が抱いたのは、恐怖と決意。


(···ふざけるな。今まで築いたものをこうもあっさりと壊されてたまるか!ダンジョンに帰ったら、更に強化しなければ。迷宮近衛隊や防衛軍、罠だけじゃ足りん!絶対に安心だといえる程にするぞ!)


俺がそう決意していた時、勇者パーティーも“乾きのダンジョン”の崩落を目にする。


「ちょ、ちょっと!何でダンジョンが崩れてるのよ!?」


いの一番にナハリアが崩落した“乾きのダンジョン”を見て、俺に捲し立てる。


「···誰かがダンジョンコアを壊したんだろう。大抵のダンジョンは、コアが壊れたらダンジョンとしての命が終わる」

「じゃ、じゃあ誰が壊したのよ!?」

「知るか。いるとしたら、この場にいないチョウ・キュウホか敵の大将ぐらいじゃないのか?」

「だが、カゲマサさんよぉ。敵が態々自らの拠点を崩すかい?」


そこに勇者サユリが疑問を吐き出す。確かに有用な拠点になりうるダンジョンを捨てるなんぞ、訳がわからん。


「···例えば、双方が戦闘となりうっかり砕いた、とか?」

「そんな間抜けな理由か?」


正直わからん。それが俺の感想である。まあ、奴等の大将はあのイカレ野郎だからな。理由なんて無いかもしれない。


「まあ良い、さっさと移動するぞ。ひとまずダンジョンから距離を」

「ええ~、それは困りますぅ♪貴方とは、ここで戦い(殺し)合いたいんですから♪」

「ッ!?」


後ろから身の毛がよだつ恐ろしい気配がした瞬間、俺は即座に背後へ蹴りを放つ。


「おっと♪コワイコワイ♪あ、これお土産で~す♪」

「チッ」


しかし敵、“騎士(ナイト)”はヒラリと躱して持っていたモノを俺に投げ渡す。


「···糞が、最低な土産物を寄越しやがって」


それは、動かなくなった〈調教師〉チョウ・キュウホだった。


「おい、チョウ・キュウホ!しっかりしろ!」


声をかけるが、反応はない。息はしているがうんともすんとも言わない。それどころか、身体もピクリとも動かないのだ。


「···精神が殺られたか?」

「余所見は厳禁ですねぇ~!♪」

「ぐっ!」


確認をしていると、再び背後から“騎士”が現れ奇襲を仕掛ける。間一髪で避けたが、今のは少し危なかった。


「···貴様、よくもまあ再び俺の前に出てきてくれたな。セイワンでのリベンジ、ここで果たしてやる」

「おやおや、あれは私の善意ですよ?♪何故リベンジされなければならないんです?♪」

「善意だと?」

「ええ♪私の作品の一部にしてあげようとしたんです♪光栄でしょう?♪作品となった彼等も、今頃喜んでいることでしょう♪まあ、彼等の死に様は非常に滑稽でしたが♪ヒャハハハハ♪」


