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最後の魔人化、そして南西動乱

ネタが···出ない。


◆ダンジョンコアルーム カゲマサside



「ご主人様(主君)。私を、魔人にしてほしい」


その言葉に俺は、僅かに驚きながらも疑問が浮かんだ。


「何故だ?確かに魔人となれば、通常より強力な存在となる。だがナタリアの場合、元から強いしエルフ特有の長寿もある。マヤの場合は、·····完全に人間では無くなるぞ?」


そうだ。ナタリアは、中級魔人には劣ろうと下級魔人よりは強いし、エルフは元から長寿。マヤは、····特に見当たらない。獣人は、人間と殆ど変わらない寿命だし、マヤの強さは今現在ランクDのレベル10だしな。しかし魔人化による人外化は忌避感はあるだろう。


「主君、これでも私達は日々どうやって主君の役に立てるかを考えている。いろいろ考えた結果、私達も魔人なれば更に役に立てるとかんがえたのだ」

「ご主人様、私も同じ気持ちです。何時までも弱いままでは、ご主人様の足手まといになるだけです」


う~ん、そんなことを言われてもな。戦闘ならば、他の魔人がいるし。マヤは、俺やダンジョン幹部、モンスター達に料理を振る舞っている。ナタリアだってモンスター達に剣術や戦術について教練しているし、地表の村で聞き込みなんかもしてくれている。


だが、わざわざ直談判してきたんだ。変えてやるか。


「う~む。ならば魔人にしようか?」

「「っ!はい!」」

「しかし、一回なったら戻れんぞ?良いのか?」

「「勿論です!」」


はぁ。ならば仕方ない。魔人にするか。


俺は、二人にスキル《魔人王》を使用した。変化は直ぐに始まった。ナタリアは、肌は薄い褐色となり目も赤くなった。マヤは、元から肌が褐色なので変化せず、目が若干赤くなっただけだ。


《鑑定》結果はというと。



名前 ナタリア·エルーデン

種族 上級魔人

職業 教官 カゲマサの奴隷

レベル 1

ランク A

スキル 剣聖 風魔法の達人 弓術の達人 教導etc.



名前 マヤ

種族 中級魔人

職業 料理長 カゲマサの奴隷

レベル 1

ランク A

スキル 料理王⋅⋅料理が伝説的な旨さになる。 鑑定 剛力 格納 護身術 etc.



と、こんな感じだったよ。ナタリアが剣聖、マヤが料理王ねぇ。


まあ、戦力アップになったからいい················。あ。


「ナタリアの妹、勇者パーティやん···」


俺は、特大の地雷を踏んだ気がした。















◆西方大陸南西部 サタリム王国首都エンバイ



サタリム王国。かつて豊かな土地を求めてナデラン王国に派兵したが、カゲマサによって侵攻軍を全滅させられた国。今や、セブンス帝国の実質上の属国となっている国である。


そんなサタリム王国だが、首都エンバイに存在する宮廷にて、サタリム王国の主要な者達が集まっていた。


エキゾチックな室内で話し合っていたのは、五名の人間。


「して、その報告は本当か?エルランド殿」


そう言ったのは、サタリム王国国王、バルマフ·キン·サタリム二世。ナデラン王国に戦争を仕掛けた張本人だったが、負けたことで国の内政を立て直すことに奔走するようになった。


「はっ!帝国軍人の誇りに掛けて、事実であります!」


そう答えたのは、セブンス帝国軍第四軍所属の将校で、名をエルランド·バーニッヒ少将。かつてフリン公国にて、兵を引き連れ現れたり、旧エルザム侵攻時にはカゲマサの魔法の威力を目の当たりにした人物である。サタリム王国には、駐在する軍の指揮官として来ていた。


「ぬう、しかし信じられぬな」


次にクチを開いたのが、サタリム王国の宰相。カイゼル髭を生やした五十代男性。


「王よ!奴等が来たのならば、我が〈竜炎師団〉にお任せを!マーロイの連中なんぞ、直ぐに蹴散らしてやりましょうぞ!」

「ならば!エンバイの守護は、我等〈巨石旅団〉に!マーロイの連中なぞ、一歩も通しませぬ!」


そう叫んだのは、二人の武官。一人は、この国の将軍にして精鋭部隊〈竜炎師団〉の師団長であるジュバーフ·レイガー。もう一人は、同じく精鋭部隊の〈巨石旅団〉の旅団長であるトマ·ガードナー。


