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唐突なお茶会


◆セブンス帝国皇宮 離宮 カゲマサside



今俺は、不機嫌六割恐怖四割の最中にいる。何故ならば、会議が終わりサタリム王国国王バルマフと近衛兵がトボトボと退出した後、ナナさんによって離宮に連れ込まれたからだ。俺は一瞬、



(あ、処刑される)



と考えてしまった。スイーベルとかいう奴に油断したのだ、絶対殺されると俺は考え可能性は薄いが空間的魔法による転移を使えるよう準備していて、離宮の一室にはいったのだが。



指定された部屋へ入ると、ナナさんとロロさんを始め、フリン公国女王フィナロムスに新エルザム神聖国女教皇セレス、人質となりバルマフに置いてかれた側にいた人、サタリム王国の第一王女、アシュミー・キン・サタリムがいた。



俺は、訳が分からずその場に立ち尽くす。



「何をやってるのですかカゲマサ。さっさと来なさい」

「え!?あ、はい」



俺は、恐る恐る部屋に入室し、ナナさんの後ろに回る。



「・・・皇祖帝陛下、何故私達を呼び出したのですか?」

「そ、それは私も気になっていました。な、なんで私を?」



フィナロムスは警戒感を顕にして。セレスは怯えながら何故自分が呼び出されたのか、質問する。



「・・私も気になりますわ」



人質であるアシュミー王女も質問した。



「自分も聞かせてほしいのですが」



俺も便乗して質問した。



「うふふ、何故って皆様と仲良くしたいだけですよ。国を率いる立場として、ね?」



表面上ニコニコしてて、愛想が良い幼女に見えるが、俺にはなんとなく分かった。



(この人、仲良くするとかいって骨の髄まで利用する気だな。フィナロムスとセレスは新顔だから性格を把握するためも含まれるだろう。アシュミー王女は、いずれ国に返した時仲良くしておけば、裏で操りやすくなるといった感じか?)



足りない脳ミソで考えた結果がこれだ。俺の脳ミソでは、ここまでが限界なので難しい話はスルーするとしよう。



「さあ、役者は揃ったし始めましょうか。お茶会を。ロロ、皆様に紅茶を」

「はっ。少々お待ちくださいませ」



ロロさんは、紅茶を淹れに向かって立っているのは俺だけとなった。



「・・・自分も何かした方がよろしいですか?」

「あらそう?なら、紅茶に合うお菓子を出しなさい」

「・・・はっ」



俺は、【ボックス】からお菓子を探す。ポテチ、駄目だ。ポッ○ー、何か合わない。ガム、入れたっけなコレ?飴玉、惜しいか?



暫くの自問自答で、結局はチョコクッキーに決まった。



「はむ、・・・中々美味しいわ」

「あ、これは確かに」

「お、美味しいですね」

「こ、こんな味初めてですわ」



という具合で、皆チョコクッキーを食べて、ロロさんが紅茶を持ってきた時には、既に完食していた。



その後は、ナナさんとフィナロムス、セレス、アシュミー等四人による話し合いが始まった。



ナナさんは、帝国の名所や帝都セプトにある美味しい高級店を語っていく。



フィナロムスは、フリン公国の現状を話した。魔導師ジメイとハマル・フリンに国を任せられず起こした内乱を終結させ、国内を掌握した後ハマル派閥の貴族の領地や経済を削ぎ、貧しい国民や自派閥の貴族や武官に分配したこと。今では、それなりに立ち直ってきており、農業や工業に力をいれているらしい。



セレスは、旧エルザム神聖国の行いを謝罪した後、新エルザム神聖国の現状を話した。エルザム以外の人間は皆ゴミという考えを持った貴族や聖職者が皆消えたので、改革はスムーズに行えていること。目下の悩みは、ダンジョンが五つも増えたので、冒険者の動きを把握するのが大変だと。



「うふふ、結果的には上手くいっているのですね?」

「は、はい!財政も上がって何とか!はい!」



セレスは、緊張が勝っているのか大声になっている。



「・・・」



一方でずっと黙っているアシュミー王女。何か話を振った方が良いのか?いや、コイツの国は食糧難で軍事国家、奴隷商売が盛んと暗い話題しかないな。



「・・・あの、アシュミー王女?」

「ッ!?・・・な、何でしょうか?」



怯えられた。まあ、サタリム王国の軍を壊滅させたの俺だし、しょうがないね。



「食べます?」



俺は、ポテチを取り出しアシュミー王女に渡す。



「・・・これは?」

「じゃがいもを薄く切って油で揚げた後塩を振ったものです」

「い、いただきますわ」



アシュミー王女は、怯えながらもポテチを受け取りパリッと一口。



「・・・美味しいですわ、感謝します」

「それは良かった」



俺は、茶色の仮面の下でニコリと笑う。



「・・・もう一枚いただけますか?」

「どうぞ」



俺は、もう一枚のポテチを取り出した。










その後お茶会は、それぞれ警戒心はあれど、なんとか和やかに終わった。アシュミー王女は、今後皇宮の一室に軟禁されるらしいが、別れる際にポテチの袋詰めをねだられた。俺は、なるべく小さい袋にポテチをいれて渡してやると、若干スキップしながら軟禁部屋に帰っていった。



そして俺はダンジョンに帰還した。


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