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激突。カゲマサ対マリアンナ④


◆ダンジョン第十七階層 カゲマサside



一瞬仕留めた!と思ってしまったが、まさかなぁ。


俺の目の前では、心臓までもう少しというところで掴まれている短剣。そして、片手で短剣を掴んでいるマリアンナ。


「止めたか。」

「いきなり、心臓は取らせませんよ?」


マリアンナは笑ったつもりらしいが、痛みによって顔を歪めていた。まあオリハルコン製だからな、この短剣。切れ味はダントツである。


「まあ傷を付けれたから大丈夫か。【ボックス】。」


俺は、ミレンダ開発の【ボックス】付与付きの袋から左手で一本の剣を取り出す。そしてマリアンナの右腕を切り落とさんとするが。


「甘いです!」

「おわっ。」


マリアンナは、〈聖槍タケミカズチ〉を右手で操り、剣を弾いたのだ。そして剣を破壊された。


「ふむ、一旦後退だな。」


俺は、短剣を引き抜きながら後ろに跳躍し距離を取る。


(それに、何時効いてくるか分からないが、薬剤も投入した。というか、効かなかったら怒るぞ。)


俺が思案している時、マリアンナはシスター服を破き、左手に巻き付けていた。


「その短剣、オリハルコンで出来ていますね。他の冒険者から奪ったのですか?」

「いや?仲間の形見だよ。勇者に殺されたのでな。」

「勇者が?」


あ、どうやら初期に来ていた勇者については知らなかったようだ。確か名前は・・・・・・あ~、忘れた。まあ、いいか。でもロウガとドーロ、ヨロイを殺したことは今でも許さん。


「・・・その勇者はどうしたのです?」

「殺したよ。まだ弱かった部下に殺させて、強化の為の贄にしてやった。」

「っ!何故!」

「何故だと?このダンジョンは、俺の住居だぞ?侵入してきたのは勇者だ。返り討ちにして何が悪い。」

「ならば、普通に外に出したら良いではないですか!」

「それもそうだな。だが奴は、俺の仲間を殺したのだ!仇を取らずして何が!」


俺は、スキル《俊足》《身体能力超強化》で加速してマリアンナに接近。マリアンナも、〈聖槍タケミカズチ〉を構える。


「何が、仲間かぁ!」

「くっ!」


俺のオリハルコン製短剣とマリアンナの〈聖槍タケミカズチ〉がぶつかり合う。そして辺りに衝撃波が撒き散らされる中、始まるのは音速レベルの高速戦闘。もう常人から見たら、何が動いているか分からないだろう。


しかし魔法は封殺できても、〈聖槍タケミカズチ〉の効果は封殺出来なかったようで、俺の肉体にどんどん傷が付いていく。


(糞、やはり魔法を封じてこれかよ!まったく嫌になってくるぜ、この化け物が!)


俺がそう内心愚痴を吐いている時、マリアンナは別のことを気にしていた。


(・・・やけに身体の動きが鈍いですね?魔法が使えないにしても、鈍すぎです。敵のスキルでしょうか?)


やけに遅すぎる肉体に疑問を覚えていた。本来ならもっと早く動けた筈なのだと。


双方が思案している間も、闘いは続く。


ある時は、俺の腕を抉られたり。


またある時は、マリアンナの左腕をへし折ったり。


そんなことが一時間やり合ったのだ。俺は、《超速再生》で難を逃れたが、マリアンナには無かったらしくそのままだ。俺は、息を整えて問いかける。


「〈神罰者〉、そろそろ諦めたらどうだ?大人しく殺されたら、丁重に埋葬しよう。」

「ふざけないでください。私は〈神罰者〉ですので、死んだら人類の守りに支障がでます。」

「ふむ、職務に忠実か。仕方無いな。ならば、お前を殺した後は人体実験に使用して、我がダンジョンの強化に利用させてもらおう。」

(勝てるかどうかは分からないが。)


魔法を封じてやっと相対出来るのだから、強いことこの上ない。


(そういえば、奴のステータスは何だ?ランクSというのは知っているが。《鑑定》)


名前 マリアンナ・ミルム

種族 ハイエルフ

職業 〈神罰者〉

レベル 阻害されました

ランク S

スキル 阻害されました


アカン、肝心な情報がわからん。というか只のエルフじゃないんかお前。


俺は、少し落胆した後再び闘いに集中する


すると、マリアンナの息が上がっていることに気付く。


(はあ、やっと効いてきたか。)


俺が奴に仕込んだのは、ミレンダ特性の遅延性の毒である。効果は、身体能力の鈍化と疲れの促進。それをオリハルコン製短剣に塗ったのだ。勘づかれないように遅延性で無色無臭にしたが、気付かなかったようだな。ミレンダ曰く、決まればどんな超人だろうが効くらしいが、何時解毒されるかわからん、油断は出来んぞ。


(何ですか?身体が重い、疲れも酷い。今日は別に身体に以上は・・・・いや、毒ですか。)


マリアンナの方は、身体能力の鈍化と急速な疲れを毒と断定した。


(タイミングは、オリハルコンの短剣を止めた時ですか。)


しかしここで、カゲマサにとって非常に良いことが起こった。


(・・・困りました。私には、解毒の術がありません。〈神罰者〉としての能力を優先しすぎて考慮しなかったことが裏目にでましたね。こんなことなら解毒剤を持ってくるべきでした。)


その様子に俺も気付いた。


(まさか、マジで解毒法を持ってない?)


俺は、少しテンションが上がる。


(なんという都合の良い展開!これが俗にいう、ご都合主義という奴か?いや、まだわからん。油断を狙って演技をしている可能性も捨てきれん。ならば!)


俺は、【ボックス】付与付きの袋から数々の武器を取り出す。


「どうやらスタミナが減ってきたな?では、これを避けられるか?」


大量の武器を俺は、手に持ちマリアンナに投げつける。一つのナイフがマリアンナの肩に命中した。


「ぐっ!」

「いたぶる趣味は無いが、安全に尚且つ確実に殺す。悪く思え。それしか出来ないからな。」


俺は、そう言ってどんどん武器を投げつける。マリアンナは、体力がもう限界まで落ち込んでいるらしく、動けないらしい。そして。


「くっ、まだ死なないか。ならば、脳を狙って!」


俺が焦った瞬間。
















「隙見せましたね?魔人!」


極太の雷が俺の身体を貫いた。

補足


【封魔法陣】は、魔法の発動は防ぎますが、〈聖槍タケミカズチ〉やミレンダ開発の【ボックス】付与付きの袋といった魔道具や魔力を流す自体は使えます。


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