敵指揮官、出る
累計PV100万回突破しました!誠にありがとうございます!この稚拙or駄文な小説ですが、今後も覗いていただいてくれたら幸いです!
◆サタリム国境付近 砦 カゲマサside
さて、【ディメンションムーブ】で転移して来たものの、どうしたものかな?これ。
俺の眼下には、サタリム軍によって壊滅されたナデラン軍がいた。現在は無様に敗走している。耳を澄ませると、聞こえてきたのは敵側の喝采だった。
「勝ったぞー!」
「さあ、今度は王都だ!」
「サタリム王国に栄光あれ!」
サタリム王国兵士達は、武器を振り上げて盛り上がっている。少々油断しすぎでは?と、思わなくもない。
「ふむ、ざっと見た感じ二万ぐらいいるな。残り四万は何処行った?」
俺は、探知系の魔法【サーチ】を用いて探索する。すると、今いる場所から遥か後方、即ちサタリム王国領からゆっくりと進んでくる四万程の集団を探知した。
「成る程、コイツらは先遣隊か。いや、先に露払いを済ませる部隊かな?」
良し、考察止め!取り敢えずコイツらを掃討しよう。
「悪いが、俺の魔法の実験台となれ。【死風】」
【死風】。この魔法は、死を与える風を出す魔法。簡単に言ってしまえば、風に触れたら死ぬ。問答無用で。解説によれば、神話に出てくる魔法らしい。よって、ちょっと出しただけでも魔力が八割減った。
それはさておき、死を与える風がサタリム軍に襲い掛かった。
それは唐突に起こった。サタリム軍が勝利に沸き上がっている時、それはやって来た。
「はーっハッハッハ!!サタリム王国は最強だ!!」
「・・・・・」
「んあ?どうしたんだお前達」
初めて異変に気付いたのは、一人の部隊長。ナデラン軍との戦いに勝利し、共に勝利の余韻に浸っていた部下達が唐突に黙りコクったのだ。
「・・・・」
「?おい!どうし・・た」
部隊長は、近くの部下の体を揺すって、恐怖した。全員死んでいたのだ。目は開けたまま、笑顔で。先程まで勝利を喜んでいたまま死んだのだ。
「な、なな、何が」
部隊長は、尻餅を付きその場から離れようとする。
「あ、まだ居た」
そこに誰かが発した声が聞こえた。そして部隊長の頬を風が通りすぎ、部隊長は意識を失った。
部隊長が死んだのと同時刻、サタリム軍先遣隊指揮官であるギゼードの元に、次々と報告がやってくる。
「し、失礼いたします!我が軍の兵士達が次々に死んでいっております!原因不明!」
「報告します!左翼部隊に死者多数!左翼部隊は撤退を開始しました!」
「中央の部隊にも死者が多数出ています!このままでは全滅します!」
原因不明な出来事にギゼードは、落ち着いて対応する。
「落ち着け。左翼と中央の部隊は一旦引け。右翼はどうだ?」
「はっ!右翼部隊は、中央左翼に比べ死者はおりません!」
「そうか。ならば敵は中央左翼にいるな」
「は、て、敵ですと?」
ギゼードは、立ち上がり剣を携えながら話す。そこには、確信が含まれていた。
「当たり前だ。これは自然災害ではない。意図した我々への攻撃だ。ナデランめ、英雄級の魔導師を引っ張り出したようだな」
「な!あれは魔法だと言うのですか!?」
「そうだ。何をしている、軍が全滅する前に引かせろ。右翼は、ビッグクレイゴーレムを作りだし、中央左翼地帯を捜索せよ」
「「「はっ!」」」
部下達が散っていくなか、ギゼードは馬に股がり走らせる。
(英雄級の魔導師、か。密偵の報告にはなかったが。ナデランの秘密兵器か?)
ギゼードは、考察を重ねていく。
(だが、現在のナデランの状況では英雄級の魔導師なんぞ育てられないはず・・・。む、そうか。西方諸国の援軍か。我々に攻められた時の為に予め条約を結んでいたか。対策はしていたようだな)
実際には違う。ナデラン王国は平和ボケして対策などしておらず、サタリム王国が動き出して初めて慌て出して、西方諸国会議にて援軍を求めたのだ。
(しかし、西方諸国の中で英雄級を援軍に送れるとなると・・・・・セブンス帝国か。参ったな、西方諸国最大の国じゃないか)
そんな考察をしていた時、前方で巨大な土巨人が現れる。ビッグクレイゴーレムだ。しかも計十体。十体のビッグクレイゴーレムは、ある一点に向かって歩き出す。そこでギゼードは気付いた。
(奴か、下手人は)
敵は空に居た。茶色の外套に茶色の仮面と、いかにも怪しい不定な人物。そんな人物に十体のビッグクレイゴーレムは、向かっていく。しかし。
(・・・やはりか)
向かったビッグクレイゴーレム達は、木っ端微塵に破壊された。茶色仮面の手から照射された謎の光が、ビッグクレイゴーレムを木っ端微塵にしたのだ。
ギゼードは、馬を走らせながら立ち上がり剣を抜く。
「スキル《空歩》」
すると、ギゼードは空中をまるで地面を歩くように走り出したのだ。そのまま加速して、茶色仮面の前に躍り出る。
「貴様か、我が軍をやったのは」
◆サタリム国境付近 空 カゲマサside
ビックリした。《存在関知》で誰かくるのは知っていたが、いきなり斬りかかってくるなんて。いや、当たり前か。奴からしたら、俺は軍を壊滅させた張本人だもの。
「そうだと言ったら?」
「斬る」
空に上がってきた指揮官らしき男は、剣を構えて斬りかかってくる。俺は、思わず空にも関わらずバックステップした。
「どうした魔導師。近接戦はニガテか?」
「いやぁ、武器を取り出したくて」
俺は、【ボックス】から二振の剣を取り出す。いたって普通の剣だが、何とかなるだろう。
「さあ、第二回戦かな?」
「・・・面白い。俺に剣で挑むか、魔導師!」
こうして俺と空を走ってきた指揮官らしき男との戦闘が再開された。
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