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オロッカダンジョン、第二階層

誤字報告ありがとうございます!


累計PV900000突破!マジでありがとうございます!



◆オロッカのダンジョン第二階層 三人称



 いよいよ第二階層に侵入したクロ達、迷宮攻略軍一行。第二階層には、攻略情報収集連隊から渡された情報通り広野が広がっており、オロッカダンジョンの軍団が待ち構えていた。その数、千体。


「・・・少なくないか?」

「少ないっすねぇ」

「ね~ね~、早く倒しちゃおうよぉ~」

「まあまあワイズちゃん、落ち着くっす。・・・クロさん、罠だと思うっすか?」

「いや、奴等の周囲に罠及び伏兵はいない。・・・いや待て。空中を見ろ」

「?・・・ああ、飛んでるっすねぇ。カラス、鷲、コウモリ・・・飛行系のモンスターを一括に纏めた感じっす」

「《鑑定》してみろ。どいつもこいつも攻撃魔法と精神干渉魔法を備えている」

「下の軍団と戦っている隙に空からガツンっ!って感じっすね。・・・・まあ、効かないっすけど」


 ゴブイチは、敵の飛行部隊を見ながら呟く。クロも同意するように頷いた。

 今回の攻略において、吸血鬼が出てくることを聞いたシロは、ダンジョンバトル参加予定の攻略軍全構成員に《魔力障壁》と《精神耐性》のスキルを付与した。スキル購入の際のDPは、カゲマサの許可の元使用されている。


「ではゴブイチ、軍の指揮を任せる。俺は血気盛んな連中を制御しなくてはならん」

「了解っす」


 そう言ってクロは、一旦離れる。ゴブイチは、立ち去るクロを見ながら指示を飛ばした。


「そんじゃ、早速行くっすよ!包囲作戦開始っす!」















◆オロッカダンジョン第二階層 幹部side



 広野のど真ん中。そこには、千体の吸血鬼の眷属が集結していた。人間、犬、牛、ゴブリン等の雑多な種族達が何も話さず立ち続けているのは、ある意味不気味である。その中で唯一豪華な服を着た吸血鬼がいた。


「ふぅむ、餌はまだ来ぬのか?」

「はっ、未だに敵影はありません!」

「恐らく奴等、怖じ気づいているのでは?何せ千体の軍団なんですから!」


 豪華な服を着た吸血鬼の周りには、取り巻きと思わしき吸血鬼がいる。彼等は、本気で敵が怖じ気づいていると考えているようだ。


「まあ、そう言ってやるな。相手は『不作の世代』。怖じ気づくのも無理はない」

「おお、グーズ様。全くその通りですな!」


 ハハハハハっ!と笑う吸血鬼達。気を良くしたのかグーズと呼ばれた吸血鬼は、側にある物に手を伸ばす。それは、生身の人間の女性だった。


「ふむ、戦いの最中に飲む予定だったが、気が変わった。今飲むとしよう」

「ヒッ!」


 女性は、怯えて後退りするが取り巻き達によって拘束された。


「チッ、人間如きが」

「手間をかけさせるな、下等生物め」


 取り巻きは、女性を縛りグーズに献上する。


「・・や、止めて・・・・ください」

「ならぬ。貴様は私の餌だ。餌は餌らしく大人しくしたまえ」


 そしてグーズが女性の首元に歯を突き立てようとしたその時。


 何かがグーズの側に落ちた。


「む?」


 何かが落ちた音にグーズは、歯を突き立てるのを止めて辺りを見回す。だが何もない。


「ドシャ、ドシャ、ドシャ、ドシャドシャ、ドシャドシャドシャドシャ」


 音がだんだん増えてきていることに気付いたグーズは、念入りに辺りを見渡す。そして音の正体を発見した。


「こ、これは」

「ぐ、グーズ様。こ、これは一体?」


 それは、空中に待機させてあった筈の鳥系統の眷属を中心に編成した強襲部隊だった。どういう訳か、身体中がドロドロに溶けており、まるで何かに溶かされたような姿だった。


「・・・・はっ!しまった!敵はもうすぐそこだぞ!戦闘態勢を」

「それは、無理な話だ」

「っ!?」


 グーズは、声のした方向を見る。そこには、数十体の空飛ぶ異形がいた。あるものは、人間の背中から生えた羽で。またあるものは、ドラゴンのような姿で。しかし一番恐ろしいのは、話しかけてきた異形。人間を大きく越えた巨躯に、ドラゴンの羽、そして巨躯から感じられる圧倒的戦闘力。


「お前らは既に包囲されている。貴様等より遥かに練度の高い軍隊がな」

「な、なんだと!?」

「・・・第一階層が堕ちたことをしらんのか。まあ、良い。ゴブイチさん、攻撃開始です」


 その言葉を皮切りに、グーズ軍団の周りをどこから来たのか数々のモンスターが包囲した。


「い、いつの間に」

「此方には、味方の気配を消すスキル持ちが沢山いる。これくらい余裕だ」


 グーズは、顔を真っ青にさせる。グーズは、オロッカダンジョンの中では幹部クラスに該当しており、それなりの強者である。それ故に分かってしまった。自分以上の存在が数十人単位でいることを。だが、それがわからない奴等がいた。


「ふん!何が包囲だ!我等は至高なる吸血鬼だぞ!」

「そうだ!ゴブリンやらオークやら揃えていい気になるな下等生物め!」


 グーズの顔は、真っ青を通り越して真っ白になった。


「お、おい。君達」

「おまかせくださいグーズ様!あんな奴等直ぐに八つ裂きにして見せましょう!」


 そう言って取り巻きの一人が飛び出した。取り巻きは、包囲網の先頭にいた斧を持つゴブリンに襲いかかる。


「死ね!ゴブリン風情が!」


 吸血鬼は、残虐な笑みを浮かべながらゴブリンに豪腕を振るう。


「いや、そっちがっすよ」


 そして目にも止まらぬ速さで、呆気なく首を伐られた。


「・・・・は?」


 取り巻き達の笑みが止まる。グーズは、真っ白な顔で振るえていた。


「はぁ~、やっぱりゴブリン自体弱いから嘗められるんすかねぇ」

「ゴブイチさん、気を取り直そうぜ?彼奴等がしらなくとも、マスターやアタシ達が知ってるから」

「慰め感謝っす、オニメ」


 斧を背負ったゴブリン、ゴブイチは斧を構えながら叫ぶ。


「さ、殲滅っす。一匹たりとも逃がすんじゃないっすよ〜」


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