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オロッカダンジョン、貫通


◆カゲマサダンジョン カゲマサside



 あれからというもの、あまりに一方的な展開になっていた。

 ゴブイチは、装備していた斧でバッサバッサと吸血鬼を真っ二つにしていった。実は迷宮攻略軍の装備している武器には、光魔法の魔力が付与されており、吸血鬼の弱点を突いていた。結果ゴブイチの斧に触るだけで吸血鬼は身体がボロボロとなり、首を切られたら塵になり消滅していった。

 またクロは、エルダードラゴンとしての高い身体能力を駆使して吸血鬼を千切っては投げ千切っては投げを繰り返している。ワイズは、スライムとしての能力で吸血鬼や眷属を片っ端から吸収していた。その過程で何やら偉そうな吸血鬼も吸収していたが、本人は気にしていない。


「・・・戦術とか言ってたな。はぁ、完全な力押しじゃないか」

「・・・戦術を使うまでもなかった、ということにしましょう」


 あまりのゴリ押し解決に俺はため息を吐き、シロはゴブイチのフォローを行う。俺は、そういうことにしておき、自分のダンジョン状況を確認する。


「ふむ、第一階層は死守したか」

「はい、敵方もこちらのダンジョン戦力に感付いたらしく、攻略軍方面に多数のモンスターが現れています」

「こちらに割く余裕が無くなった訳か。・・・いや、まだ何かあるかもしれん。警戒を怠るな」

「はっ。・・・あ、第二階層の敵戦力全滅を確認しました。これより第三階層の攻略に、・・・え?」


 俺は、突如言葉を詰まらせたシロに不安を抱く。まさか、想定外の戦力が出てきたのだろうか。


「お、おいどうした?まさか、敵方にランクSが出てきたとかじゃあ」

「い、いえ、その・・・・。クロが、・・・最短ルートと言い、《古龍の咆哮》という技でダンジョンに風穴を」

「・・はい?」

「その風穴は、オロッカダンジョンのコアルームに直結してしまいました」


 俺は、暫く考え込んだ。数秒経過して、俺は決断する。その顔は、とても悪い笑顔だった。


「・・・良し殺れ」

「はっ!」















◆オロッカダンジョン オロッカside



 時は少し遡る。オロッカダンジョンのコアルームにて、オロッカは怒り狂っていた。


「何故だ。何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だァァァァァ!?何故我輩がこんなにも追い詰められているのだァァァァァ!?敵は、『不作の世代』と呼ばれる出来損ない!鑑定でもマスターは我輩と同ランクでレベルは下の筈!そして我輩は、父より期待された才覚を持つ存在なのだぞ!?何故、何故あのような下賎な輩にィィィィ!!」


 オロッカは、本当に怒り狂っていた。理由に以下の状況が該当している。

 選抜した百体の精鋭攻略戦力が幹部もろとも呆気なく潰されたこと。

 守りに配置していた吸血鬼やその眷属の混合部隊が敵の奇襲及び数の差で破れたこと。

 こちらの手持ち戦力が底をつきかけていること。

 以上の状況がオロッカを怒りに陥らせていた。


「ふー、ふー、ふー、落ち着け。落ち着くのだ我輩。此方には()()がある」


 オロッカは、何とか落ち着きを取り戻しながら一人呟く。その時、天井が轟音をたてながら粉々になった。


「は?」


 あまりの事態にオロッカは付いていけなかった。そして粉々になった天井からは、三体の敵モンスターが侵入してくる。


「ふん、脆いダンジョンだ」

「いやいや、普通ダンジョン最下層まで穴をぶち抜くなんて真似、出来ないっすから」

「スッゴーい!バーンってなった!バーンって!」


 最初に降り立ったのは、黒いドラゴンに斧を持ったゴブリン、灰色の巨大スライム。種族にバラつきがあるチグハグなメンバーだった。そして、次々と敵モンスターが降りてくる。オロッカは、我に返り慌てて穴を修復した。


「む、閉じたか。攻略軍の現状は?」

「え~っと、第三から第六までに分断されたっすけど、問題無いらしいっす。アルファさんを始めとする部隊が敵掃討に乗り出してるっす」


 オロッカは、その言葉を聞いて確信した。コイツらは、自分の戦力より遥か上をいく敵なのだと。


「チッ!まさか開始早々()()を使うことになるとは!」


 オロッカは、己の玉座後方にある棺を開け放つ。棺には、一つの身体が眠っていた。それは、全身毛むくじゃらで身長三メートルを超す巨体に、手に持つは巨大な肉切り包丁。顔は血まみれの布で覆われている。背中には、脊髄が盛り上がっていた。


「・・・ほう」

「うわっ、気持ち悪いっす!」

「何あれ?」


 黒いドラゴンは興味深そうに、ゴブリンは気持ち悪そうに見て、灰色スライムは単純な疑問が浮かんだ。


「さあ、いけシミター!わざわざ木偶坊のトロールだったお前を吸血鬼にしてやったんだ!今ぐらい我輩の役にたって見せろ!」

「GOOOOOOAAAAAAAAAA!!!!」


 シミターと呼ばれた毛むくじゃらは、雄叫びを上げ黒いドラゴン達に襲い掛かった。


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