表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
209/302

乾きのダンジョン、第一階層


◆乾きのダンジョン カゲマサside



さて、早速“乾きのダンジョン”内部に侵入した俺達だが、内部は黄土色の遺跡にあるような道だった。試しに探知魔法【サーチ】を使ってみたのだが、そこかしこにモンスターの反応がある。数は、凡そ五十ぐらいか?少ないな。それとも温存してるのか?


「何か普通のダンジョンね」

「ええ、“冥府教”なる危険人物達に占拠されたダンジョンにしては普通です」

「気を付けなさい。何処に罠があるか解らないんだから」


勇者パーティー達は、それぞれ“乾きのダンジョン”の所感を言い合っていた。小声だったが。


「アタシ達が攻略してきたダンジョンは、全てこんな感じだったが、さてチョウ・キュウホさん?アンタはどう思うね?」


勇者サユリは、今まで入ってから沈黙していた〈調教師〉チョウ・キュウホに話しかける。


「ふむ、自分が思うにまだ準備が整っていないのか、様子を伺っているのか、まだ判別がつかないな。〈帝将〉カゲマサ殿はどう思うかね?」


おっと、俺に話題が回ってきたな。


「俺からしたら、ほぼ間違いなく罠だと思うぞ。ダンジョンは、頻繁にその姿を変えると聞くからな」


実際俺のダンジョンだって、戦力の増加によって日に日に形を変えている。今やおもてなし階層の一~五階層より下は魔境となっているからな。入り組みすぎてマジな迷宮と化している。


「なるほど、参考になる····ん?」

「む」

「?どうした?···はっ!」




(··助け·····助けて···助けて·····)




あ、今誰かの声がしたぞ。今にも消えそうなくらい小さい声だが、スキル《聴覚強化》で聞き取れた。そしてチョウ・キュウホも聞き取ったらしい。遅れて勇者サユリも聞き取った。


「誰かが助けを求めてる?」

「しかし一体何者」

「行くぞ!」


あっ!勇者の奴先走りやがって!罠だったらどうするんだ!


俺とチョウ、勇者パーティーの面々は、すかさず勇者サユリの後を追う。


勇者サユリを追ってたどり着いたのは、一つの大部屋。中央には、一人の人間が縛られていた。


「助けて···助けてくれぇ」


人間は、男性で茶色の鎧を着ている。そういえば、表のマーロイ軍も同じ鎧だったな。


「表の兵士達から連れてこられたか」


恐らく罠として利用されたのだろう。兵士の顔は、恐怖で引きつっている。


「頼むぅ、この鎖を···鎖を解いてくれぇ。俺には、妻とまだ六歳になる息子が」

「今助ける!」


腐っても勇者だからか、救おうとする勇者サユリ。しかし俺は、手で制する。


「な、何故邪魔を!?」

「まあ待て」


俺は、勇者サユリを制した後、何の容赦もなく光魔法【ライトニングジャベリン】で兵士を貫いた。


「なっ!?お前!?」

「見ろ」


俺の言葉に勇者サユリは、兵士を見る。するとどうだろうか。【ライトニングジャベリン】に貫かれた兵士は、みるみると砂へと変わっていった。割れた魔石だけを残して。


「え?」

「《鑑定》結果によると奴は、スキル《変身》と《偽装》を持つサンドマン。変身して俺達を待ち構えてたようだな」

「···私達の《鑑定》にはそのようなこと」

「単純に強度の差だな。お前の《鑑定》より敵の《偽装》の方が上手だったんだ」


いや、もしかすると他者の《偽装》重ねがけという可能性もあるか。とにかくサンドマンの魔石ゲットだぜ。ちなみにランクはDのレベル12でした。


「さて、この部屋は罠ってことは確定した。となると、さっさと引き返して別のルートを··ん?」


俺が後ろに振り向くと、何かが迫ってくるではないか。それは。




大針の生えた壁だった。




「あ、やべ」

「皆!早く部屋へ!」


チョウの掛け声で俺達は、大部屋へ入る。大針の壁は、部屋の前で止まり後ろへ移動していった。


「···糞、罠が出るぞ!」


俺が叫ぶと同時に壁から紫色のいかにも毒って感じの煙が出てきた。


「毒ガスじゃねぇか!総員、鼻を塞げ!」


俺の声に勇者パーティーは、鼻を塞ぐがチョウは塞がない。


「おい、何をやっている。早く塞げ!」

「私は、本国の訓練のお陰か《毒耐性》のスキルを有している。心配ご無用。そしてそれは、貴方も同じでは?」


あ、そういえばそうだ。あれだけ言っといて俺も鼻を塞いでないじゃないか。


「···おっほん!勇者パーティーは鼻を塞ぎながら進もう!」


こう言った際、勇者パーティーからジト目で見られたが、俺は無視した。


その後は、サンドウルフやサンドマン、ゴーレムが襲ってきたり、吊り天井が落ちてきたり矢の雨が降ってきたりと少し大変だったが、何とか切り抜けて、俺達は下に続く階段を発見した。


「ようやく見つけたぞ。手間掛けさせやがって」

「さあ、第二階層な訳だが、各員異常はないか?」


勇者サユリが愚痴を吐くが、俺は無視して各員の状態を確認する。


「チョウ、異常ありません」

「サユリ、問題無し」

「私も無いわよ」

「私も無いよ」

「私もです」


全員異常無しを確認したので、俺達は第二階層への階層を下った。









そして落ちた。

良かったならば、高評価、ブックマーク登録、誤字報告等、よろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