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ゲーセンスロと死んだ目のひとたち

夢物語を見られない男子高校生はゲーセンスロで20時50分にボーナス入賞する。

作者: 深山夏留

ゲーセンだけどパチスロのスロのほうの話。

同じ脳みそでBのLを普段考えてるので何となく多分BのLです。

初投稿です。

成績も顔も身長も運動神経も成績も特出したものを持たない男子高校生は異世界に行けるはずもなくゲーセンスロ100円50クレジットを15回ほど繰り返したらボーナス入賞出来たけども時間が21時になったのでお店からでないといけないの。

とか、心の中で涙を流しながら、今月の残り少ない小遣いを呑み込んだ筐体を恨みがましく見つめる。見事に揃った【777】の表示が、誇らしくもどうにもこうにも悔しくて仕方がない。

しかし、条例に逆らう訳にも行かず、しかも、自分は補導されるだけだが、自分が残ったせいで店が行政処分されるのもよくない。

なにしろ、このゲーセンは気に入っているし、店員さんも悪い人がいるわけでない。仕方がないか、と今払い出されているコインだけをケースに入れて立ち上がる。


二つ隣に座っていた、いつもいる常連のお兄さんは、いつもならば羨ましいほどにボーナスを当てているのに今日は珍しくハマっているようで、自分が入賞したときから、タバコの吐く息が荒々しい。


「あの、俺、もう帰んなきゃなんで、お兄さん残るなら、台打ってください。」


そうだ、あのお兄さんならこれも回収仕切るだろ。そんな気持ちで、カウンターに行く前に、ちょっと控え見に声をかけてみた。ふっ、と。息が止まったよう。タバコを置いて、此方を見つめられる。


「あぁ、あんがとな。」


意外と、と言うのもおかしいけど。荒っぽい口調なんだな。そんな、当たり前の感想で。残ってるクレジットを打ち始めたのか、小役を狙うこともせずに適当にリールが慣れた手で止めてられていく。そうして、クレジットを打ち切ったお兄さんは、先程までの俺の席に座りなおして、今度はなんとなく、役を狙っているように、リールを見つめて止めていく。


「これ、ほら。」

「え、はい、ありがとうございま、す?」


そう言って、お兄さんは鞄から、中途半端な大きさのチョコレートを差し出した。どうやら、俺が入れない方の遊技場でも遊んでいるみたいだ。


「あんたはまだ向こうダメだからな。真面目な学生しっかりやってるみてぇだしな。」


お礼なのか、釘をさされたのか、それきり、筐体に向き合ってパチパチとボタンを押すことに集中を始められてしまった。


軽く顔をへこっとさせて、それからケースをもってカウンターに向かった。

大した枚数は出ていないけども、それでもまた0からやるよりマシだから、いつもカウンターにメダルを預けて帰っている。


「すいません、コイン、預けたいんで。西久保 (にしくぼ)(たつき)です。」

「はい、少々おまちください。」


このゲーセンは、大手じゃないから、メダルを数えるのは機械がやってくれるけど、保管は毎回、名前を言ってバインダーに控えてもらう方式だ。でも、大手のゲーセンよりも勿論、機種とか、スロ以外のゲームも少ないけど、それでも、このゲーセンに足を運んでしまうのは、きっとそう言う関わりも好きなんだと思う。


「はい、西久保樹さまですね。今回は52枚ですね。3ヶ月保管なので、2月15日までに来てくださいねー。」

「承知でーす。あざっす。」


なんとなく、いつものやり取りだ。そうして、今度はもっと早く当たりたいな。って思って、またここに来るんだろうな。

気が向いたらまたそのうち書きます。

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