ダンジョンの内部、ジレイク・その他視点
構成がおかしくなったかもしれぬ。
沢山の誤字報告ありがとうございます!
◆ダンジョン 迷宮研究所 ジレイクside
アタシはジレイク⋅バロー。南方諸島で手下と暴れまわっていた海賊さ。まあ、とある国の商船を襲った時にしくじって、目と脚をやられたけどねぇ。けど今や回り回って、魔人になってダンジョン配下の海賊とは。
「で、アタシに何の用だい?」
「ああ、実は貴様用の艦隊を用意してたんだがな?」
アタシの前で話しているのは、このダンジョンの主にしてアタシの目と脚を治すきっかけを作った上司。そして、人の粋を越えた怪物。ダンジョンマスター、カゲマサ。
「アタシ用の艦隊?」
「おう。今までうちには、海に関連するモンスターが悲しいほど少ない。その分船で補おうと、したうちに凄いことになってな」
そう言いながらカゲマサは、アタシを迷宮研究所の武器工場に連れてきた。そこには。
「····なっ」
「驚くよな。俺も驚いた」
アタシは目を疑ったさ。なんと武器工場に二十隻に及ぶ船が並んでいた。しかも良く見れば、若干浮いており船体を鉄板で覆っている。側面には、幾つもの筒のような物が取り付けられていた。
「な、なんだい?これ」
「幽霊船。それを技術総動員して改造したものだ。例えば、魔力を使う魔導スクリューに魔力のステルス機能。魔導砲十二門。他にもあるが、説明が長くなるので割愛する」
カゲマサの説明を聞きながらアタシは、呆気に取られていた。これ程の船をあっという間に取り揃えられる組織なんぞ聞いたことがない。
(というか、鉄板で覆われている船なんて、見たことがないよ!?それに魔導砲!?そんなの聞いたことがないよ!?)
アタシの混乱を知っているのか知らないのか、カゲマサは言った。
「そこでな。こいつの実験を行う。そうだな····。エルザムの東、オニタロウのダンジョンがある地域の更に東に海があったな。良し、そこにしよう」
カゲマサは、二十隻の幽霊船の内一隻を【ボックス】に収納した。ん?
「あ、あれ?幽霊船はモンスターの類いじゃないのかい?」
「幽霊船は少々特殊でな。なんと言うか、ボロボロの船に魔石が発生して独りでに動き出す船、ということで、モンスターだが物に入る、らしい」
余り明らかになってなっていないのか、自信無さげだ。
「じゃあいくぞ。【ゲート】」
「あ、ああ」
カゲマサの【ゲート】を通った先には、晴れやかな空に穏やかな海が広がる場所だった。
「さて、出すか。【ボックス】」
カゲマサは、【ボックス】から一隻の改造幽霊船を出した。
「人員だが説明役の魔人一人に、量産型人工魔人五十人だ。取り敢えず使ってみろ。」
アタシは、幽霊船内に乗り込む。見回すと、舵が見当たらない。
「なあアンタ。舵がないんだが?」
アタシは、疑問を説明役の魔人に聞いた。返ってきたのは、予想だにしない答えだった。
「ああ、舵ですか?この船は自立意思があるのです。上司が言うには、えーあい?というものらしいですが。命令も聞きますよ?試しに『進め』と言ってみましょう。」
アタシは、若干疑いながらも船に命令してみた。
「『進め』」
すると、幽霊船がゆっくりと動き出した。そして加速を始める。
「へぇ、中々早いじゃないか。」
「まあ帆船ですから、少なからず空気抵抗があるのでしょう。では次に魔導砲の実験をしましょう。」
説明役の魔人は、ちょうど良い岩を指差した。
「では」
「ああ!撃て!」
ドォォンッッ!!
量産型人工魔人は、標準を合わせて魔導砲を発射した。魔導砲から放たれた弾は、見事に岩に命中。
「ふむ、魔力を控えめにしたので威力が低いですね。更に上げましょう。」
「あいよ!」
アタシは、もう考えるのを止めた。こんな強力な艦隊があるんだから好き勝手してやるさ!
◆ダンジョン地表 酒場 マヤside
ご主人様から一人の補佐が送られてきた。どうやら新たに仲間にした奴隷らしく、家事が上手かった。そして補佐がついて少し経ち、仕事に慣れてきた頃。補佐が一人の娘を連れてきた。
「あの、マヤ様」
「様は要りません。マヤで結構です」
「では、マヤさん。実は、私の娘が聞きたいことがあるらしくて」
「娘さんが?」
確か、エリという名前だったはずだ。その子が一体何の用で?
「エリちゃんだったかな?一体何の用?」
エリちゃんは、暫く私を見た後口を開いた。
「ねぇ、マヤさんって、カゲマサお兄ちゃんのこと好きなの?」
「ブゥぅウウウウゥゥゥーーーーー!!」
す、す、す、好き!?スキ!?なんで私が!?私は、ご主人様には返しきれない恩があるだけで、恋愛感情はありません!
「な、な、何でそんなことを?」
「だって、カゲマサお兄ちゃんに変な目むけてたもん」
「はうあっ!!」
私は、エリちゃんの口撃に撃沈する。
「···エリ、マヤさんを運びましょう?」
「うん。でも、なんで好きって言わないんだろうね?」
「もう!大人になればわかりますよ!」
◆ダンジョンコアルーム カゲマサside
五十日後、奴隷達を魔人化させた後暫くして。
「んで?どうしたんだ、二人とも」
俺の目の前には、初めて買った奴隷である牛獣人のマヤに勇者パーティに妹がいるエルフのナタリアがいた。
「ご主人様。差し出がましいようですが、お願いしたいことがあります」
「これは主君のことを考えて決めたことなんだ。どうか聞いてほしい」
「ご主人様(主君)。私を、魔人にしてほしい」
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