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乾きのダンジョン、第二階層②


◆“乾きのダンジョン”第二階層 勇者パーティーside



虚ろな目で行進する人間達。勇者パーティー等は、警戒感を露にして構える。そして案の定、勇者パーティーを見つけた人間達は、一斉に突撃を開始する。


「っ!来るわよ!?」

「リリエル、彼等の《鑑定》は!?」

「人間です!職業には、奴隷とあります!」

「本当に!?サンドマンじゃなくて!?」

「本当です!気を付けて!彼等の手にあるのは!」


突撃を開始した人間、奴隷達の手には黒い球体が握られている。


「ちょっと、嘘でしょう!?」

「あれは爆発する魔道具ッ!!」


リリエルが叫んだ瞬間、奴隷達の持つ黒い球体が輝き、




爆発した。










爆風が収まり、巻き上げられた砂煙がおさまると、砂煙の中心には結界を展開したリリエルと勇者サユリ達がいた。


「···チッ、まさか人間の奴隷を使って特攻させるとはな。卑劣な手段使いやがるな」

「ええ、サユリ。こんなことをした奴は生かしておけない」

「そうよ!サマンサさんの言う通りよ!あの〈帝将〉カゲマサだってナタリア姉さんを丁重にしてたわよ!?」

「ナハリア、貴方の中でカゲマサ殿はどう映っているのですか」


そんな言葉を交わした勇者パーティーだが、辺りを見た瞬間、言葉を失う。


「···チッ」

「うっぷ」

「··酷いわね」

「····彼等の来世に幸あらんことを」


勇者パーティーの周りには、特攻した奴隷達の身体の一部や肉片が散乱していた。半分欠けた東部や黒く焼き焦げた腕、血がついた衣服とこびりついた肉。凄惨としか云いようがなかった。


「進むぞ。絶対に犯人をぶっ飛ばす」


気分が落ち込んでいた勇者パーティーだったが、勇者サユリの号令の元に再び進みだした。














◆第二階層 カゲマサside



勇者パーティーが人間の奴隷による特効に対して怒りを露にしている頃、俺も大量の人間と対峙していた。


「ふむ、奴隷か。見たところ自由意思を剥奪されている、か」


ぞろぞろとこちらに突撃を開始してきた奴隷達を見て俺は、ため息を吐きながら魔法を発動する。


「安心しろ。お前らの死体は、人工魔人の素材として有効に活用してやる。だから死ね。【死風(アヌビス・ウィンド)】」


この世界に来てから俺は、何度も危機に遭遇してきた。酷いときは、何もしてないのに向こうから危機がやって来たとこもある。その際に毎度鍛練を積んできた。


そんな殺伐とした世界に転移し、魔人となった影響か、現代人が抱かないような気持ちがあふれでてくる。


奴隷?うん、酷い境遇だな。


だが、だからどうした。


俺の敵であることに変わりない。


敵は死ね。そして、俺の目標の礎となれ。


俺の目標とは、ダンジョンの最奥で悠々自適にのんびりと目立たず暮らすこと。それを阻害しようとする奴は皆敵だ、という意識が俺の頭を占めている。


まあ、圧倒的上位のナナさんには逆らえないのと、都合が悪ければ殺さないので、所詮小物的ではあるが。


さて、【死風】を受けてバタバタと倒れていく奴隷達。俺は、その倒れていく奴隷達の死体に近づき、【ボックス】に収納していく。やがて、全て収納が完了すると、再び進み始めた。


「敵は、全て皆殺しだ」


そう呟きながら。
















◆マスタールーム



「くっひひひひ、この程度じゃ悲鳴をあげませんか♪」


“乾きのダンジョン”の最奥、ダンジョンコアのある部屋にて一人の男と巨大なゴーレムのようなモンスターがいた。


「ならば今度は、奴隷の怨霊でも出しますか♪おい、出来ますか?♪どうなんですか?♪」


男、“冥府教”上級幹部“騎士(ナイト)”は、ゴーレムのようなモンスターに蹴りをいれる。そのゴーレムモドキの首には、黒い首輪が付けられていた。


「ソ、ソレハ」

「ああ♪?貴方の首のソレ。起動してもいいんですよ?♪」

「ッ!デ、デキル!」

「ならばやりなさい♪そうそう、出来れば救ってくれなかった恨み言や助けてコールを付けて♪」

「···ワカッタ」


ゴーレムモドキは、渋々命令に従う。彼は、この“乾きのダンジョン”のダンジョンマスター、だった男だ。今は、突如現れた“騎士”に奴隷の首輪を嵌められて、こき使われている。


「くっくっく、これで勇者パーティーに精神的脆さがあれば効くのですがねぇ♪」


“騎士”は、くっくっくと笑いながら淡々と敵を殺していくカゲマサに目を向ける。


「ああ、早く会いたいですよ♪あの夜の君♪今すぐに会って、その力を完膚なきまでに潰して、ぐちゃぐちゃにして、踏みにじって、ぶち犯して、何もかもに絶望させたあとに殺して差し上げましょう♪」


“騎士”は、ニチャアと嗤った。

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