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エルザムの都市へ①

誤字報告ありがとうございます!


※旧「エルザムの都市へ②」と統合しました。


◆ダンジョン コアルーム カゲマサside



「鍛えろだぁ~?」


 俺の言葉にオーガクイーンのオニメは、呆れたように言う。


「そうだ。一応そいつらも俺と同じダンジョンマスター何だが、如何せん強さが足りない」


 《鑑定》してみたんだが、どれもこれもほとんど成長していない。ランクは以下の通り。



サキュバス C-

アルラウネ C

ウォーホース C

レッドオーガ B



 唯一マシなのはレッドオーガだが、マスターとなるとやはり弱い。すると、そこにアークデーモンのルシファが聞いてきた。


「マスター、彼等を鍛えることに何のメリットがあるのでしょうか?」

「ああ。コイツらはダンジョンマスターだから、モンスター召喚機能などを使える。いざというときに恩を売っておけば、味方に出来る」

「なるほど」


 まあ、恩を感じてくれるかは分からないがな。俺は、そう考えながらも、血まみれマスター達に回復魔法【メガヒール】を掛ける。


「・・・・あっ!はっ!」

「う、う~ん、あれ?私達は」

「ブルル、何だここは?」

「洞窟か!・・・って、うお!カゲマサじゃねぇか!!」


 サキュバスとアルラウネ、ウォーホースは戸惑い。レッドオーガのみ俺に気付いた。


「か、カゲマサ?・・ひっ!」

「じゃ、じゃあここは」

「正解。俺のダンジョンだ」


 俺に気付いたサキュバスとアルラウネは顔を青くし、ウォーホースは驚き、レッドオーガは大爆笑。


「ギャッハッハッハ!!久しぶりだな!で、俺達は殺されるのか?!回りにやべぇ奴等が揃っているが?!」

「そんな勿体無いことするかまったく。いいかよく聞け。・・・・お前達、鍛えろ」

「あ?」


 四体は、頭の上にハテナマークを作る。


「お前達は、ダンジョンマスターとして弱すぎる。自分の身は自分で守れなきゃ意味がないのだ」

「ちょ、ちょっと待ちなさいよ!」


 そこにサキュバス、確か名前はユラだったっけ?ピンク色の髪を揺らしながら、ユラは問い詰める。


「何で貴方は私達を助けたのよ!ライバルが減るのは良いことじゃないの!?」

「勿体無い」

「はあ!?」

「お前等は磨けば光るものを持ってる。それを粗末にするのは勿体無い、そう思っただけだ」


これは、今考えた言い訳だ。本当は仲間陣営として恩を売 りたいだけだからな。


「わ、私達に光るもの?」

「そんなもの有りましたか?」

「我だと脚か?ヒヒン」

「力かぁ?!」


 コイツら、自分に自身無さげだな。まあいいか。


「という訳で、嫌でも強くなってもらう」

「わ、分かったわよ。で、強くなった暁にはなにをするの?」

「貴様等にダンジョンの場所を融通してやる」

「お!マジか!」

「という訳で、サキュバスはルシファ。アルラウネはツリー。ウォーホースはレオーネ。レッドオーガはオニメが鍛えろ。解散」


 ルシファはユラを拘束して連行。ツリーがアルラウネを根っこで縛り付け、レオーネはウォーホースの胴体を鷲掴み、オニメはレッドオーガを引きずりながら姿を消した。


「シロ、奴等の監視は頼んだぞ」

「お任せを」


 シロに監視を頼んだ俺は、ナナさんからもらったエルザム神聖国領統治許可証を見ながら、エルザムの前にあるハーサー荒野に転移した。
















◆エルザム方面空中 カゲマサside



 転移した俺は、【フライ】でエルザム方面に飛んでいく。飛んでいくにつれ、村々が見えてきた。だが、人の気配は皆無で俺の《存在感知》でも確認できない。やがて、城壁に囲まれた大きい都市が見えてきた。俺は、スピードを上げて近付き、都市に降り立つ。都市内部も案の定、人の気配は無く都市だけが残っていた。俺は、都市の中を歩いていく。そこで俺は、一つの建物に目がいった。


『サンダーソン奴隷商会』


 奴隷か。そう言えばここは、奴隷の扱いがひどい割りに奴隷商会が多かったはず。俺は、受け売りの情報を頭の中で考えた後、サンダーソン奴隷商会に入った。商会内も人間はいない。俺はお構い無しに入っていく。やがて、奴隷が収容されているらしい部屋の前まで来た。俺は、その部屋をゆっくりと開ける。すると、扉の影から一人の人間が飛び出し、俺に斧を振りかぶった。


「むっ」

「死ねぇ!!」


 俺は、人間の斧を躱すと足を払って人間を転ばせる。人間は、立ち上がろうとしたが、【スリープ】を発動させ眠らせた。


「何だったんだ?」


 俺は、疑問に思いながらも《鑑定》を行う。



名前

種族 人間

職業 戦闘奴隷 元盗賊

レベル 12

ランク D

スキル 斧術 剛力



 何だ、元盗賊か。あの殺意を見ると金目の物を戴こうしたのかな?まあいいか。殺しておこう。俺は、【デス】で戦闘奴隷を即死させた後、更に奥へ進む。いく先々で戦闘奴隷と会ったが、【デス】で始末していき、【ボックス】に収納した。まあ、人工魔人の素体行きだろう。

