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ダンジョンの内部、シドル視点

明けましておめでとうございます!


今年もこの作品をよろしくお願いいたします!


◆ダンジョン第二十六階層 シドルside



儂の名は、シドル⋅ヴァレンスリー。今は滅びた南方諸島にあるレシフェ王国軍陸戦団団長だった男だ。現在は、新たな主カゲマサ殿の配下の魔人として活動している。役職は、迷宮近衛隊の隊長らしい。


さて、今儂が何をしているのかというと、ダンジョン第二十六階層で、このダンジョンに存在する組織について説明を受けていた。担当は、背中に背鰭を生やした巨漢のスピノという者だった。


「はあ、何で俺が説明役なんだよ。もっと適役がいるだろうが!」

「···貴殿には迷惑をかける。」

「チッ、まあ良い。まずはこのダンジョンの階級についてだ。」


スピノ殿は、嫌そうにしながらも説明をしてくれた。


「あ~、うちのダンジョンにはマスターを除いて五つの階級が存在している。


まずは一番下の〈兵士〉。下っ端だな。ランクFからC-までの連中がこの階級だ。


次に〈上級兵士〉。ランクCの連中だ。幹部以外じゃあ、精兵だな。時と場合によっちゃ、〈兵士〉の指揮を取る班長的役割だ。


ここからは幹部陣だ。下級幹部の〈百魔〉。ダンジョンに存在する領域を守護、統括する幹部だ。班長を纏める隊長か?ランクBの連中がいるんだったんだが、今はランクA下位も出始めてんだよなぁ。あ、因みに〈百魔〉ってあるが、数は百体以上いるんだぜ?


次に〈狂星〉。俺がいる階級だ。此方は、全三十階層に一人ずついる幹部で、複数の〈百魔〉を統括し、階層を守護する者達だ。今じゃあ、ランクAの上位陣しか入れないぜ。


最後に〈六将〉の方々だ。このダンジョンにおける複数階層守護者にして最高幹部である存在する六人の化け物級の方々。ランクAの最上位にして、内の三人はその先にもいったんだ。まさにこのダンジョンの最高戦力だぜ。」


スピノ殿は、一気に話終えると持っていた水筒を開け、水を飲み干す。その間儂は、頭の中で情報処理に手間取っていた。


(な、なんだって?人間の間では、ランクCに到達することすら大変だというのに、ダンジョンの方々は軽々と越えていくのか!?)


と、驚き戸惑っていた。まあ、人間の常識からみたらこのダンジョンは異常だらけだが。


(もしかしたら儂、とんでもないところに来たかもしれん。)


「おい、次はダンジョン内の組織について説明するぞ。」

「···あ!は、はい!」

「?···良し、始めるぞ。ダンジョンには、いくつかの組織が存在する。


まずは、迷宮防衛軍。名前の通りで、ダンジョンを守る軍団だ。ダンジョンモンスターの殆どが構成員だな。次に迷宮攻略軍。これは、他のダンジョンに攻め込んだり、外に出て未知のモンスターの魔石を入手する軍団だな。そんで次に、迷宮研究所。いろんな魔道具や兵器、人工生命体について研究する組織だな。最後に迷宮近衛隊。貴様のいる隊だ。マスター直轄の部隊、親衛隊とも言う。主にマスターの身辺警護にコアの守護をするんだ。わかったか?」


(長いわ!年寄りを労れ!)


