炎の騎士ゴウエンと壊滅
最近コロナ自粛が長くなって時間感覚が狂いそうになっている作者です。
◆ヤーレラ城 玉座の間前
「ゴウエン・フィーゾム・・・・・ッ!やはり居るか!」
「・・・ドラヌス将軍か。残念だよ。まさか、かつての仲間を斬らなくてはならないとはな」
ゴウエンを見て、歯噛みするドラヌス将軍と少し悲しそうな表情を浮かべながらも剣を抜くゴウエン。
「・・・・何故だゴウエン。何故あの公王ハマルに味方する?お前程の男が、あのような」
「ドラヌス将軍。私は、前王様よりハマル陛下ことを任されたのだ。身を守ってやってほしいと。そのご命令に従っているだけだ」
「前王陛下が・・・」
「そうだ・・・。さて、反逆者共。これより先は陛下のおられる部屋。この先にはいかせぬぞ」
ゴウエンは、剣を構えて鋭利な刃物を感じさせる殺気を放つ。それに会わせてドラヌス将軍も剣を抜いた。
俺は、とりあえずゴウエンを《鑑定》してみる。
名前 ゴウエン・フィーゾム
種族 人間
職業 フリン公国近衛騎士団団長
レベル 46
ランク B+
スキル 我流剣術 熱剣 剣の達人 格闘 火魔法 魔法付与
魔法付与・・物に一時的な魔法効果を付与する。例えば、氷属性ならば斬った箇所が凍ったりする。精神魔法ならば、斬った対象に精神魔法の効果を与える。簡単にいえば、即席の魔剣を作れる。
ふむ。なかなか侮れないな。だが、ここで足止めを食らっている訳にはいかない。
そう決めた俺は、自身の拳と脚に魔力を込める。そして誰の目にも見えない速度で踏み込み、ゴウエンの顔面を扉の先、玉座の間へと殴り飛ばした。
「ぐぶファァァァァッ!!!???」
ゴウエンは、血反吐を吐きながら玉座の間の中央で倒れ込む。すると、玉座の間にいた近衛騎士達は、突然吹き飛ばされてきたゴウエンを見て、狼狽える。いきなりたよりの最高戦力が吹き飛ばされてきたのだ、狼狽しないほうがおかしい。
「ご、ゴウエン様!?」
「敵襲!!敵襲!!」
何とか気を取り直した近衛騎士達は、槍やら剣やらを構えて扉を見る。そして、ゴウエンが血を吐きながらも立ち上がった。
「おお、ゴウエン団長!大丈夫ですか!?」
「くっ、大丈夫だ。気を付けろ!強敵がいるぞ!!」
ゴウエンは、残った部下に警戒を促す。そして、先ほどの一撃を思い出していた。
(さっきの一時・・・ッ!なんて威力と速度だ・・ッ!この私がまったく反応出来ないとは・・・!!)
一体何者だ・・・!そう考えていたゴウエンは、扉の奥からやって来る五つの影を見る。
一人は、狼の頭を持った大男。もう一人は、腕が八本ある異形の怪物。この二人は、何故か黒い仮面を被っていた。
そして、三人目に先の二人よりかは小柄だが、これまた異形の女性。黒い仮面をしている。
四人目。額から角を生やした女性。こちらは、白い仮面だ。
そして最後。自分を殴り飛ばしたであろう男。茶色のローブに茶色の仮面をつけている。それ以外は特徴はない。強いて言えば、若干体が細いかぐらいだ。すると、茶色の仮面の男が指示を飛ばした。
「キラー、お前は魔道師ジメイを探せ。奴も何処かにいるはずだ。死霊魔人、お前と死霊混合人は近衛騎士を殺れ。あと、公王ハマルを探せ。偉そうにしてる奴がそうだ。俺?俺は、ゴウエンを止めておく」
そう言うと、仮面集団は別れた。角の生やした女性は、来た道を逆方向へ。異形の仮面達は、近衛騎士に襲い掛かった。
「なっ!?貴様等!!」
「くっ!駄目だ!強すぎる!」
近衛騎士団は、この国における最高戦力である。そこらの戦士やモンスターでは太刀打ちできない自慢の部下。なのに、現実はどうだ。目の前で次々と異形に倒されていっているではないか。
「お前達!!今助けに!」
「おっと、行かせるかよ!!」
救援に行こうとしても、茶色仮面が邪魔してくる。
「邪魔だぁぁッ!!《熱剣》発動!!」
ゴウエンは、自身のスキル《熱剣》を発動させる。すると、剣が真っ赤に染まっていく。そして、だんだん湯気が上ってきた。
「あれ、ちょっと痛い?」
「そこを退けェェェ!!」
茶色仮面の男、カゲマサがスキル名少し中二臭いなと思っていることなど露知らず、ゴウエンはカゲマサに突撃した。
◆フリン公国 ツンドルン中央 上空
ツンドルン上空。そこには、一人の人物が戦場を見下ろしていた。そして、目線をツンドルン裏門とヤーレラ城の城門に向ける。
「ふむ、死体を合成して作り出したアンデッドのキメラか。まあ私の目的の邪魔になるなら、消えて貰いましょう」
「食らうが良い、これはあらゆる不死者を滅ぼす聖なる炎。合成魔法【セイグリッド・フレイム・ピラー】!!」
その人物、魔道師ジメイは魔法を発動させる。そして、裏門と城門を守っていた死霊混合人は、その聖なる炎柱に飲み込まれ、跡形もなく消滅した。
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