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その後、彼女は娘さんに絶対に部屋に入ってくるなとキツク言ってきたそうです。
「今思い返せばあの時、妹を止めなかった方が良かったのかもしれませんね」
娘さんは目を閉じ、深くため息をつきました。
「あの…妹さんとちょっとお話をしてきても良いですか?」
「えっええ。妹の部屋は階段を上って、右端になります。でも妹は部屋に誰かを入れることを激しく嫌いますけど…」
「それはご家族に対しても?」
「ええ。母も父も嫌がります。昔からそうでした」
「そう、ですか。じゃあちょっと失礼しますね」
わたしは作り笑みを浮かべ、居間を後にしました。
言われた通り階段を上り、右端の部屋へと向かいます。
…しかし部屋の扉の前で、立ち止まってしまいます。
何故ならこの扉は、結界。
神社にある鳥居と同じ雰囲気を感じ取りました。
でもこんなこと、霊能力者にもできないことです。
そう、一部の力の強い神職者ならば、個人的にも作り上げることは可能でしょうが…まだ高校生である女の子一人ができることではありません。
わたしは固唾を飲み込み、緊張で震える手を上げ、扉をノックしました。
「―さっきの霊能力者さん?」
返ってきた声に、心臓が嫌な音を響かせます。
「えっええ…。ちょっとお話があるんですけど、良いかしら?」
「どうぞ」
彼女はアッサリと承諾してくれました。
ドアノブを回して、わたしは彼女の部屋に入りました。