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魔の夜会。再び②


◆夜会会場 カゲマサside



 ゲローロと別れた俺は、自分の席を探すべく歩いていると、後ろから声を掛けられた。


「あら、早いわね。カゲマサ」

「あ、ナナさん。どうも」


 ナナ・セブンス。セブンス帝国の皇祖にして、帝国を裏から操るダンジョンマスター。邪神によって七番目に生み出された銀髪赤目の幼女。俺の実質的な上司。


「エルザムの件はどう?」

「ぼちぼち復興は進んでいます。まあ、傀儡を仕立て上げて、代わりにやらせていますが」

「それで良いわ。貴方は、エルザムが再び腐敗することの無いように監視なさい」

「了解です。あ、そういえば新しい食べ物を持ってきたのですが、食べますか?」

「いただくわ」


 それを聞いた俺は、【ボックス】から皿に盛られたフライドポテトを取り出して渡す。


「あら、これが?」

「ジャガイモを細長く切り、油で揚げて塩をかけたものです。美味しいですよ」


 地球にいた時も良く食べたもんな。フライドポテト。これ作った人凄いわ。


「では。・・・ふむ、中々いけるじゃない」

「ありがとうございます。では俺はこれで」

「お待ちなさい」


 俺が立ち去ろうとした時、ナナさんから呼び止められた。なんだよ一体。


「何か?」

「実はね。忌々しいことに、私の派閥である貴方に会いたいっている血生臭い小娘がいるのよ」


 血生臭い?あれ、一人だけ該当者がいるぞ?アイツ随分と俺の血を気に入ってたしなぁ。


「貴方の想像通りよ。ほら、いらっしゃいな」


 ナナさんに言われて歩いてきたのは、紫色の髪でポニーテール、ナイスバディの美女。あ、やっぱりあの吸血鬼だ。


「や、やあ、久しぶりだねカゲマサ君。ダ、ダンジョンバトル以来かな?というか、私を覚えてるかな?」

「覚えているさ、アルカ。味方だった奴だろう?」


 アルカ。俺が初めて参加したダンジョンバトル時に味方だった吸血鬼のダンジョンマスター。初めての接触は、奴が俺の血を求めてきた時。俺と同じ世代の中でも極めて優秀だ。新人ランキング一位だったし。


「ああ、良かった!忘れ去られていたらおかしくなってたよ!」

「おかしく?」


 何で俺がアルカを忘れたら、アルカがおかしくなるんだ?禁断症状でもでるのか?


「あれから君の血を飲んでから、他の人間の血なんか全く旨くないんだ!本当に、犬の糞を喰っているようなものだアレは!もう君のことしか考えられないんだよ!!」

「おいコラ。それは、見方によれば愛の告白と取られかねないぞ。只でさえ敵派閥なんだからよせ。いや、本当に」


 俺が思わず指摘すると、アルカは顔を赤らめ黙ってしまった。それを見たナナさんは、薄く笑いながら口を開く。


「うふふ、哀れね爺派閥の小娘。爺派閥は身内だけで繋がっていれば良いのよ。貴女も」

「ッ!ナナ様。ロワン爺様は派閥関係なく力あるものには関係をもっております」

「あら意外。頑固爺にも他派閥との交流なんて出来たのね」

「・・・ナナ。いい加減にせんか」


 声がしたので声の出所をみると、黒いローブに額から伸びる角をもった壮年の男性が立っていた。

 ロワン。邪神によって一番目に生み出されたダンジョンマスターで、大魔王やら最強のマスターやらと呼ばれているらしい。初めて参加した俺を真っ先に勧誘しに来た存在である。


「ようやく本人のお出ましね。いいの?貴方の可愛い小娘が私の派閥の男に取られるわよ?」

「ふん、相手が強者ならば良いわ。カゲマサなら尚更な」


 おい。なんでこんな高評価貰ってんだよ俺。この爺、頭がボケたか?


「ところでカゲマサよ。お主、儂の派閥に入る気になったか?」

「え、いや」

「今なら、アルカとの婚姻を認めてやろう。そして我が派閥幹部の地位をやろうではないか。そして、良い立地にダンジョンを構えさせてやろう」

「ろ、ロロロロワン爺様っ!?私は別に恋愛感情は!!」

「うふふ、何を言っているのかしらこのボケ老人は。カゲマサは既に私の派閥幹部に重用していますよ?介護施設にブチ込んで差し上げましょうか?」

「貴様の派閥では宝の持ち腐れだ、若作りババア。いい加減に幼子の姿は止めたらどうだ?」

「あっ?」

「はっ?」


 ロワンとナナさんは、一触即発の雰囲気になったので俺は素早く退避する。アルカは顔を真っ赤にしながらも付いてきた。


「す、すまない。ロワン爺様は、強者を見ると自分の手元に置きたがる癖が有るんだ」

「いや、気にしてないから良い」

「そ、そうか。ならば良いんだ。・・・そ、それでなんだが」

「血だろ?はい」


 俺は、自身の右手を左手の手刀で切り裂き、DPでワイングラスを作り出して、血を注ぎ込んだ。


「ほらよ。飲め」

「ふえっ!?・・・で、では」


 何故か驚かれてしまったが、アルカは抵抗なくグラスを受け取り、唾を滴しながら俺の血を口に含む。


「あっ、・・・・・・最高♡」


 そう呟き、床に倒れてしまった。


「・・・・血を飲んだだけで気絶しやがった」


 仕方がないので俺は、アルカを背負ってアルカの席を探した。そして発見したのでそこに座らせておく。それ以降何もなかったので、俺は自分の席に着き邪神の到来を待った。少しの間待っていると。


『いえ~~~~~~いっ!!皆待たせたなぁぁ!!邪神君の登場だぜぇぇぇぇ!!!!!!』


 ・・・この邪神、時々キャラ変わるな。

 俺は、そう思いながら頭上に映っている顔上半分を黒仮面で隠した少年邪神を見る。何故か黒いTシャツに『子供には旅をさせよ』と書かれていた。


『て、ぬおおお!?また数が減っているじゃないか!!悲しいなぁ・・・・。まあ仕方無い!じゃあ、今日もランキング発表いくぜ!!』


 邪神は、ハイテンションでランキングを表示した。さて、俺の名前は何処だ?もう新人じゃないから、新人ランキングは無い。だが、『同世代マスターランキング』なるものがあるな。良し見てみるか。


・同世代マスターランキング


一位 アルカ 186万9651DP

二位 カゲマサ 184万8976DP

三位 リューゼ 179万9987DP

四位 パンドラッチ 125万3489DP

五位 ユラ 103万2199DP


 ゑ、ユラの奴めっちゃ稼いでるぞ。そんなに侵入者・・・・ああ、確か俺が気まぐれに呼び寄せたモンスター共を吸収したのか。ならば高い数値も納得がいく。

 因みにナナさんだが、予想通り総合二位だった。桁は数えきれないくらいあったな。もう、兆を遥かに超えてるだろう。一位はロワン。三位はリザンという竜神と呼ばれているマスターだったよ。


『さあ皆!もう一つのメインイベントだ!新たに創造したマスター達を紹介しちゃうぜ!!いくぞぉぉぉーーーーーー!!』


 新しいマスター、ねぇ。どんな奴等やら。

 

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