戦後処理②
◆ヤーレラ城玉座の間 カゲマサside
(は?帝国?セブンス帝国軍?ナナさんとこの国の軍?何で?)
俺は、暫く呆けてしまった。
「セブンス帝国の軍が私と話を?」
「はい!応じない場合は、一斉攻撃を加えると言っております!」
「帝国軍の数はどうですか?」
「はっ!取り囲んでいる兵士だけでも一万はいるかと!」
フィナロムスは、少し考えた後決断する。
「分かりました。連れてきてください」
「ッ!女王陛下!よろしいのですか!?」
「ドラヌス将軍。相手は世界でも一、二を争う大国。仮に逆らったとして我が軍で勝てると思いますか?」
「・・・・不可能です。我が軍は現状、いくらかき集めても五千がやっと、民を徴兵しても数・練度共に太刀打ち出来ません」
「ええ。だからこそ話し合いで何とか解決するしかありません。帝国軍に通達。話し合いには応じます。ただし、武器は預からせてもらいますと伝えてください」
「は、はっ!」
そして兵士が急いで退出した。俺はというと。
(何でこのタイミングで軍を動かした?ま、まさか!仕事の結果に不満を抱いて俺を粛清しに来たのか!?)
自身の上司的存在が軍を送り込んできたことに内心怯えっぱなしだった。
◆ヤーレラ城玉座の間 カゲマサside
数十分後、扉が開き帝国の人間達が入って来た。先頭をいくのは、文官らしき黒い法衣を着た中年の男。後ろには、軍服を着た軍人が数人付いていた。俺は、試しにいちばん偉そうな軍人をスキル《鑑定》を使用してみる。
名前 エルランド・バーニッヒ
種族 人間
職業 帝国軍第四軍所属 第二師団師団長 少将
レベル 46
ランク A-
スキル 剣術の達人 帝国式格闘術 帝国式剣術 指揮 気配察知 礼儀作法 etc.
はい強いッ!先程の会話でもあったけど、世界でも一、二を争う大国だから予想はしてたけど、師団長でこれかよ!しかも、しれっと階級が近代の軍隊のものだし!
鑑定されたエルランド少将は、こちらに気付いたのか顔を向け、少し驚いた顔になった。
(ああ、これはあれか。何でこんなところにボロを着た奴がいるんだ?と驚いているんだろうな。ははっ)
女王と文官が話し込んでいるなか俺は、そんなことを考えていた。
◆ヤーレラ城玉座の間 エルランドside
時は少し遡る。
エルランド少将等帝国軍と使節団の団長である文官は、現在フリン公国首都ツンドルンにおける新女王の住居、ヤーレラ城の回廊を案内人の兵士先導の元歩いていた。
「少将殿、少しよろしいか?」
歩いている途中使節団団長の文官が耳打ちしてくる。
「何でしょうか?パスカル・グロート外交官」
「うむ、実はな。先程から妙に私の体が震えているのだが、原因が分かるかね?」
エルランドは文官、パスカル・グロート外交官の手をチラリと見る。すると、確かに手が小刻みに震えていた。
「・・・はて、私には分かりかねます」
「安心したまえ。私もだ。初めは女王との面会で緊張してしまったかと思ったが、どうも違うのだよ」
「では何だと?」
「うむ。これは初めて元帥にお会いした時、つまり絶対強者と会った際に感じたものに近いのだ」
「・・・っ。それは、警戒が必要ですね」
「うむ、杞憂であれば良いが」
そして話を終えて玉座の間と思わしき部屋の扉の前まで来ると、警備兵が駆け寄ってくる。
「失礼致します。この先は、武器の携帯は禁止と致しております。どうかご理解を」
「ぬ、そうか。エルランド少将」
パスカルは、エルランドに目で訴える。そこでエルランドは、警備兵に話しかけた。
「失礼、我々帝国とフリン公国との国交は薄かった。故に我々は、武器が無いと心許ない」
「申し訳ありません。女王陛下より、武装は厳禁との言葉がありまして」
「ぐ、ぬ、分かりました。おい」
「はっ!」
エルランドは、部下達に武器を預けるように指示する。そして全武器を預けたところで玉座の間に通された。玉座の間には、多数の貴族達。最奥には、玉座に腰かけたフィナロムス新女王がいた。女王の横にいる女性は知らないが、恐らく側近だろう。
そして玉座の間中央まできたエルランドは、パスカルが無意識恐怖した存在に遭遇した。それは、玉座の間の隅に静かに佇んでいた。外見は茶色の仮面に茶色の外套と怪しいの一言しかない。だが、その内面は異常だった。
(何だ・・・!あの強力な気配は!まるで我が軍の大将等に匹敵するぞ・・・!)