····こいつ。あの時善意なんて言葉一つも言ってなかったがな。まあ良い。結局コイツは、話が通じているようで通じない奴だ。下手に話さない方が良いか。


「知るか、死ね。【ライトニングジャベリン】」

「おおっと♪」


俺は、速攻で仕掛けるが、“騎士”は危なそうに避ける。しかし顔は非常に猟奇的な笑顔だった。


「次は、こっちからいきますよ♪《冥針剣・針や、おっと♪」


“騎士”は、俺に見せた《冥針剣・針山地獄》を放とうとしたが、いきなり飛んできた矢を素手で掴む。


「ああ、そういえばいましたね♪勇者パーティー♪」


矢をはなったのは、勇者パーティーの耳であり弓矢使いのナハリアだった。


「サユリ、アレは不味いわ!私の勘がビンビン言ってる!アレは、この世のどの生物よりもイカれた奴よ!」

「解ってる!奴はここで消すぞ!」

「「「了解!」」」


士気は高いな。良し。コイツのイカれ具合を見て萎縮してしまうのでは?と思ったが、杞憂だったようだな。


「はあ、自分はそこの君と戦い(殺し)合いたいのですが♪邪魔なので、これ等と戦ってくださいな♪」


“騎士”は、剣を地面に突き刺す。そして、あるスキルを発動させた。


「《地獄王》発動♪〈地獄の下僕〉を召喚♪」


すると、剣から影が延びる。その影から、二体の巨大な鬼を呼び出す。俺は、すかさず《鑑定》を掛ける。



名前

種族 地獄鬼(ヘルオーガ)

職業 地獄の下僕

レベル 68

ランク A+

スキル 超剛力 超金剛 地獄炎



····一目で解る。ヤバイ奴だ。


そんな思いを抱いた俺は間違っていないだろう。事実、《鑑定》をしたのか勇者サユリ以外、顔を真っ青にしている。


ランクA+のモンスターなんぞ、滅多に現れない。いや、各地の上位ダンジョンには、そこそこいるだろうが、地上にはそうはいないのだ。最も上でランクBまでが関の山。そんな存在を、気軽に二体呼ぶなんて、この“騎士”はどれ程の実力を持っているのか。


「地獄鬼、勇者パーティーを足止めなさい♪なんなら、殺しても構いません♪」

「「ゴオオオアアアア!!」」


“騎士”がそう命令すると、二体の地獄鬼は雄叫びをあげて勇者パーティーへ向かっていった。


「···おい、良いのかよ」

「はい?♪」

「あの鬼共と一緒に俺を攻撃すれば、楽に殺せたものを」

「ああ、その事ですか♪」


俺の疑問に“騎士”は、また猟奇的な笑顔で言い放つ。


「そんな楽に殺しちゃあ、つまらないでしょう?♪無抵抗の弱者を嘲り、犯し、壊し、殺すのは心地よいのですが、それだけだとつまらない♪時々、そこらの強者をそれ以上の力で壊していくのもこれまた愉快なスパイスとなるのですよ♪」


ハッハッハと嗤う“騎士”。俺としては、そんな楽しみはいらないのだが、奴にとっては娯楽らしい。


「ああ、貴方は私が会ってきた強者の中で、六番目に強かったですよ♪素晴らしい!♪」


全く嬉しくない。つまり、あと五人今の俺より強い奴がいるということじゃないか!ふざけんな!


「あっと、長話でした♪さあ、さっさと続きを」

「【ヘルフレイム】!!」


俺は、余裕を噛ましている“騎士”の顔面に【ヘルフレイム】を叩きつける。しかし。


「ンッフゥゥ~~、容赦無し!♪良いですよ良いですよ~!♪」


なんと“騎士”は、俺の【ヘルフレイム】を剣で切り裂き、霧散させたのだ。


「あ、炎には炎でお返しせねば。《冥炎剣・灼熱地獄》!!♪」


“騎士”は、愉快そうに嗤いながら剣から炎を放出する。炎は、一直線にまるでレーザーの如く俺に襲いかかった。


「舐めるなぁぁ!《魔力障壁》、集中型!」


俺は、魔力を一つに集約してバスケットボール程の小さな《魔力障壁》を編み出す。


そして、小さな《魔力障壁》と《冥炎剣・灼熱地獄》は、衝突した。


「ぐぬぬぬぬぬ、こらえろ《魔力障壁》!」

「ヒャハハハ!♪焼き尽くせ♪」


暫く拮抗した結果、軍配は。


「良し、防いだぞ」

「ンッフ、それでこそ殺しがいがあるというもの♪」


俺に上がった。見事に防ぎきった。いやぁ、危なかったぜ。


「さっ、二回戦始めましょ♪」

「···絶対ここで終わらせてやる」


そして、港町セイワンでの戦いの続きが、始まったのだ。

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