 その後進んでいくと、今度は地面から槍が生えたり、上から岩が落ちてきたり、毒ガス散布など、罠が多数仕掛けられていた。この奥、何かがあるな。

 罠の全てを掻い潜り、一番奥にたどり着く。やけに豪華な部屋だが、構わず入った。そこには、法衣を着た青年と、壮年の執事が座っていた。


「ッ!?な、何者ですか!?」


 突然入ってきた俺に法衣を着た茶色短髪の青年が叫びながら問うてきた。執事らしき人物は、青年を背中の後ろに隠している。


「はっ!ま、まさか、貴族の追跡部隊ですか!?あの貴族達め!もうここまで!!」

「え、ちょっと」

「私はそう簡単には捕まりません!!【ライトアロー】!」


 誤解したのか、此方に光魔法を放ってきた。俺は、【ライトアロー】をあっさりと躱し、つい癖で青年の腹に拳を打ち込む。


「あぐっ!?」

「あ」


 俺が認識した時は、既に遅し。青年は、気絶して床に伸びていた。


「でやぁぁぁぁぁぁ!!」


 次は、壮年の執事がナイフ片手に襲いかかってきた。


「おい、ちょっと待て。俺は敵じゃない!」

「誰が信じるか!!そんな戯れ言を!!」


 ありゃ~、完全に頭に血が上っているな。やっぱり青年を攻撃したのが悪かったか。


「少し落ち着、け!!」

「ぐおッ!?」


 俺は、一旦落ち着かせるために、執事の攻撃を押さえ、金的を蹴り上げた。執事は、暫く痛みに悶えた後で気絶した。


「良し。後は、回復するまで、《鑑定》しながら待つか」


 俺は、二人に《鑑定》を発動させた。



名前 セレス・ミレーリア

種族 人間

職業 元エルザム神聖国 元司祭 教皇の隠し子

レベル 5

ランク D

スキル 光魔法 儀式作法



はい、爆弾入りました。・・・教皇の隠し子だと!?聖職者なのにヤったのか!?って、そうじゃなくて。教皇の隠し子が何故奴隷商会の地下に居るんだ!?あ、因みに執事さんは、名前がハンスでレベル8のランクD。スキルは、護身術と短剣術でした。


「また暴れられたら面倒だな。縛っておこう。・・・・・これで良し」


 俺は、二人を【ボックス】から取り出した縄で縛る。そして、魔導書を取り出し、見つけた魔法を発動させた。


「えっと、【フレッシュ】」


 すると、白い光が二人に降り注ぐ。白い光が消えた瞬間、二人は目を覚ました。


「はっ!これは!?」

「ぐっ!?貴様!どういうつもりだ!」

「さっきお前等暴れたろ?だからだよ。それより聞かせろ」

「な、なにを聞かせろというのです!?」

「何故教皇の隠し子がここにいる?」

「っ!?」


 その言葉に二人は驚き、警戒しながらも、こちらに敵意が無いことがようやく分かってきたのか、セレスはポツリポツリと話し始めた。

 話を簡単に纏めると、こんな感じだ。教皇の隠し子だった彼は、当初隠し子だとは知らず普通の司祭として暮らしていた。だが、ある時ひとりの貴族が現れ、セレスに教皇の隠し子だと話したのだ。その貴族は、教皇の政敵で教皇を失墜させるためどんな小さなカードでも欲しかったらしい。セレスは、いきなり教皇の隠し子だと言われて分けが分からない内に、反教皇派の頭として担がれたという。反教皇派にとって朗報だったのが、教皇が起こした十万に及ぶ軍団がセブンス帝国軍相手に全滅したことだった。これにより軍事力を大幅に失った教皇派に反教皇派がクーデターを開始。結果、クーデターは成功。教皇や枢機卿等は殺され、新たに反教皇派の貴族達がエルザムでの政権を手に入れた。故に、お飾りの頭はもういらないとばかりに、執事共々貴族に縁あるサンダーソン奴隷商会の地下に幽閉された、というのが顛末らしい。


「・・・苦労してるな」

「・・・分かっていただけますか」


 うん。だってクーデターのきっかけって俺だもの。俺がエルザム神聖国軍十万を【核撃爆弾ニュークリアボム】で滅ぼしたからだよ。まあ、罪悪感はこれっぽっちもない。俺は、己を守るために殺ったのだから。

 その後俺は、何とか誤解を解いたので、二人に予め考えてあった自己紹介を始める。名前はカゲマサ。自分は旅人で、セブンス帝国からはるばるやって来た。旅の過程でこの国に寄ったのだが、余りに人がいないので探したところ、奴隷商会内部に気配を感じここまで来た。

 こんな内容で説明する。穴が有りすぎるが、二人は納得したらしい。いや執事のハンスさんは、怪しんでるな。


「とまぁ、これが自分の身分だなぁ」

「なるほど、旅人さんでしたか」

「そうそう」


 すると、妙に決意めいた顔になったセレスは、俺の方を向く。


「カゲマサさん」

「ん?」


 俺は、若干嫌な予感がしながらも、セレスに向き直る。


「あのですね?」

「うん」


 言いづらいのか、それとも恥ずかしいのかは分からないが、口をパクパクさせながらも、セレスは何とか口に出す。


「私をエルザムの中心地である神都メーカに連れてってくれませんか?」


 俺は、予想通りの事態に内心ため息を吐きながら話を聞くのだった。


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