12
「いえいえ。『本物』の霊能力者と話ができて、楽しかったわ」
彼女は笑顔で手を振り、見送ってくれました。
下の階に降りて、わたしは彼女のお姉様に今後のことを説明しました。
とりあえず身を守る為に水晶の数珠ブレスレットを渡し、家の中にも結界を張ります。
そして後日、肝試しを行なったメンバー全員と会って、墓場へ行くというところで話を終えました。
家を出る時、わたしはもう一度振り返ります。
彼女の部屋の辺りを見ると、そこから何かが溢れ出しています。
その『何か』とはハッキリとは言えませんが……ふと彼女の言葉を思い出します。
あんな暗く重いモノを背負っている彼女が『ある』ことを。
それは―覚悟。
わたしは家に帰ると、彼女のことを母に話しました。
すると母は慎重な面持ちで頷きます。
「彼女の言う通り、余計なことはしない方がいい」
「そう…なの?」
「アンタやアタシじゃ手に余る、そう思うんだろう?」
「うっうん…」
わたしや母の2人でも、きっと彼女が背負っているモノには勝てないでしょう。
「呪術師が己の血に取り込んだモノって言うのはね。取り付いた人に重い運命を背負わせる代わりに、その人物の願いを叶える。まさに命と引き換え、だね」
彼女の先祖は、身を守る術としてあのモノを飼うことを選んだのでしょうが……。
それでも納得できない自分がいます。
「アレは彼女だけを犠牲に、成長しているとは思えなかったんだけど…」