衝突①
またまた短いぞい。
◆宿屋 カゲマサside
『アークダール魔導国がマーロイ首長連邦に宣戦布告しました!更に背後には、“冥府教”の影もあります!これを機に“冥府教”の尻尾を掴みなさい!』
その言葉に俺は、は~っとため息を吐いた。どうもこちらの世界に来た時から、戦争に巻き込まれ過ぎている気がする。死霊公の一件しかりフリン公国の一件しかり。
「・・・“冥府教”は解りますが、少し慌てすぎでは?宣戦布告したからといってすぐに激突する訳ではないでしょうに」
『っ!・・・・コホン。申し訳ありません。急ぎ報告するべしと判断しましたので。しかし激突するまであまり時間はありませんよ?』
「え、それは何z・・・.空間魔法ですか」
『その通りです。アークダール軍は既に空間魔法で国境付近に進軍しています』
その言葉に俺は、首を傾げる。
「空間魔法が使えるならば、何故マーロイ首長連邦の首都パレクスど真ん中に転移しないのです?意表も突けるし、楽ですが」
『ああ、首都パレクスには転移を禁じる結界があるのです』
そうなのか?
疑問に思った俺は、【ゲート】を開こうと試みるが、上手く開かない。なるほど、これが結界の効果か。我がダンジョンに取り入れるか。
『では、アークダールとマーロイの戦争については任せます。こちらも勇者パーティがマーロイに入国できるよう裏で仕掛けてみますので』
「了解です」
そう言って念話は途絶えた。
「・・チッ、面倒だな」
新たなる仕事に俺は、静かに舌打ちしながら茶色変装セットを身に纏い、《暗殺者》【ステルス】を発動して宿屋から飛び出した。
◆アークダール魔導国領 マーロイ国境付近
マーロイ国境付近にある砦に駐屯する防衛部隊は、突如として現れたアークダール軍に驚きと戸惑いを隠せなかった。
「ま、まさかこんな大軍がやってくるとは···!」
「た、隊長!敵の数が判明しました!凡そ二万!二万以上の大軍です!」
隊長と呼ばれた軍人は、部下の報告に顔を青くしながらアークダール軍を見ている。
「隊長!アークダール軍からの使者が言伝を!」
「・・・内容は」
「はっ!申し上げます!・・・降伏せよ。さもなくばなぎ倒す、と」
「・・・そうか」
隊長は、暫く考え込む。そして決断を下した。
「・・・軍指令部に援軍要請を。なんとか我々だけで持ちこたえるぞ!」
「「はっ!」」
隊長は、アークダール軍と戦うことに決めた。部下達は、その言葉で死ぬ覚悟を決めた。
「何としてでも守りきるのだ!我々が押し通されたら、泣くのはお前達の家族かもしれんぞ!?それが嫌ならば、守るのだ!」
「「オオオオオオオオ!!!!!」」
こうしてマーロイ軍とアークダール軍は、砂漠地帯の砦にて衝突した。
◆戦場外
「始まったか」
「ああ、始まった」
「“騎士”様はなんと?」
「計画に変更はない。予定通り、死の力を集めるぞ。マグ」
「了解、モグ」
「「全ては、我々“冥府教”の悲願の為に」」
マーロイ軍とアークダール軍がぶつかるなか、二人の“兵士”は静かに戦場を見る。そして無表情で言葉を口にする。
「だから、マーロイよ」
「アークダールよ」
「「我々の糧として、滅ぶが良い」」
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