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ブラッド、気付く


◆ダンジョン地表 村



カゲマサがコアルームで発狂し、ロディックがダンジョンを舐めて、ブラッドが警戒を引き上げた翌日、神罰者マリアンナ一行はダンジョン手前にある村に到着していた。


「ここが例のダンジョン手前にある村ですか」

「はい、そのようです。では聞き込みを」

「お待ちなさい。下手に聞き込みをして勘づかれたら面倒です。一旦行商人として宿を取りましょう」

「はっ、了解です」


一行は、宿屋に入り手続きを行う。そして手続きが終わり、部屋に行こうとすると一人の男性とぶつかった。


「あら、ごめんなさい」

「・・・いいえ、大丈夫です」


血のような髪色の男性は、軽く会釈したあと宿を出ていった。


「・・・・」

「?マリアンナ様、彼が何か?」

「・・・なんでしょうか。触れた時、嫌な気配を感じたような?」


マリアンナは、腕を組み考え込むが一先ずはロディック捕縛が優先と切り替えた。



「さ、行きましょう」

「はっ!」


マリアンナ一行は、宿屋で部屋を取った後、村人にそれとなく聞き込みを行ったり、現地にいる諜報員ハンベル・マレーゾと接触したりと、活動を始めた。
















◆ダンジョン入り口



宿を出ていった血のような髪色の男性、《混沌肉体変形(ランダムチェンジ)》で肉体から骨格までも変えたブラッドは、ダンジョン入り口にいる一人の巨漢と合流した。


「おう!首尾はどうだブラッ・・・ラッド!」

「・・・ああ、死の力を集める器具と武器だな。ちゃんと確保してあるさ。ディーク」


ラッド、はブラッドの。ディークはロディックの偽名である。


死の力を集めるにあたって、支部にあった装置を回収出来なかったため、小型装置を使い間近で死の力を回収しなければならず、名前を偽り冒険者ギルドにて冒険者登録をしたのだ。


「さあ、いくぞラッド!」

「・・・ああ」


ロディックは楽しみなのかご機嫌だ。対するブラッドは、内心警戒感がどんどん上がっていた。


(・・・冗談じゃない。このダンジョンが異質な気配がするのはわかっていたが、まさかここまでと予想できるか?)


ブラッドの目には、ダンジョンの中層あたりから自分達と同等以上の気配が上層に上がってきているのだ。


(・・・たった一年程度のダンジョンがここまで成長するか?いや、もしやダンジョンマスターの仕業か?マスターが優秀ならば、ダンジョンの急成長も頷けるが)


ブラッドは、最低でも自分はランクA並の実力があるのを自負している。そしてここまでくるのに多大な努力を惜しまなかった。


(・・・常識が分からなくなってくるな)


ブラッドの脳内には、人間が制定したランク付けが思い起こされる。


人間が制定したランク付け。それは、当人の能力が何処までの位置なのかを明らかにする目安である。


ランクF・・そこらにいる村人レベル。モンスターなら、そこまで脅威じゃない。


ランクE・・町の一般兵士レベル。モンスターで言うなら、小さい村なら壊せる。


ランクD・・小国の精鋭レベル。モンスターならば、村を複数壊せる。


ランクC・・小国ならトップクラス、大国なら部隊長レベル。そして一般人は鍛えてもここで終わる。モンスターならば、小さな町を壊滅出きる。


ランクB・・大国の精鋭レベル。一般人より、才能のある人種がここに至れる。モンスターならば、町を複数滅ぼせる。


ランクA・・英雄レベル。異世界から召喚されたばかりの勇者もここに含まれる。一般人より隔絶した才能を持つ人種がなれる。モンスターならば、小国は滅亡し大国はかなりの損害を負う。


ランクS・・ランクAに至った者が何十年の鍛練を続けた結果至れる、伝説の勇者レベル。存在そのものが希少で、確認されているだけでもセブンス帝国の〈帝将〉、ロシフェル聖王国の〈神罰者〉しかいない。東方大陸の魔王朝にもいるらしいが、詳しくはわからない。モンスターならば国々は滅び、下手すれば大国すらも滅ぼせる。


(あくまでも人間が示した目安だが、こんな感じだった筈だ)


ここまで思い起こしたブラッドは、改めてダンジョンの中層方向を見る。そこには、ランクAばかりの怪物共がこちらに向かって這い上がってきているのだ。


(・・・恐らく〈神罰者〉を警戒してのことだろう。我々のことはバレていない筈・・・っ!?待てよ!?)


本当にそうか?ブラッドは訝しむ。ダンジョン側には、こちらの素性など知らぬ筈だ。しかしロディックは知らないがモンスターは、こちらにむかって上がってきている。


(・・・彼奴等もそうだった)



ブラッドが思い出したのは、自分達を強襲してきた謎の集団。よくよく思い出してみると、あの集団の誰もがランクA相当の輩だった。あれは、ダンジョンの手駒なのでは?と疑った。


(・・・まさか)


ブラッドは、《混沌肉体変形》を行う際、辺りから妙に多くの小動物の気配を関知していた。それすらも、ダンジョンの手先だとしたら。


(・・・だとしたら、我々の脅威を予め排除しようとするのも理解できる。・・・第三勢力の正体、わかったぞ)


ブラッドは結論を出した。第三勢力の正体は、ダンジョンだと。これにより、ダンジョンは死の力が取れる場所から一気に命に関わる場所となった。


(・・・しかし我々に成果が無いのは事実。支部を任せてくださった“騎士(ナイト)”様に面目がたたん。進むしかない)


こうしてブラッドは、ロディックを追いかけてダンジョンに侵入した。

















◆ダンジョンコアルーム カゲマサside



コアルームにてモニターにかじりついていた俺は、例の二人が侵入したことに気付く。



「は、入ってきたな、“冥府教”の奴等め。シロ、迎撃準備は?」

「はいマスター。準備万端です。今の我々が揃えれる全てを揃えました」

「わかった。では、殺るぞ!奴等を塵も残すな!!」

「はっ!」


この一声と共に、本気のダンジョンがブラッドとロディックに襲いかかろうとしていた。

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