崩落
少し嫌で訳わからんかもしれない表現があります。ご注意ください。
◆“乾きのダンジョン” コアルーム
(こ、これは、息ができん!)
赤く染まった空間の中でチョウ・キュウホは、自身の身に異状が発生したことを悟る。
「ゴボボっ!?ゴボゴボゴボボっ!!」
声を出そうとしても上手く発音出来ない。まるで、水の中に入ったかのように。
(息が出来ず、言葉も上手く発せられない、そして口の中に広がるこの鉄の味は···!)
ここでようやくチョウは、あの男が発した技名を思い出した。
『《冥血剣・血ノ池地獄》♪』
(ここら一帯血の池か!)
それを確信したのを知ってか知らずか、目の前に男、“騎士”が現れる。
「フフフ♪私の《冥血剣・血ノ池地獄》は、只血の池を作るだけじゃありませんよ♪自由に操れるのです♪」
どうやら“騎士”は、この血の池の中では自由に喋れるらしい。
「こんな風にね♪せいっ♪」
“騎士”が手を握りしめると、チョウの周りに存在する血液がチョウの肉体を圧迫し始める。
「もが···モゴモゴ!」
「苦しいですか?♪ならば、別の方法を試しましょう♪」
そう言った“騎士”は、血液を操作してチョウの口を無理やりこじ開け、血液を流し込む。そして。
「イヒ♪」
「ッ!?ゴボボッゴボゴボ、ゴッボボ!!!」
“騎士”は、ゆっくりとチョウの身体の中を血液でかき混ぜていく。ゆっくりと丁寧に、痛みをじっくりと与えながら。
血液で侵食された胃をズタズタに引き裂き。
大腸と小腸を引きちぎって、ぐちゃぐちゃに繋ぎ治し。
肺に血液を投入し、溺死寸前に追い込み。
全身の骨を圧迫によって粉砕、その工程をゆっくりと行い。
目玉をくりぬき。
脳をガンガン揺らし傷つける。
チョウは、度重なる自らへの行いに必死に耐えていた。それは、一重に彼の主君である大魔王への忠誠心故のことである。
「ふむ、良し♪《冥限剣・無限地獄》♪」
そんな必死に耐えていたチョウだが、“騎士”は《冥限剣・無限地獄》でチョウの負った傷を跡形もなく消し去る。
「ゴボボ!?」
「えっ、なんで治すかって?♪」
一瞬キョトンとなった“騎士”だが、直ぐに笑顔を見せる。
「そりゃあ、楽しむ為に決まっているでしょう♪」
そこから、また拷問が始まった。身体中をめちゃくちゃにされ、傷を治され、めちゃくちゃにされ、傷を治されの繰り返しを受けた。初めは耐えていたチョウも。
(······························痛い)
とうとう痛みを我慢出来なくなった。
(痛い、痛い。痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛∈痛い痛い痛い痛い$い痛*痛い痛い痛₩₩₩₨₨₪₪₣₪₩₩₰₳₯₳₩₭₡₪₵₭₰₳₰₡₯₰₭₰₭₰₰₭₪₧₪₭₰₨₶₧₰_]`}_`=`=]›(›‹„‚♀♖♂☞♙☞♘♗♗♗♗♂♂☟♙♂☞♂♘♘♗☆♀★♀★♙♖♂☆☚☆☆◾☆◾◻☆☏◾☆◾◻§¯«¯痛®¯¥¯«©¥©|©¤¥§¥¥§®¥®痛®¥¯«³§¥¯¥¨¢´¥¨}¨¥©¥∕∋∇∋∇∉∑∋∑∗∇∗∇∇⁄∋⁄∋∆√∥∇∗∑∇∃∃℘−∋℘∗℘℘℘℘い±×₤₡₤₡₪₧₧₡₪₪₡₥₧₪₧₠$$₡い₧₪₮■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■!!!!???)
拷問は何百、何千、何万と続けられた。行う度にやり方を変えて、戻して、試して、戻して、試して、戻してを繰りかし続けた。
「あっはぁ♪やっぱり人間を弄くり回すのは楽しいなぁ♪次々と拷問のアイディアが浮かんでくる♪殺害もまた素晴らしい娯楽だが、生きたまま弄くり回すのも、また心が踊る♪」
“騎士”は、笑顔だった。それもとびきりの笑顔である。
やがて、拷問が十万回を越えようとしていたその時。
“騎士”が拷問を止めた。
「····················飽きた♪」
そう、“騎士”の性格は、飽き性である。約十万回も拷問をしていたので、飽きてしまったのだ。《冥血剣・血ノ池地獄》を解除した“騎士”の足元には、既にあまりの痛みで心が折れてしまったチョウの肉体が転がっていた。起き上がる気配はもう無い。
命では無く、心が死んだのだ。
「······このダンジョンにいるのも飽きましたね♪」
そう呟いた“騎士”は、この“乾きのダンジョン”のダンジョンマスターであるゴーレムモドキに近付く。
「ッ!ナ、ナニヲスル!?」
「何って♪」
“騎士”は、何を今さらといっ顔で言いはなった。
「殺すに決まってるじゃないですか♪」
「ナッ!?」
ゴーレムモドキが戸惑った瞬間、“騎士”はゴーレムモドキに急接近。そして。
「さ・よ・う・な・ら♪」
ゴーレムモドキの頭を剣で切り落とした。次に右腕と左腕、右足と左足とゴーレムモドキの部位を切り裂いていく。そして、丁寧に一つ一つ殴り砕いていく。最後に残った“乾きのダンジョン”コアはというと。
「え~い♪」
思いっきり蹴り砕いた。
◆元“乾きのダンジョン”第三階層
それは、唐突に始まった。
第三階層を攻略していた勇者パーティーと〈帝将〉カゲマサ。しかし突如として、ダンジョンが振動し始める。
「ちょ、ちょっとちょっと!何なのよ一体!」
「落ち着けナハリア!何か嫌な予感がする!」
勇者パーティーの面々が騒ぎだした瞬間、カゲマサ、つまり俺は。
「捕まれ!!」
「「「「へ?」」」」
セクハラ覚悟で勇者パーティー全員に触れて、【ディメンションムーヴ】で転移した。
そして、“乾きのダンジョン”は、瞬く間に崩落した。
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