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オークとの話し合い

オークとの話し合いです


「マスター。あれがオークの代表のようです」

「ああ、それもオークの上位種だな」


 今クロの前に歩いてきているオークは、他のオークより歴戦の戦士のような雰囲気を醸し出していた。


「おいらには普通のオークと同じに見えるっすけどね」

「違うぜゴブイチ。あの鍛え上げられた肉体にドラゴンを前に冷静さを失っていねぇのが見えねぇか?ありゃあ、相当場数を踏んでるぜ」

「ただ怯えて動けないんじゃないんすか?」


 ロウガとゴブイチがそんな会話をしていると、オークと会っていたクロが戻ってきた。


「マスター。オーク共は、どうやらマスターと話し合いをするべくダンジョンに来たようです。先ほどの呼び掛けは、若いオークが勝手にやったと申しておりました」

「話し合い?一体何を話し合うんだ?」


 配下達は、頭を捻っている。クロが、


「マスター。オーク共は武器はあれど、敵意はありませんでした。少なくとも敵対行為では無いはずです」

「おいクロ、それは早計だろ。確かに今は敵意を出していないが、マスターが出てきた途端に、マスターを殺しに来るかも知れねぇぞ?」

「・・・・・我らがそれを許すと?」

「ロウガ、オビエテル?」

「ロウガ、あなた私達を見くびってるの?」

「そうっすよ。それにドラゴンの姿を見たから、自分達の立場をわかったはずっす!」


 ロウガが懸念を示すが、他の配下達はあり得ないと考えているようだ。だが、俺はそうは思わないんだよなぁ。


「いや、ロウガの懸念は正しい。いくら弱肉強食でも良からぬことを考える輩がいるかもしれないからな」

「どういたしますか?」

「俺が出るのは後だ。クロ、奴等の中から数体連れてくるんだ」

「了解しました」


 クロは了承すると、ダンジョン入り口に向かった。


「大丈夫でしょうか?」

「さぁな。だか少なくとも、最初の内は敵対しないはずだ」











◆オーク陣営



 私達がしばらく待っていると、あの黒いドラゴンが私達の前に現れた。


「お前達の中から代表を数人選べ。その数人に我の主がお会いになるそうだ」



 代表数人か。それならもう決まっている。行くのは、ブ族の長たる私、ブ族の“巫女”カレン、各集落の長4人、以上6人だ。


「わかりました。代表は既に決まっておりますので、今すぐにでも」

「承知した。ついて来い」


 そして我等は、黒いドラゴンについていき洞窟内に入った。







 しばらく進んでいると、大きく重厚そうな扉が見えてくる。門番なのか、屈強なゴブリン2体が扉の前に立っている。あの中にドラゴンの主がいるのか。


「ここだ」


 黒いドラゴンが、指し示す。どうやらここのようだ。すると2体のゴブリンが駆け寄り、


「ここからは、武器の所持は厳禁だ」


 なるほど。自分達の主のいる所に武器を持った輩を入れたくないか。


「分かりました。おい」


 私が命じると、各集落の長は武器を渡し、カレンは杖を渡し、そして私は剣を渡した。


「ではいくぞ。」


 黒いドラゴンが言うと、扉がひとり開き始めた。我等は歩を進めようとして、足が止まる。そこには、もう1体の白いドラゴン、銀色に輝く鎧を纏う騎士、普通のトロールより屈強なトロール、二足歩行のウルフ、多数のゴブリンを従えるゴブリン、いろんな種族がいるが最も存在感の出しているのは奥の玉座に座った存在だった。


 見た目は、人間なる生き物に酷似している。体格は少し細い。だが、中身は違う。まるでドラゴンが人間の皮を被っているような感覚に襲われてしまう。


「マスター、オークの代表を連れてきました」

「ご苦労」


 その声は比較的に若い声だが、その声には威厳と貫禄があり、思わず気圧されそうになるが、そこは耐える。


「この地の支配者よ。私はオークのブ族の長です。この度の唐突な訪問に対応してくれて感謝申し上げます」

「あ、こりゃど・・・・・・・うむ。我がこの地の支配者のカゲマサである」


 自己紹介も終わり、私は早速本題を切り出すことにした。


「いきなりですが、今回はお願いがあって参りました」

「ふむ、その願いとは?」

「最近この森でアンデッドの数が急増しているのはご存知でしょうか?」

「ああ、知っている。それで?」

「はい。実はそのアンデッドの群れが、オークの集落を襲い始めたのです」

「まさか我々にアンデッドを退治してくれと?」

「いいえ、そんな贅沢は望みません。我等の望みは安住の地です」

「···なるほど。我がダンジョンで匿ってほしいと?」


「はい、そのとおりでございます。どうかこの地に我々を匿ってはいただけませんでしょうか!」







◆カゲマサ陣営



 まさかダンジョンの一部に匿ってくれとは。それって実質支配下に入れてくれって意味だよな?


