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部屋の中に入ってまず、その匂いに気付きました。
コレは…ラベンダーの匂いです。
部屋の中を見ると、ラベンダーのドライフラワーが置いてありました。
そして窓際には、水晶などのパワーストーンとポプリがあります。
それらが部屋を清浄化しているのでしょう。
部屋は淡いクリーム色の壁紙に、机や本棚は柔らかな色で統一されていて、若い女の子のイメージは正直あまり感じられません。
部屋の主である彼女は、ベッドに腰掛け、扉近くにある机と椅子のセットを、指さしました。
「どうぞそこへ。あまり床に座るとよくないみたいだし」
「…どうしてそう思うの?」
わたしがそう尋ねると、彼女はまたニッコリと笑い、自分が座っているベッドの下を指さしました。
「っ!?」
思わず目をそらしました。
ベッドは4本の足があるタイプです。
つまり下に空間があるのですが、その中に、いろいろな黒いモノが詰まっていて、蠢いていたのです。
まるで虫かごに無理やり詰め込まれた虫達のように、ギッシリと。
「部屋に誰か入って来た時、コレでも抑えてはいるんだけどねぇ。中々大人しくしてくれなくて。いや、参った参った」
と、全く参っていないように、彼女は笑い飛ばします。
「あっ、だから部屋には誰にも入らないように言っているの?」
「うん、そう。部屋の主無しでは、好き勝手しているから。それに私以外の人に入られると、せっかくの結界も効果が薄れちゃう」
「あなたは……霊能力者、なの?」
「ん~。半分正解、かな? 正確には私一人の力じゃないの。私の中で飼っているモノの影響と言った方が正しいかな? 多分コレがなきゃ、私には何の力も無いと思うし」
彼女は自分の肩をポンポンと叩きました。