二人は、血気盛んにバルマフ王に嘆願するが、バルマフ王は二人を制する。


「落ち着け。マーロイが気に食わないのは、余も同じだ。しかし、エルランド殿が持ってきた情報も無視できぬ。エルランド殿」

「はっ」


いきなりだが、西方大陸南西部について簡単に述べておこう。まず南西部は、広大な砂漠が広がっている地域で、人々は各地に点在するオアシスを拠点で生活をしている。その中でもっとも名の知れた国は、三つ。


一つ、既に敗れて実質上の属国となったが、嘗ては膨大な軍事力を保持し、兵器開発にも力を注いできたサタリム王国。


二つ、サタリム王国から見て砂漠地帯から更に西に向かった先にあるマーロイ首長連邦。かの国は、様々な中小国が寄り集まってできた国で、砂漠地帯で唯一食料の自給自足が行われている。軍事力は、西方諸国との武器取引で最新の兵器が揃っており、兵士自体の質は普通だが兵器の数では、サタリムを追い抜いている。


三つ、サタリム王国から見て南に位置し、南方諸島に最も近い位置にいるのが、魔導王国アークダール。魔導王国の名の通り、魔法の研究が盛んに行われている。また南方諸島の国々や西方諸国とも交易を行っている。軍事力は、主力部隊に魔導師団と魔導師団を取りまとめる三名の魔導将軍がいるらしい。王自身も、凄腕の魔導師だとか。


勿論他にも国はあったが、大体がマーロイやアークダールに属国か併呑されて消えた。生き残った国々は、三国に怯えて細々と生きてきた。


特にこの三国が知られている。その内の一つ、マーロイ首長連邦について、エルランドは報告する。


「皆様、最近マーロイ首長連邦がサタリム王国の属国だった国々に侵攻をかけられたのはご存知かと思います」

「うむ、把握しておる。宰相」

「はっ。こちらが把握しているだけで、二国。ベラクル王国とヤジニ王国ですな」

「うむ、あの二国が一番マーロイ連邦と近かったからな」

「えぇ、その二国です。それで、結果は」

「うむ、惨敗だ」

「少しは持ちこたえましたが、やはり物量には勝てませんでしたな」


バルマフ王と宰相は、はぁとため息を吐いた。


「その際に、逃亡してきたベラクル兵士とヤジニ兵士に話を聞いたのです」

「ふむふむ、結果はどうだったのだ?」

「マーロイ首長連邦は、どうやらランクBモンスターを使役している模様です」

「「「「なっ!?」」」」


エルランド他四人は、驚愕してエルランドを見た。しかしエルランドは、どこ吹く風のように無視して話を続ける。


「しかも普通のランクBモンスターではなく、黒いオーラを纏ったモンスターとのことでした」

「そ、そんな馬鹿な!帝国ならいざ知らず、マーロイ連邦がランクBモンスターを使役しようなど!」


バルマフ王は、信じられないというように声を荒げた。その時、一人の兵士が大急ぎで入ってくる。


「会議中失礼致します!ジュバーフ将軍に緊急の連絡です!」

「何だ!?」

「はっ!また属国が落とされました!」


その報告に一同は、警戒感を露にした。















◆南西部 とある属国



嘗ては、サタリム王国の属国だった国。その国は、廃墟と化していた。黒いオーラを纏ったモンスターに蹂躙された結果だった。


「フハハハハっ!流石は、〈調教師〉殿の使役するモンスター共よ!見ろ!サタリム王国の軍隊を蹴散らしておるではないか!」

「アブサル様、流矢の危険がありますから離れてください!」

「ぬおっ!そうであった!」


そして亡国となった地で興奮している人間がいた。


「しかしイデリン殿は何故、この地を荒らすだけ荒らして、後は撤退なんて言うのだ?この戦力なら、サタリム王国を滅ぼして更に勢力拡大が出来るものを!」

「アブサル様、サタリム王国の後ろにはセブンス帝国がいます!かの大国を敵に回すのは、愚策です!何度も言ったではありませんか!」

「ぬおっ!そうだったそうだった!」


アブサルと呼ばれた男性は、ガッハッハ!と大笑いしながら、部下を率いて撤退していった。


黒いオーラを纏ったモンスターを引き連れながら。


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