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エルザム、動く


◆ダンジョン手前の村 酒場 カゲマサside



 おい、コイツは今なんと言った?


「あ、あはははは、何だろうか。今凄く恐ろしいことを聞いた気がするぞ。もう一度言ってくれ」

「姉貴を貰ってやってくれないか」

「あ、あはははは、何だろうか。今」

「答えを聞かせて貰おう」


 あ、これガチな奴だ。


「え〜っと、ご長女様を貰ってやってくれってことは」

「ああ、婚姻ということになる」

「「「婚姻!?」」」


 俺はため息を吐き、マヤとナタリア、エリス・ドミニクは、それって大声を出した。


「もう、もう限界なんだ・・っ!何処の貴族とお見合いをしても、いつもお見合いをボコボコにしてお見合い破棄みたいなことはっ!このままじゃ姉貴は、一切婚姻することなく人生を終えてしまう!!」


 マジーメは、今まで溜めていた思いを吐き出す。大体は愚痴だったが、ところどころに姉を心配する弟としての本音もあった。俺は、そんなマジーメを見ながら口を開く。


「いや、だからって俺にやるなよ。そもそも婚姻だけが人生じゃないぞ?」

「いや!貴族社会じゃ形だけでも婚姻しておかないと続々と話が来るのだ!下手なやつに渡すよりは、カゲマサしかいない!お前は唯一姉貴に勝っている男だ!そのお前なら姉貴も納得する!」

「それ本人の目の前で言うかねっ!?」


 俺は、思わず叫んでしまう。


「いいかマジーメ!帝国は広い!俺より強い奴何ざ沢山いる!あ、そうだ!軍属の奴らならばいるだろう!?」

「もう試したさ!だが、駄目だったんだ!どの将校も既婚者か今は結婚を考えられないって奴ばっかりで」

「なんてこったい!」


(不味い!このままでは、ご長女様と婚姻する羽目になってしまう!)


 俺には、エリス・ドミニクと婚姻した場合の未来が容易にわかった。恐らく家で寝ていようが、決闘。ダラダラしていようが決闘。決闘。決闘。決闘。決闘。決闘。決闘。決闘。決闘。そんな未来しか見えない。そこで俺は、一つ足りないものを見いだした。


「そ、そうだ!マジーメよ、お前ご長女様の意思を確認したか?俺は嫌がる女と婚姻なんて御免だね」


 そう、エリス・ドミニクの意思だ。エリスはあくまで俺を決闘の相手ぐらいしか思っていないはず。そんな相手と結婚だなんて考えている訳がない!


「そ、そうです!お互いの意思を確認せずに、こ、こ、婚姻だなんて!」

「ま、ま、マジーメ殿!主君とマヤがこう言っているのだ!確認をと、とってててほしい!」


 俺に同調するようにマヤとナタリアが早口でしゃべる。マジーメは、少し考えて顔を真っ赤にしているエリスに体を向けた。


「なあ、姉貴。真剣に答えろよ?カゲマサと婚姻したいか?」

「ふえ!?え、え、いや、あの、と、突然過ぎて、よく」

「カゲマサと婚姻したいか?」

「え、えっと、それは」


 エリスはしどろもどろに成りながらも、何とか声をだそうとするが、


「・・・やっぱり無理よ!!こんな恥ずかしいこと!もう良い!帰る!」


 と、風のように酒場から出ていった。


「あ、おい姉貴っ!済まないカゲマサ!だが、一度でいい!真剣に考えてみてくれ!」


 そう言ってマジーメも酒場から出ていってしまった。















◆セブンス帝国帝都セプト 軍本部作戦会議室



 カゲマサがマジーメから愚痴に付き合っていた頃、セブンス帝国の帝都セプトと呼ばれる街にある帝国軍本部作戦会議室では、物々しい雰囲気に包まれていた。


「・・・情報は本当か?少尉」

「はっ、確かであります。ゼルバ・フラーク大将」


 ゼルバ・フラーク。セブンス帝国の軍人である壮年の男。階級は大将。帝国軍では、第四軍の将軍を勤める歴戦の将。ゼルバ自身もランクA+と髙ランクで帝国では、英雄の一人に名を連ねている。


「・・・たった今通告が来ました。内容を簡単に纏めますと、エルザム神聖国が我が国に宣戦布告した模様です」

「理由は?」

「はっ、書状にはこうあります。帝国にて我が国の一人の貴族が行方不明となった。これは其方の不手際である。よって、神に選ばれた我が国が帝国に鉄槌をくだすと」


 ゼルバは、暫く黙り込むと、勢いよく立ち上がる。


「ふん、舐められたものだな。我がセブンス帝国軍人がこの程度の文で怖じ気づくと思ったか?」

「はっ、全くであります」

「話を戻そう。ロロ元帥閣下からは何と?」

「はっ。我が国への身勝手な狼藉は目に余る。この機会にエルザムを徹底的に潰せと」

「ほう、ロロ元帥閣下もよほど怒りを覚えていると見える」

「それと、応援を呼ぶらしいです。何でも皇祖様が信用する冒険者だとか」

「冒険者?」


 ゼルバは、僅かに顔をしかめる。


「むう、何故戦争に冒険者を?皇祖様は、何をお考えになっている?」

「元帥閣下は、その冒険者の力量を量る狙いがあるのでは、と」

「なるほど。我が帝国の戦力となり得るか試すのだな?」

「恐らくは」

「了解した。このゼルバが責任持って見極めよう。それより、動員があったのは我が第四軍だけか?」

「はっ、海軍以外の第四軍総力を結集せよと。戦争が収まるまでは、第二軍が代わりを勤めるらしいです。開戦場所は、我が国北東に位置するハーサー荒野です。神聖国軍もまもなく動き出すとのこと」


 それを聴くや否や、ゼルバは目に獰猛な光を光らせながら叫ぶ。


「よろしい、全部隊に伝達!直ちにハーサー荒野に集結せよ!応援が付き次第、エルザムの糞共を叩き潰す!」

「はっ!」














◆ダンジョン内コアルーム カゲマサside



 マジーメ達が帰った後、俺は酒場を戻し、マヤとナタリアを労い、コアルームに戻った後、妙に寒気がしたので、DPを使ってコーンスープを創造。そして、創造したコーンスープを呑気に飲んでいた。


「しかし、ご長女様が結婚って、出来るものかな?出来たとしても相手が強くないと、叩きつけられるかもだし」


 俺は、そんなことを呟きながらコーンスープを飲む。


「それよりも、さっきから寒気が止まらないな。何か悪いもの食べたっけ?」


 俺が、そんなことを考えていたその時、頭の中に声が響いた。


『カゲマサ殿、ナナお嬢様よりお呼び出しが掛かっております』

「ブゥゥゥゥゥゥゥゥーーーーーーッ!!」


 寒気の正体がわかった俺は、盛大にコーンスープを盛大にぶちまけた。


この頃かなり早く眠くなりやすい作者です。何でか眠くなるのが早いんですよね、この時期。


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