ピラミッド突破
◆第二階層 ピラミッド カゲマサside
「シネィ!【ダークボンバー】!」
ピラミッドの守護者であるハイリッチは、指をつきだして勇者パーティーに闇魔法を繰り出す。
「!サマンサ、頼む!」
「あいよ!聖盾よ、我等に聖なる守りを!」
何やら勇者パーティーの盾役が痛い台詞を吐いたと同時に勇者パーティーの回りを青白い光が囲む。【ダークボンバー】が青白い光に着弾するが、勇者パーティーはまったくの無傷だった。
「ヌ、ナカナカヤルナ。ナラバ、コレナラド」
「うるせぇ」
ハイリッチが再び闇魔法を撃とうとするが、しれっとハイリッチの隣に移動していた俺が、ハイリッチの腕を手刀で切断する。
「ナ、キサマ、イツノマニ!?」
「いや、お前が不注意すぎるのがいかんのだろうが」
なんたって、俺が軽く隠形系統スキルと魔法を使って近づいてたのに、まったく気が付かなかったのだ。うちのダンジョンのアンデッド達は、《魔力視》というスキルで認識出来ていたというのに。
「お前、案外弱いのか?」
「ダ、ダマレ!!」
図星をつかれたのか焦ったハイリッチは、部下のスケルトンロイヤルガードとミイラロイヤルガードを俺にけしかける。が。
「【ライトレーザー】」
レーザーをもって核となっている魔石を撃ち抜き、全滅させた。
「バ、バカナ!」
ハイリッチは、狼狽えて後退り。しかし俺は、一気に間合いを詰めると、ハイリッチの骨しかない体を持ち上げる。そして、スケルトンガードナーやミイラガードナーと戦っていた勇者パーティーの方にぶん投げた。
「いいっ!?」
「やるよ。それなり経験値にはなるだろう」
ぶん投げられたハイリッチは、どうにかしようと魔力を集中させるが。
「···礼は言わないぞ。聖剣よ!」
勇者サユリが何やら神々しい剣を抜くと、剣が眩い青白い光を溢れだした。
「マ、マテ!!」
「待つか馬鹿が!!」
勇者サユリは、飛んできたハイリッチを聖剣で真っ二つにし、続いてリリエルが【死者退去】で消滅した。
「マ·····マサカ··、コノ、ワレガ···リフジンダ」
という言葉を残しながら。それに対して俺は。
(備えが足りない。俺ならここに、人間の死体を置いて勇者パーティーを誘導。そして、誘導完了と同時に密室化して即死級の毒ガスを流し込む。駄目押しに、マグマや濃硫酸も流し込むな。あとは、吊り天井を落として全て潰す)
そう酷評して、自分ならどうやって殺すかシミュレーションしていた。
「ちょっと、カゲマサ!さっさと行くわよ!弱い奴に邪魔されちゃったけど、早く戦争を煽ってる奴を捕まえないと!」
「わかったわかった」
勇者パーティーから呼ばれた俺は、さっさと思考を切り替えて勇者パーティーと共に現れた階段を下っていった。
◆コアルーム
カゲマサ一行が第二階層のピラミッドを攻略し、地下に向かっている頃、〈調教師〉チョウ・キュウホはというと。
“騎士”との戦闘中だった。
「行け!D・ドッグ、D・ラプトル!」
「「バウッ!!」」
「「GAAAAAA!!」」
「ンフフフ♪」
チョウは、二体のD・ドックと二体のD・ラプトルを“騎士”に向かわせる。自身も持っていたもう一本の剣を持って“騎士”に向かっていく。
「ふん!」
「当たりませ~ん♪」
“騎士”に剣を振るうが、“騎士”はヒョイヒョイと躱していく。時には嘲りながら、時にはあくびをしながら。
「バウッ!!」
「GAAAAAA!!」
「邪魔♪」
と、そこにD・ドッグとD・ラプトルが割り込み、“騎士”に攻撃を仕掛ける。しかし“騎士”は、余裕で対処してD・ドッグとD・ラプトルの首を刈り取った。
そして、その二体の死体もろとも“騎士”を串刺しにしようとしたチョウの剣を素手で止め、へし折った。
「はあ、もっと無いんですか♪」
「チィ!」
煽るように話す“騎士”に、チョウは舌打ちしながら後退。そして、残ったD・ドッグとD・ラプトルを呼び寄せる。
「またですか♪」
「行くぞ!」
チョウは、二体のモンスターと共に“騎士”に突撃し。
「もう飽きたのでいいです♪《冥血剣・血ノ池地獄》」
チョウの視界は、全て赤く染まった。
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