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よろしくない取引

ご都合主義的描写有り。


◆ダンジョン第十七階層 カゲマサside



し、しまっ・・・た。


上半身が地面に落ちていくのを感じながら俺は、自らの失態を恥じた。止めを指すことに注力した結果、防御や回避を疎かにしてしまった。よって〈聖槍タケミカズチ〉から放たれた雷撃を喰らったのだ。


「はぁはぁはぁ、やっと致命傷を与えられましたね。」


右手の〈聖槍タケミカズチ〉を下ろしながら話すマリアンナ。どうやら〈聖槍タケミカズチ〉には、魔力を込めることでビームのように雷を放つことが可能のようだ。糞、まったく慢心しないと言いながらこの様だとはな。


「・・・では、止めを指しましょうか。貴方のような危険因子は排除しなければ。」


不味い、殺られる!


俺は、《超速再生》を急がせるが、まだ骨の再生途中だ。この期に及んで再生速度が遅くなっている。何故だ!?とにかく時間稼ぎをしなければ!


「さあ、死になさい。」

「・・・待て。」

「?・・・命乞いですか?」


マリアンナは、俺が命乞いをすると思ったのか、冷たい目で俺を見下ろしていた。


「命乞い、か。そうとっても良いな。だが聞け。貴様にとっても利のある話だ。」

「話してみなさい。」

「その前に槍を置け。話はそれからだ。」


マリアンナは、俺を敵と見なしているので〈聖槍タケミカズチ〉を置こうとしない。という訳で、手札の一つをきる。


「こう言えば良いか?貴様等が追っている奴等のことだ。」

「っ!?ロディックの居場所を知っているのですか!?」


マリアンナは、俺の胸ぐらを掴み引き寄せる。その目は、血走っておりどれだけ探しているのかが分かる。


「どこにいるのです!教えなさい!」

「その前に槍を置けといったろう。さっさとしろ。」

「・・・分かりました。」


マリアンナは、〈聖槍タケミカズチ〉を地面に置いて話を聞く体勢になる。


「良し、貴様の言うロディックの居場所だが、俺のダンジョンにいる。」

「ッ!貴方が匿っていたのですか!?」

「結論を急くな。俺は、奴等を確実に殺すために引き込んだだけだ。なんなら、貴様にロディックを引き渡しても良い。」

(良し、ようやく骨の再生完了。後は筋肉だな。)


俺は、《超速再生》の過程を確認しながら交渉を行う。マリアンナがロディックを受け取って帰るならそれで良し。ダンジョンを破壊しようものなら迎撃、最悪今のダンジョンを捨てて、エルザムのサブダンジョンに移るしかない。拠点を捨てるのは惜しいが、仕方無いな。


「・・・で、ロディックの居場所は何処ですか?」

「貴様にロディックを引き渡した後、ダンジョンから退却するならば教えよう。」

「むっ。」


マリアンナは、顎に手を添えながら考え込む。俺は、両腕の再生が完了したことを確認しながらマリアンナを見る。


「・・・個人としては、部下を殺したダンジョンを許すことはできません。」

「当然だな。」

「しかし任務に私情を混ぜるなど、あってはならないこと。・・・その取引、受けましょう。」

「・・・良いのかな?」

「・・早くしなさい。私の気が変わらない内に。」

「わかった。」


俺は、《念話》でロディックを相手取っているツリーに連絡を取る。


『ツリー、ロディックはどうした?』

『あ~、マスター?後詰めの部隊によってロディックを捕縛しまして、生命力を徴収。レベル1ランクFまで力を吸い取りました~。』

『ご苦労様。あれ?ブラッドは?』

『まだリューゾウとランクA部隊と戦闘中で~す。』

『まだ粘っているのか。まあ良いか。ロディックを第十七階層に連れてこい。』

『え~?〈百魔〉に任せて良いですか~?』

『それでいいから。』

『わっかりました~。』


そして念話を切った後、一体の樹木型モンスター、エルダートレントと呼ばれるモンスターが現れた。その脇には、ロディックが蔦まみれになって転がされていた。


「マスター、ロディック・アトルフを連行して参りました。」

「ご苦労。」


そう言ってエルダートレントは、ロディックを転がして去っていった。


「ご注文のロディック・アトルフだ。間違いないか?」

「間違いありません。・・ん?やけに弱々しいですね?」

「気にするな。」


俺は、ロディックを転がしながらマリアンナに引き渡す。


「さて、引き渡したぞ。帰ってくれ頼むから!」

「あ、は、はい。」


完全に再生を果たした五体で立ち上がり、マリアンナに詰め寄る。その圧力にマリアンナは若干引きながらもロディックを担ぎ上げる。


「【ゲート】。ほら、行った行った。」

「・・・最後に。」

「なんだ?」

「やはり、侵入者の排除は。」

「殺るしかないだろ。俺が死ぬ。」

「・・・・・そうですか。」


そう言ってマリアンナは、【ゲート】を通ってダンジョンから脱出した。そして俺はというと。


「はぁ~、····超危なかったぁァァァァ!!」


 マリアンナが消えた瞬間、絶叫した。


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