後ろの部下達も感じ取ったのか、顔を若干青くさせている。
「・・・ょう?少将?エルランド少将?」
そこに、パスカルが肩を叩いてきた。
「あっ」
「大丈夫かね?」
「え、ええ」
「よかった。では女王陛下、我々はこれにて」
「はい。これからもより良い関係を築けることを願っています」
こうしてエルランド達は、パスカル等使節団と共にヤーレラ城を後にする。ツンドルンを包囲していた第二師団も撤退した。
そして、帝国への道中。
「女王との交渉は上手くいった。フリン公国内に我が帝国軍の駐留及び帝国の商品の輸入などなど。逆に我が国からは、復興支援や共同訓練、技術提供だな。時にエルランド少将。交渉時に気が抜けるとは、一体何があったのだ」
馬車の中でパスカルは、エルランドに尋ねた。
「・・・恐らくですが構いませんか?」
「うむ」
「・・・玉座の間に茶色の仮面と外套を身につけた人物がいたでしょう?」
「ああ、いたな。・・・まさか!」
「ええ。あの人物、いえ御仁が元帥より聞かされたかの英雄カゲマサなのでしょう。英雄の名に相応しい実力を持っていると判断しました」
「準英雄と呼ばれる少将殿が言うのなら、確実だろうな。しかし、あれがそうとは」
その後二人は、カゲマサや帝国軍と公国の関係などについて語り合いながら、帝国へと帰っていった。
◆公国と帝国国境付近 山 カゲマサside
俺は、突然の帝国軍襲来の後、女王に断りを言って帰る準備を整えていた。回りには、ギオやキラー、ミレンダ、死霊魔人、部下の魔人達がいた。因みに、二体の死霊混合人や死霊魔人がゾンビに変えた一万の兵は、元の死体に戻し【ボックス】に収納した。何故かというと、単純にダンジョンのキャパシティを越えるからだ。スペースが無いのよ。スペースが。
「本当に行かれるのですか?」
「ああ、俺達は旅の傭兵だからな」
何故か護衛を付けたカナベールが見送りに来たのは予想外だったが。俺は、とにかく早く帰りたいので手短に済ませる。やることも出来た。
「じゃあ、おさらばです。カナベール令嬢」
「・・・・また、来ていただけますか?」
う~ん、それは確約出来ないな。何せ今考えている計画は、少なくとも半年掛かる。
「まあ、暇が出来たら来ますよ」
「分かりました。・・・お気をつけて」
「そちらこそ。では、【ゲート】」
俺は、空間魔法を発動させる。【ゲート】に次々と部下達が入っていき、最後に俺が潜ると、【ゲート】は消え去った。カナベールは、それを見届けると、護衛と共に領地へ帰っていった。
◆カゲマサのダンジョン カゲマサside
久しぶりの我がダンジョンだが、俺には休んでいる暇はなかった。キラー達をひとまず闘技場のある階層に送る。そして俺は、コアルームに向かった。コアルームに着くとそこには、ダンジョン総司令であり最高幹部であるエルダードラゴンのシロが待っていた。一応人化の術で白髪ツインテールの少女形態になっている。
「ああ、お久しぶりでございます!マスター!」
「ああ、遅くなってしまってすまないシロ。ダンジョンの現状は?」
「はい!第一から第三階層までにばらまいた餌の効果で冒険者達は次々と来ております!」
「それより下に侵入した者は?」
「幹部率いる兵隊を送り始末しています!」
「そうか・・・・・・。シロ、俺は今から半年間、鍛練を開始する。それと平行してダンジョン内の組織形態の再編を行いたい」
「ッ!はっ。了解致しました。構想は一体」
「一応頭で練り上げている。急ぐぞ。俺達が滅ぼされる前に!」
俺は、貰った二つの魔石をダンジョンに吸収させ、今までの愚行を思い出しながら高らかに叫ぶ。
「もうあんな矛盾だらけなことするもんか!絶対生き残って引き込もってやる!新たなるダンジョン強化計画、始動だァァ!!」
他の人は、綺麗に書けてるのに自分ときたら!本当駄文でごめんなさい!
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