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手を横に振りながら、彼女は失笑しました。
「あんなのを身に付けているとね、時々そういう力が現れるだけ。でも自分自身でコントロールできるワケじゃないから、厄介なのよね」
言わば昔のテレビみたいなものだ、と彼女は言いました。
電波が良い時は調子が良く力が使え、しかしほとんど電波状況は悪いみたいです。
「でも…貴方なら、お姉様を心霊現象から守ることができたんじゃないの?」
僅かに眉をひそめながら尋ねると、彼女はニッと笑いました。
それはまるで、イタズラがバレた時の子供のような無邪気さと、恐ろしさを兼ねた笑顔です。
「私は身内だからって、甘やかさない主義なの。それにさっきも言ったけど、上手くコントロールできないからね」
そう彼女は語りますが…明らかに彼女に取り付いているモノの方が古く、力も強いはず。
彼女はわざと、放置したのでしょう。
でもそれを咎めることは、わたしにはできません。
何故なら彼女のお姉様のしたことは、やってはいけないことだからです。
しかし普通に注意されても、あまり反省などしないでしょう。
それはあの肝試しに参加したメンバーにも言えること。
身をもって恐怖を体験することによって、ようやく自分達がしてはならないことをしたのだと、自覚するのでしょうから…。
「さて、私に話したいことは終わりかな? あまりこの部屋には長居しない方が良いよ。下では姉が待っているしね」
「…そうね。お邪魔したわ」