オークの訪問
オークが訪問してきました。
領域への侵入?一体何者が?とりあえず侵入者の情報を調べてみる。ダンジョンが感知したのは、およそ100匹前後のオークで列を成しこちらに進んできている。ダンジョンのモニターという機能を使っている。
「参ったな。完全にダンジョンの位置がばれてるぞ」
「どういたしますか?」
そう聞いてきたのは、ダンジョン総司令とかいう地位に就いたドラゴンのシロである。
「少し様子見だ。あのオークたちの目的によっては排除する。戦闘準備を」
「マスター!俺に行かせてくれ!オーク程度、俺の部下だけで殺ってやるぜ!」
強きな発言をしたのは、ダンジョン第二階層主のワーウルフ、ロウガだ。血気盛んな性格で、戦闘でも真っ先にうって出ていた。
「駄目だ。少なくともオークの目的が分かるまでは無用な戦闘は慎むように」
「話変わるんすけど、オーク共は何の目的で来たんすかね?」
「オレ、ワカラナイ」
そこにゴブリンロードのゴブイチが、オークの目的について発言し、ウォートロールのドーロは片言で答える。
「そうだな。敵対行為では無さそうだが、どのオークも皮の鎧に身を固め、武器もそれなりに整っているな」
「何らかの軍事行動か?」
「・・・・・・・・・」
ドラゴンのクロは、軍事行動の懸念を示した。ミスリルアーマーのヨロイは黙ったままだった。すると、モニターのオークの一団から一体のオーク、それも他のオークより屈強な個体が先頭に現れた。現れたと同時にオークの一団は進行をやめる。ちょうど俺のダンジョンの前だ。
『聞こえるかーー!!私は、オークのブ族の長の使い!この地の支配者と話をさせろ!』
俺と話?俺はオークとは、狩るか狩られるかの戦いを繰り広げたことしか記憶してないが。俺がそんなことを考えていると、何故か配下達から殺気が伝わってくるではないか。
「ど、どうした?」
するとシロが。
「マスターに対してあの態度はどうかと思いまして」
次にヨロイが。
「・・・・・話がしたいなら土下座するべき」
ゴブイチが。
「何か偉そうだったっす」
ドーロが。
「キライ」
ロウガが。
「やっぱり殺しといた方がいいんじゃねぇのか?」
クロが。
「待てロウガ。ただ殺すだけでは駄目だ。奴等に己の愚かさをしっかり教え込んだ後に殺すのがよいだろう」
めっちゃ怒ってるじゃん・・・・。
どうやら、あのオークの話し合いの使者が叫んだ言葉が気にくわなかったらしい。
「落ち着け!」
殺気に耐えかねて俺は、配下達に命令した。配下達はひとまず落ち着いたが、納得出来ない雰囲気を出していた。
「お前たちの気持ちも分かる。いきなり上から物を言われたら、誰だって腹が立つ。そこでだ。奴等にちょっとばかし威圧してやろう。」
「威圧、ですか?」
「ああ。とても単純なことだ。モンスターは弱肉強食何だろう?」
俺は配下に考えを伝える。
◆オーク陣営
「馬鹿者が!」
その声はオークの一団の中央から響いた。
「話し合いへの交渉であんな乱暴な言葉でやる奴があるか!」
怒鳴ったのは、元集落の長の年老いたオークだった。
「だがじい様!下手にしたでに出れば我々が舐められて!」
「阿呆が!今舐める舐められないの問題どころではないことが何故わからんのじゃ!儂等オーク族存亡の危機なんじゃぞ!」
言い争うオーク達を見て、ブ族の長はため息をついた。
「不味いな。これでは話し合い自体が失くなりかねないぞ」
「訂正の為の使者を送りますか?」
部下のオークは、そう提案したがブ族の長は首を横にふる。
「いや、もうその必要は無いらしい」
「え?」
「見ろ」
部下がダンジョンの入り口を見ると、そこには。
最強の生物、ドラゴンがいた。辺りのオーク達は、言葉を失い立ち尽くしてしまっている。
「あ、・・・あ、あれは、ド、ドラ・・・ゴン?」
部下が、かろうじて声を出したが、その声には恐怖だけが含まれている。
「強大な勢力だとは分かっていたが、ドラゴンまでいるとは・・・・!」
ブ族の長は、ドラゴンを見据えたまま唸ると、その黒いドラゴンは口を開く。
「貴様ら。この住処の前で汚い声をあげたな?弁解があるならば聞いてやっても構わないが?」
かなり寛容だが油断出来ない。あの黒いドラゴンからは、冷たい殺気が伝わってくる。
「お、長」
「我々は、相手を過小評価していたか」
知っていた。強大な勢力と知っていた。知っていたはずだった。だが相手は、こちらの想定を遥かに越えていた。
「失態だな」
ブ族の長は、処刑台に歩かされる囚人の如くドラゴンの前まで歩いていった。
次回は、オークとの話し合いです。
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