いざ、マーロイへ②
◆サタリム王国領 砂漠 カゲマサside
空を飛行してマーロイを目指している俺だが、砂漠地帯に妙に高い砂煙が上がり、サタリム王国を移動しているを確認した。
「今は強い風なんて吹いていないぞ?まさか、何かが走ってきているのか?」
もしかしたらマーロイ首長連邦の手掛かりになるかもしれんと考えた俺は、期待半分興味半分の思いを抱きながら砂煙を追った。
飛行しながら砂煙を追い、やがて追い付いて覗いてみると。
「···サメ、だと?」
なんとも意外。茶色の肌を持ったサメが砂漠を泳いでいるではないか。それも十数匹ほどの群れでだ。俺は、早速《鑑定》を行う。
名前
種族 サンドシャーク
職業 群れの長
レベル 20
ランク C
スキル 砂泳ぎ 統率 鋭牙 砂魔法 嗅覚
まんまだった。しかし環境によっては、あんなモンスターも生まれるんだな。ウチのダンジョンでも砂漠作るか。
俺が呑気に考えていると、サンドシャークの群れが俺に気付いたのか、進む方向をUターンして此方に向かってくる。
「Goooaaaッ!!」
そして顔を出したと思えば、砂の槍を俺に打ち出した。他のサンドシャークも次々に砂の槍を放ち、俺を撃ち落とそうとする。
だが砂の槍は、俺の《魔力障壁》に阻まれて当たっていない。
「よし、奴等の魔石と死体をいただこう。何かに使えるかもしれん」
俺は、魔力を集中させると、魔法を発動させる。
「【トルネード】」
突如として現れた竜巻に飲み込まれるサンドシャーク達、そして空に巻き上げられた。
「仕上げだ。【エンチャント・ホーミング】+【ウォーターカッター×16】」
【エンチャント・ホーミング】が付与された【ウォーターカッター】がサンドシャーク達に飛来。砂漠ならいざ知らず、空中に巻き上げられたサンドシャーク達は成すすべ無く切り刻まれた。
切り刻まれたサンドシャーク達の死体を【ボックス】に入れていく中俺は、スキル《存在関知》により、複数の存在が此方に向かってくるのを関知した。
「ふむ、何なんだろうな。妙に急いでいるような。まさかフリン公国の時と同じように、サタリム王国属国の王族じゃあないだろうな?」
俺は、サンドシャークの死体を素早く収納した後、その複数の存在の元に【フライ】で向かった。
さて、着いたは良いが、結論だけ言うと王族ではなかった。だが妙なモンスター郡がいる。
「GAAAAAAAA!!!!」
体表は、闇のように黒い。姿形は、恐竜でいうラプトルに似ているな。
そして何より目を引くのが、ラプトルモドキに纏わりつく黒いオーラ。
俺は、《鑑定》を発動させる。
名前
種族 D・ラプトル
職業 侵攻部隊構成員 混血種
レベル 35
ランク B-
スキル 鋭牙 統率 闇魔法 魔力障壁 俊敏
(混血種だと?DがデビルのDならば、悪魔と恐竜の混血ということか?それに侵攻部隊、ね。コイツらが例の〈調教師〉の手下なのは確実だな)
そんなことを考えていると、D・ラプトルは再び雄叫びを上げる。すると辺りの仲間と思わしきD・ラプトルが集まり始める。その数、三十頭。
「ふむ、とにかく貴様等が敵ということはわかった。ならば死ね。【クリムゾンボンバー】」
俺は、予め準備をしていた【クリムゾンボンバー】をD・ラプトルの群れに放った。
これで連中は丸焼き、だったら良かったのだが。
「···そう、上手くはいかないか」
D・ラプトルの群れは、なんと味方同士で固まり、《魔力障壁》を重ね掛けして【クリムゾンボンバー】を防いだのだ。
「咄嗟の機転が早いな。悪魔との混血の影響か?」
D・ラプトルは、好機と見たのか一気に襲いかかってくる。勿論複数でだ。俺は、迎撃するべく魔法を放とうとするが。
「···チッ、連携も上手いな」
そうはさせまいと、後方に残ったD・ラプトルが闇魔法【ダークランス】で前衛を援護してくるのだ。そのせいか、前衛のD・ラプトルに接近を許してしまう。
「GAAAAAAAA!!」
「悪いが、殺られる訳にはいかないぞ俺は!」
計十三頭のD・ラプトルが襲いかかってくるが、俺は牙による攻撃を躱して十三頭の内一頭の尻尾を掴む。
「GYA!?」
「そら、飛んでいけぇ!」
俺は、掴んだD・ラプトルをブンブン振り回し、後方に残ったD・ラプトルの元に投げ込んでいく。残りの十二頭も同様に投げた。D・ラプトル達は、いきなり投げられて慌てているようだ。そして。
「距離は取った。今ならいける。【エンチャント・ホーミング】+【サンダーレイ】!」
慌てるD・ラプトル達に降り注ぐは、雷の雨。D・ラプトル達は、先程のように固まって《魔力障壁》の重ね掛けで逃れようとするが。
「今回は、若干魔力を込めたからな。更に貫通力も高めたから、上手く防げんぞ?」
その言葉通りD・ラプトル達は、《魔力障壁》を貫通した【サンダーレイ】によって、次々と命を散らしていく。
「Guuu,GAAAAAAAA!!」
残り二頭になったD・ラプトルは、最後の特攻に出た。《魔力障壁》を解除して此方に駆け出してくる。【サンダーレイ】には、【エンチャント・ホーミング】を付与しているので、【サンダーレイ】は二頭を追い始めた。
やがて【サンダーレイ】が二頭の片割れを貫き、絶命させた。残り一頭は、全速力で俺に向かう。
「GAAAAAAAA!!」
しかし。
「【ウィンドカッター】」
俺の放った魔法により、両脚を切断された。両足を切断されたD・ラプトルはその場に倒れ、【サンダーレイ】により頭を貫かれ、絶命した。
良かったならば、高評価、ブックマーク登録、誤字報告等、よろしくお願いいたします。励みになりますので。




