簡単な尋問
◆ダンジョン 迷宮研究所 カゲマサside
シロ達がダンジョンに帰還して最初に受けた報告は、神罰者マリアンナ・ミルムと会敵し戦闘になったことだった。
「俺、無理するなって言ったよな?シロ。神罰者はランクSの化け物なんだぞ?」
「・・・申し訳ありません。何としてでも情報が欲しかったのです」
「・・まあ、結果的に“冥府教”の信者と一等級、二等級聖騎士の拉致が成功し、命があったから良しとするか。ただし、今後は慎重に動くように。私情抜き考えて、お前達は替えの利かない存在なのだから」
「・・・はっ!」
俺の言葉にシロは、跪きながら答える。どうやら反省しているようなので、俺は別の話題を出した。
「で、あれらが捕らえた奴等か」
「はい。“冥府教”信者七名に、《鑑定》の結果一等級聖騎士イリアスに二等級聖騎士マトロと判明しました」
「そうか。持ち物は全て奪ったな?」
「勿論です。武器やポーション、追跡装置等諸々全て」
「追跡装置か。やはり着いているか。壊したよな?」
「この階層は、そういった探知魔法を阻害する結界を施しております。ご安心を」
良かった。聖騎士二人の場所を探知されて、ダンジョンが関わっているとバレたら不味いしな。
「じゃあ、尋問を始めようか。ミレンダ、頼む」
「あいよ」
迷宮研究所主任のミレンダは、複数の注射器をトレーにのせてやってきた。
「コイツら死んだら、人工魔人の材料にして良いだろうね?」
「完全に始末する聖騎士以外ならば良いぞ」
「はいはい、わかったよ」
ミレンダは、若干ため息を吐きながらも注射器片手に“冥府教”信者に近付く。
「ひっ!く、来るな!」
「わ、我々に手を出せば冥府の裁きが!」
信者七名は、口々にそんなことを言っているがミレンダはお構い無く注射器を射していく。
「さて、あんた等の親玉は誰だい?」
「だ、誰がそんな・・・・・・・。〈四兵士〉の一人、ブラッド様です」
「お、おい!」
仲間の信者が情報を吐いた信者を制止しようとするが、情報はペラペラと開示されていく。分かったのは、以下の通り。
1.組織名“冥府教”。脱走者ロディックが逃げ込んだのは、セブンス帝国東部支部らしい。
2.目的は事前情報通りで、この世界を死の力で満たし新たな世界を築くというもの。その死の力とやらは、生物に強い負の感情を抱かせて殺した時程死の力は増すらしい。
3.〈四兵士〉とは、“冥府教”内部でも特に戦闘力の高い信者に送られる地位で、戦闘部隊幹部であるという。後噂だが、〈四兵士〉以上の幹部がおり、その内の一人が戦死したとか。
4.魔道具〈煙の通り道〉の行き先は知らない。〈四兵士〉しか知らない。
5.ロディックは、元々“冥府教”の信者で内偵のため潜入していたが、聖神の神託によってバレた。ブラッドからランクA到達というお題を出されていた。
といった情報が得られた。
「いや~、凄いな。確か本当のことしか話せないようになる薬だろう?自白剤すげぇ」
「まあね」
俺が誉めるが、ミレンダは興味なさそうに尋問を進める。しかし、これ以上の情報はなかった。よって信者七人は、仲良く殺され人工魔人の材料となった。勿論、生命液を抜いてレベルを1にしてからである。
「さて、次に聖騎士連中だな」
俺は、縛られているイリアスとマトロの前に立つ。
「なあ、どうする?情報吐くか、死ぬか」
「・・・・貴様に話すことは無い」
「・・・・」
イリアスは拒絶し、マトロは沈黙を貫く。
「ふむ、ミレンダ」
「はいよ」
ミレンダは、二人に自白剤を投与する。しかし。
「・・・・貴様、に、話すこと、は!」
凄いな。イリアス、自白剤の効能に抗ってやがる。良く見ると、マトロもだ。
「う~ん、効かないか」
「はあ、やはり強固な精神の持ち主には効かないねぇ。仕方無い、始末するよ」
「そうだな」
俺は、魔力を集中させて【区画水没】という魔法を発動させる。すると、イリアスとマトロを閉じ込めている牢屋内に水が浸水。やがて、牢屋内は水没した。
「駄目押し。魔力凝縮【サンダー】」
魔力凝縮によって威力が何十倍になった【サンダー】を放つ。イリアスとマトロは、水の中で悶えるが、じきに動かなくなった。
「良し、ついでに溶解液も入れよう」
俺は、徹底的にイリアスとマトロの痕跡を消した。
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