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各々の現状

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◆ダンジョンコアルーム カゲマサside



 勇者タダユキを始末してから二週間が経過した。ダンジョンの様相は、表面上変わっていない。各〈狂星〉や〈百魔隊長〉達が各階層を守り研鑽を続け、〈六将〉や俺は各階層の監視又は危険分子の始末などを行う。一方裏では、様々な事柄が変わっていた。まず兵士の質。ランクCの上級兵士が急激に増加したこと。理由は、兵士自身の研鑽の結果や生命力の液による強制進化。勇者襲撃の際、勇者の強さを見て強さへの渇望が生まれたのだろう。次に人工魔人計画。筋肉を移植させた人間の死体をベースに、なんと、寄生虫を寄生させスキルオーブによるスキル付与、生命力の液を用いて簡単な魔人なら量産することに成功させた。元がダンジョンモンスターである寄生虫であるため、俺の命令には絶対服従。ミレンダから見れば、少し弱いが十分成功に入るだろう。因みに鑑定した結果、



名前

種族 人工魔人

職業 研究所直属下位部隊員

レベル 10

ランク C

スキル 剛力 硬皮 俊敏



 次に取り付かせる寄生虫。



名前

種族 デッドパラサイト

職業 兵士

レベル 1

ランク E+

スキル 死体寄生



 デッドパラサイト。死体に寄生し、思うままに動かすことの出来るモンスター。偶々俺のダンジョンに生まれていたので、どうにか有効活用出来ないか考えたときにミレンダが食い付き、人工魔人計画は前進した。寄生された死体は、アンデッドではなく只の死体であるため、光魔法は弱点ではない。虫なので火は弱点だが。


「そして人工魔人は量産され、今やこれだけいるのか」

「ああ、本当にデッドパラサイトが生まれてて良かったよ」


 今俺の眼下には、五十体に及ぶ人工魔人が整列していた。各々が身長二メートルで灰色の軍服を纏っている。


「んで?研究所直属の部隊な訳だが、運用はどうするんだ?」

「新たな人工魔人製造の為に、目ぼしい冒険者を始末し死体を回収する任務を出すさ」

「そうか。ミレンダよ。これから忙しくなるぞ。勇者敗北の噂を聞き付けて、名を挙げようとする冒険者がうようよいるからな」

「わかってるさ」


 そしてミレンダは、コアルームから退出。俺は、改めてダンジョン内を見渡してみる。


「ふむ、ダンジョンモンスターも種類が増えてきたな。まったく種類の把握が追い付かん」


 ダンジョンモンスター達は、派生や進化を続け俺ですら全種族を把握することが出来ていない。幹部からは、幾つか新種も誕生しているとか。


「もはや人外魔境だな」


 俺は、静かに呟いた。















◆セブンス帝国 帝都セプト離宮 ナナside



 セブンス帝国の皇祖であり、邪神によって七番目に生み出された銀髪幼女のナナ・セブンスは、側近のロロ・セブンスと共に政務に携わっていた。


「ロロ、勇者タダユキの後見人だった貴族の粛清は?」

「暗部を送り込んで始末しました。案の定、勇者を使って反乱の計画を立てていたようです」

「うふふ、間抜けね。勇者一人程度で帝国が倒れる訳ないじゃない」

「まったくです」

「じゃあ、予定どおり反逆者として処刑し世間に報じなさい。商会等は?」

「はい、どの商会にも脱税や密輸の証拠が発見されました」

「勇者タダユキを使って、帝国に巣食う害虫を炙り出すことにはある程度成功したようね」


 ナナは、静かに笑う。ロロは、淡々と報告書を読み上げていく。


「はい、勇者タダユキの性格で利用出来ると考えたからでしょう。・・・しかし」

「ええ。・・・“(キング)”一派は尻尾を出さなかったわね。まったく」

「フリン公国にてカゲマサが倒した魔導師ジメイは、幹部の“僧正(ビショップ)”であることに間違いは無いでしょう。《鑑定》した結果ですので間違いありません」

「暗躍しているのは間違いない、か。何を企んでいるのかしら?」

「・・・流石にそこまでは」


 ロロは、申し訳なさそうに話す。


「まあいいわ。貴方は引き続き“(キング)”一派を探索しなさい」

「はっ」

「じゃあ、通常の政務に戻ります」


 こうしてナナは政務に、ロロは探索に出た。















◆???? “(キング)”side



 そこは、辺り真っ白な何もない空間。そこに病人のように痩せこけた“王”と黒いドレスを身に纏った幼女“女王(クイーン)”が居た。


「勇者タダユキが死んだようだね」

「そうザマスね。あれから調べたようだと、ワタクシ達を誘き出す餌だったようザマス。接触しなくてよかったザマス」

「死んだということなら、いらなくなったからかな?」

「わからないザマス。もしかしたら、それより有用な手段を見つけたからザマスかね?」

「・・・」


 “王”は、暫く熟考してため息を吐く。そこには、呆れなのか疲れによる感情がのせられていた。


「わからないものはしょうがないね。“女王(クイーン)”、引き続き各大陸の監視を任せるよ。僕はこのとおり病弱で動けないから」

「はいはい、分かったザマス」


 手をヒラヒラと振りながら“女王(クイーン)”は、【ゲート】で転移した。それを見届けた“(キング)”は、一人で再び熟考する。


(彼女にはああ言ったけど、やはり気になるな。何を考えているんだい?ナナ・セブンス)


 熟考したが何もでないので“王”は、一旦考えを横に置く。


(しょうがない。今出来るのは戦力の拡大とエネルギーの取得だね。“騎士(ナイト)”と“城兵(ルーク)”二人の強化と“僧正(ビショップ)”の選定、やること多いな)


 “(キング)”は、考えをまとめると、“女王(クイーン)”に念話で考えを伝える。返ってきたのは、肯定の返事。それに“(キング)”は、満足そうに頷いた。


(急がないと。恐らく()()()()()が最後のチャンスだ。失敗できない。止まるものか。




今度こそ僕は、人類を、この惑星カーオスを、必ず救済してみせる・・・!)


 “(キング)”は、そう固く誓った。


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