領主とお話
領主とお話です。
俺は、兵士達に案内という名の連行をされ、街で一番大きい建物に連れていかれた。
「すいません、あの建物は何ですか?」
「ああ、この辺境伯領の領主様の館だ」
「え?」
領主?つまりこの土地を納めている人間だよな。しかも辺境伯?伯爵様かよ。
俺は、そう考え体の向きを180度逆にする。
「あ、ちょっと!」
逃げ出した。当たり前だ。貴族に関わったらろくなことがない。
「ま、待って!」
「おい!絶対に逃がすな!」
「逃がしたら、オルフェ様に大目玉食らうぞ!」
兵士達が追いかけてくるが、邪神によって魔人の身体能力を得た俺には追い付けまい。これで逃げ、あ。
俺の目の前には、大勢の兵士達が。しかも騎士の姿も魔導師もいる。
「何で?」
まるで俺が逃げるのを分かっていたような、そんなことを感じてしまうような素早い動きだ。
「はぁはぁはぁ、やっと追い付いた。」
「あ、俺を案内という名の連行をした兵士、どうゆうこと?これ。」
「あ、はい。各門には、迅速に対応できるように対策してるので。それよりも!領主様が待っていますから、早く来ていただけませんか!」
怒られた。相当急いだようで、息が荒くなっている。
「・・・・わかりましたよ。いけばいいんでしょう?というか、その対応の速さをアンデッド軍にもして欲しかったです」
「う、それは!は、はい!案内します!」
◆領主の館
応接室に通された俺は、目の前の領主に目を向ける。
「よく来てくれた。私がこのセブンス帝国辺境伯領の領主、マジーメ・ドミニクだ。この度は死霊公からの領地守護、礼を言う」
「はぁ」
「だがら貴殿に報酬を与えたいのだが、何か希望があれば言ってくれないか?」
などと言うこの男、マジーメは金髪青目のイケメンだ。それに体もある程度鍛えられてる。それでまだ18歳とはな。
「金銭なら金貨50枚贈呈しよう。仕官したいなら領軍の指揮官などの地位があるが」
「ねぇ、マジーメさんよ」
「なんだ?」
俺はかねてより考えていた考えを言う。
「俺は地位はいらない。金貨と冒険者ギルドに加盟させてくれればいい。」
「冒険者ギルドだと?・・・・分かった。これでも冒険者ギルドでもそれなりのコネがある。ギルドに掛け合おう。ただし、どこまでランクを上げられるかわからないぞ?」
「構いませんよ。なんなら最下位のFランクでもいい。」
「そうか。ところで、君は私が嫌いかな?」
「はい?」
マジーメは見抜いていた。目の前にいる男の目に、嫌悪が混ざっていることを。伊達に貴族として生きてはいない。
「いえいえ、俺は貴方が嫌いなんじゃない。貴族そのものが嫌いなんです。多少の偏見もありますが」
「それは何故かな?」
「簡単に言えば、傲慢な人間が多いからですよ。神でもあるまいし、何がそんなに偉いのかわからない。答えられますか?」
「むっ」
確かに、この国の貴族はそういった者が多い。貴族だと言うだけで威張り、権力を使って好き放題する輩もいる。
「確かに、我がセブンス帝国の貴族にもそんな輩がいることは承知している。だが全ての貴族がそうではない」
「分かってますよそのぐらい。でも、どうも嫌悪感が抜けなくてね」
「そうか。ならば、仕方ないが今後はあまり嫌悪感を出さないでくれ。君の嫌悪感は、少し心臓に悪い」
「了解です」
俺はそんな会話をしながら、あることに気づく。
(死霊公も言ってたがこの国ってセブンス帝国っていうのか。あと扉の後ろにいる二つの反応はなんだ?)
「すいません」
「どうした?」
「後ろに二人、誰かいるのですが、どなたでしょうか?」
「なんだと?」
すると、扉がゆっくりと開き二人の女性が入ってくる。片方はメイドさんだったが、もう片方は豪華なドレスを着た美女だった。
「あ、姉貴!」
「あら?お邪魔だったかしら?」
「さっき大事な話だから入ってくんなって言ったろ!」
「そうだったわね。でももういいじゃない。入っちゃったし」
「良くない!」
「はいはい。ところで貴方、強いんでしょう?」
「はい?」
いきなり話しかけられ、驚きながらも俺は返事をする。
「模擬戦しましょうよ」
「は?」
次回は、マジーメの姉と模擬戦です。
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