「このままあの場にとどまっても、我等の行く末は全滅です!何卒!」


 ・・・・・普通、物語の主人公ならすぐ助けただろうが、少なくとも俺は違う。多少の報酬は貰わないと割に合わない。よし、少し脅してみるか。


「おい、お前」

「は、はい」

「それはあれか?アンデッドの狙いがお前たちだった場合、そのアンデッドを我々の所におびき寄せることになるんだぞ?我々にそんな不利益を被れと?」

「ッ・・!」


 目の前のオークは、一瞬黙ってしまう。確かに彼らの成そうとしているのは、自分達への脅威を相手に擦り付ける行為だ。普通は通るはずがない。


「もちろん、相応の謝礼を払わさせていただきます!何卒お慈悲を!」


う~ん。あんまりメリットを感じないな。さっきも言ったが仮に匿ったら、アンデッドが来る危険性が高まるしな。ん?


「おい、そっちの女性は誰だ?」

「あ、彼女は私の妹でカレンと申します。我がブ族の“巫女”で大変賢く、魔法も使えます。それにメスとしてもブ族一のメスです」

「名前があるのか?」

「はい。我がブ族では、最も優秀なメスの魔術師に名前を付け“巫女”とする風習がございます。もしお望みなら彼女を献上いたします!」


 ・・・・え、いや~。に、にしても姿は人間に近いな。姿は、人間の女性20代後半ぐらいで黒い髪、褐色の肌、目は若干赤目で、スイカ級の果実のついた豊満な肢体。うん、すごい美女だな。


 どれ、一つ聞いてみるか。


「カレンとやら」

「は、はい」


 話しかけられると思っていなかったのか、慌てて返事をするカレン。


「今貴様の兄が、お前を献上するといったがお前はどう感じた?」

「喜んで身を捧げます」

「ふむ。怖くないのかな?もしかしたら我がお前を使い捨ての駒にするかも知れないのだぞ?それに貴様を玩具にするかもしれない」

「もしそうなっても受け入れましょう」


 うわ~、何かニガテだ。・・・《鑑定》してみるか。《鑑定》!・・はい?



名前 カレン・ブ

種族 下級魔人 元オーク

職業 魔術師

レベル 24

ランク C

スキル 水魔法 風魔法 光魔法 成長加速微小



 強かった。かなり強かった。



「カゲマサ様。もしお命じなされるのでしたら、このカレン、喜んで戦闘なり夜伽なり勤めさせていただきます!どうか我がブ族をお救いください!お願いします!」


 ・・・ヒエ。夜伽の部分でシロが、一瞬すごい殺気を出したぞ・・・っ!


「断る」

「そ、そんな!」

「我は嫌々抱かれる女性とするほど腐ってはいない」


 その言葉を聞き、カレンは落胆し、シロは嬉しそうに体を揺らした。因みに俺は童貞である。童貞である!そして安心するやいなやシロが俺に近づき、小声で囁いた。


「マスター、DPをご覧になりましたか?」

「は?」

「彼らは、ダンジョンモンスターではありません。もしかしたらDPが増えていってるかと思いまして」


 そういえばそうだな。俺はダンジョンメニューのDP欄を見ると、少しだが上がっていた。


「上がっとる・・・!やったぜ!」


 どうやらダンジョンモンスターでなければ、モンスターからも恒久的にDPが取れるのか。


「シロ、決めた。奴等を匿うぞ」

「承知しました。階層はどういたしますか?」

「確かヨロイのとこの階層に広い所があっただろう。そこなんかどうだ?」

「了解しました」


 シロはそういうと後ろに下がる。


「気が変わった。お前達を匿おう。」

「おお!本当ですか!?」

「ただし、こちらの法にはしたがってもらうぞ?」

「分かっておりますとも!」


 ブ族の長は嬉しそうに言うと、他の長と喜びあった。そこにカレンが声を上げる。


「カゲマサ様、少しよろしいですか?」

「なんだ?カレンよ」

「・・・何を決め手に匿うと決めたのでしょうか?」

「ふむ」


 俺は少し考えて、こう答えた。


「簡単だ。お前たちを目当てにアンデッドが来るならば、沢山の修行相手が来てくれるのと同じことよ。配下の修練にもってこいだ。」


 俺は、適当に考えた言い訳を言う。


「そうですか・・・」

「ああ。あ、良かったな。好きでもない相手に身を捧げなくて。後俺は、強姦は嫌なんだ」


 俺はそれだけ言うと、謁見場から退室した。


「ヨロイ。貴方の階層の広場にオーク達を案内しなさい」

「・・・了解」


 こうしてオーク達は、無事ダンジョンに匿われることが決まった。一方カレンは、嬉しいものの自分の魅力ではカゲマサを動かせなかったことに、女性としての悔しさがあり複雑な心境だった。


次回は、死霊公についての展開を載せる予定です。

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