長い説明に儂は、脳の処理に精一杯だった。どれも、人間の間にあるダンジョン学の通説を覆すものだった。


「こ、コホン。スピノ殿、このダンジョンの組織や階級はわかったが、他のダンジョンもしているのですかな?」

「いや?こんなことをするのは、うちぐらいだろうな。大体のダンジョンは閉じ籠って専守防衛だろうだからな。」


その言葉に儂は、少しホッとしてしまった。


「良し、次は領域の日常を見せてやる。ついてこい。」

「え?どちらに?」

「だから、領域だよ。」














◆ダンジョン第二十六階層 三番領域



儂は、スピノ殿に連れこられたのは、辺り一面が湿地帯の空間だった。


「スピノ殿、ここは?」

「第二十六階層、三番領域だ。さて、そろそろだが。」


スピノ殿がそう呟くと突如何かが、湿地帯に生えている木々を掻き分けながら出てきたのだ。


「スピノ様、お待たせいたしました。」

「おう。おい新入り!こいつは、三番領域の守護者、〈百魔〉のリザードマンエンペラー、リエンだ。さて、リエン。教導を任せるぞ?」

「お任せあれ!」


そう言ってスピノ殿は、その場から転移していった。その場に取り残された儂は、リエン殿に話し掛けられた。


「さて、シドル殿でしたな?さっそくご案内しましょうぞ。」

「あ、ああ、よろしく頼みますぞ。」


リエン殿は、儂を手招きで呼ぶと、儂も後についていった。


リエン殿に着いていって暫くすると、中規模の砦が見えてきた。リエン殿が近づくと、扉がゆっくりと開く。そこには、数十名のリザードマンが武器を持ち整列していたのだ。


「リエン様、新人の教導ご苦労様であります!」

「うむ、君たちも通常任務に戻りたまえ。」

「はっ!」


先頭のリザードマンは、立派な敬礼をすると、他のリザードマンも敬礼して散っていった。


「ここはなんですかな?」

「各領域に一つある砦ですな。迷宮防衛軍の拠点で、様々な兵器や魔道具が貯蔵されております。さて、内部の構造を教えましょう。」


そしてリエン殿から、砦の簡単な説明を受けた。


まずは、即応できる兵士が待機する詰所。次に兵士の胃袋を膨らませる食堂。兵士の訓練に使う訓練所等々様々だ。


「初めてみると、凄まじい軍備ですな。」

「いやいや、こんなものでは足りませぬ。ダンジョンを守るためにも、もっと精進せねば。」


リエン殿には、まだまだ上を目指す意思があるようだ。少し羨ましい。


ヴーッ!!ヴーッ!!ヴーッ!!


「む?」

「警報ですな。何者かが、転移罠にかかって落ちてきたのでしょう。」


突然の警報に儂は身構えるが、リエン殿は落ち着いている。どうやら初めてのことではないらしい。


「さて、いかがですかな?侵入者迎撃システムをご覧になっては。」

「是非とも。」


儂は、リエン殿の言葉に頷き、案内に従った。










案内された場所は、湿地帯の中では高台に位置している場所だ。眼下には、四人の人間が彷徨いている。


「あれが侵入者ですかな?」

「ええ、そうです。さて····、首尾は?」


リエン殿は、懐から魔道具らしき物を取り出し、話し掛ける。


『此方、偵察隊。敵、黄金蜥蜴(ゴールデンリザード)の誘導に惹かれて、ポイントAに移動中。』

「了解した。ポイントA砲撃班、どうだ?」

『此方、ポイントA砲撃班長。敵の姿を視認。直ちに魔導砲の準備に入ります。』

「了解した。ポイントAに全員侵入次第、撃て。」

『ポイントA狙撃班、了解。』


そんなやり取りが行われた後、人間達がキラキラ光る何かを追って、どんどん沼の中に入っていく。


「リエン殿、彼処はまさか。」

「はい、底無し沼です。少し注意すればわかるのですが、どうやら黄金蜥蜴に夢中で気付かなかったらしいですな。」


やがて人間達は、底無し沼に嵌まったことに気付いたが、既に時遅し。


『此方、ポイントA砲撃班。砲撃します。』

「了解、撃て。」

『3·2·1、発射!』


ドォォンッッ!!ドォォンッッ!!


そんな音が数回した後、人間がいた沼が爆発で吹き飛んだ。


「敵の生存者を確認せよ。」

『偵察隊から報告。敵二名が死亡。残り二名は、両腕欠損。』

「直ちに、三番領域所属の歩兵団、蜥蜴騎兵団、翼竜(ワイバーン)騎兵団、ゴーレム機甲兵団、魔法兵団の混成部隊を向かわせろ。」

『了解!』



儂、本当に恐ろしい所に来てしまったかもしれん。


冷や汗を流しながら、シドルは戦慄した。

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