魔の夜会。再び③
◆魔の夜会会場 カゲマサside
『さあ紹介しちゃうぜ!!コイツ等だ!!』
邪神の叫びに呼応して、円卓の中心に真っ黒な扉が現れた。そして真っ黒な扉が開き、中から二十体のダンジョンマスターが出てくる。
ふむ。吸血鬼、人魚、ゴブリン、リザードマン、巨人、本当にいろいろ居るな。ん?あれは堕天使か?天使の羽が半分黒くなっているな。
「ほお、あれが」
「確かに他の下っ端とは違うな」
「前の世代が情けなかったんだからそうなったんだろ」
「ははっ、まさに『不作の世代』ってか」
何やら先輩マスターが何か言っているが無視だ無視。早くに脱落した者が多いのは認めるが。邪神の手紙にも書いてあったしな。
『ふふん、皆興味津々のようだね!良し!今からフリートークの時間にするぞ!興味あるマスターは新人に話しかけるも良し!無いものは普通に友達と話すも良しだ!はい、ヨーイスタートっ!!』
邪神の掛け声と共に複数のマスターが動き出した。あるものは新人を己の派閥に引き入れるために。またあるものは単純に興味に引かれて。またあるものは、静観して新人の性根を見極めようとしていた。俺はというと。
「そうか。そちらは順調なんだな。良かったな」
「おう!最近は兵隊も増えて戦う機会があんまり無いけどな!」
顔見知りと話していた。話していたのは、赤い鱗に覆われた肉体に真っ赤に燃え盛る大剣、真っ赤な前掛けを纏うリザードマン、リューゼだ。初めてのダンジョンバトル時に味方として参戦したリザン派閥のマスターで、俺と同じ世代で、世代間ではアルカ、俺と続くNo.3の認識である。
因みにアルカとリューゼの鑑定結果が判明した。今まで出来なかったのは、アルカとリューゼの鑑定阻害が強すぎた為。今は何とか突破した。
名前 アルカ
種族 王級吸血鬼
職業 ダンジョンマスター 魔王朝十八番領領主
レベル 3
ランク S
スキル 吸血鬼の女王・・吸血鬼系統のモンスターの統率力上昇、日光無効、身体能力超上昇、血の支配速度上昇、超速再生 剣術の達人 闇魔法の達人 鑑定 魔力視 魔力障壁 人智を越えた生物etc.
名前 リューゼ
種族 リザードマンハイエンペラー
職業 ダンジョンマスター 竜谷の長の一人
レベル 5
ランク S
スキル 竜族の王・・ドラゴン系統及びリザードマン、トカゲ系統のモンスターの統率力上昇、繁殖力上昇、身体能力超上昇、超速再生 大剣の達人 格闘術の達人 変形 人化の術 人智を越えた生物etc.
二人とも人智を越えてました。俺の他にも二人とか、インフレ過ぎる・・・。敵対は止めておこう。
「しっかし、カゲマサよぉ。お前も強くなったよな!俺も死ぬような思いで鍛練したのによ!」
「・・・お前には言われたくないな」
俺は、あれから自身を鑑定し直したが、スキルに変化はなくレベルも2と一つ上がっただけだった。やはりランクSとなると、レベルアップに必要となる経験値が異常に高くなるらしい。
「ん?おいカゲマサ。アルカの奴が新人に絡まれてるぞ」
「アルカが?何で?」
「見ろよあれ」
俺は、リューゼの指差す方向を見ると、アルカが一人の新人マスターに花束を渡されていた。
「・・・うん。あれ人間の界隈じゃプロポーズ、俗に言う求婚じゃないか?」
「マジか!アルカの奴結婚するのか!?」
「いや、アルカは顔を横に降っているぞ。どうやらあの新人フラれたらしいな」
「なんだよ、結婚しないのかよ。お祝いぐらいなら持っていってやろうと思ったのに」
コイツ、何だか優しいな。ん?アルカの奴がコッチを見ているな。助けを求めているのか?何故に俺?
「おい、あれカゲマサ見てるぞ。行かないのかよ」
「行ってどうするんだ。男と女の関係に踏み込むなんて恐ろしくて出来ないぞ」
しかし、何時までたってもアルカが此方を見て離さないので、仕方なくリューゼと一緒にアルカの元へ行く。
「・・・・何の騒ぎだ」
「ああ、カゲマサ君!良かった!この新人君をどうにかしてくれ!結婚してくれ結婚してくれって五月蝿いんだ!」
「おおお!麗しの姫君よ!我輩と結婚を!我輩と愛を育みましょうぞ!!」
うわぁ。凄い自信過剰そうな奴だな。えっと、つり目に病人のような白い肌に鷲鼻、タキシードに黒いマント、ねぇ。鑑定だとランクA-の中級吸血鬼だった。
「と言われてもな。コイツ俺のこと眼中に無いみたいだぞ」
「麗しの姫君よ!何故我輩の愛を受け取ってくれないのです!姫君と我輩なら、マスター内に新たな秩序を作れるというのに!」
「いや、新しい秩序なんて興味ないよ私は!うう、はっ!そうだ!」
ん?なんだ?アルカの奴コッチを見て。
「オロッカ君。残念だが私は君の求婚は受けない」
「何故です!我輩ほどの才能の何処が不満か!」
オロッカって言うのか、この吸血鬼。というかアルカ、何故コッチを見る。おい、なんとか言え!
「何故なら、このカゲマサが私の婚約者だからだ!!」
「え」
「「はァァァァァァ!!!!????」」
魔の夜会会場に俺とオロッカの声が響き渡った。
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